毎日の運用と薪の投入タイミング
新しいヒミエルストーブの燃焼性能は本当に秀逸です。
以前のサイクロンチューブも当時自分の中では最高の技術を投入して良いシステムだと思っていたけれど、今と比較すれば沢山詰めるべき場所が有ったけど気づけませんでした。
特に耐久性の面に関しては客先での摩耗状況を何件も確認して、少しでも減耗を減らす方策を取り入れ多くの労力とコストを投入していたのでサンクコストや実験の失敗を恐れ新たな手法の探索から無意識に逃げていました。
そして一番大きな理由はご注文をお届けする事に忙殺されていたので、上記の懸念事項を頭の片隅に抱えながら日々目の前の製作に意識が向かっていたのです。
ではなぜ今開発が出来たかといえば、ズバリ注文の切れ間で時間に余裕が出来たから。
今までずっと納期に追われて、心のどこかに早く作らなきゃと言う焦燥感がありましたが数年ぶりの自由時間を新開発に充てた訳です。
工場での運用方法
まず最初は、朝7時半頃に火を入れます。
点火のショート動画をアップしましたが、6分間のフルバージョンをYouTubeにアップしたので興味のある方はどうぞ。前日の予熱が残っている状態ではなくて本体が外気温とほど同じ12度でスタートしてます。
1回目の点火をミスって2分後に再着火した後は順調に昇温できました。もちろん火の大きさに応じた薪を投入しないとものすごい勢いで煙が発生するから適切な太さの薪を入れるのはどの設備でも一緒です。
そして点火してから1時間ほど過ぎればオーブン温度は150度を超えますが、本体背面のレンガは約70度。レンガの昇温は本当に緩やかなのですがそこが省燃費につながる大きなミソで、ゆっくり温まり冷めるのも遅い特性を長時間暖房に利用します。
レンガが大きな蓄熱タンクだとすると、薪を焚いて貯熱を行うイメージだから変に排気を絞ったりする操作は行わず一番キレイな燃焼ができるゾーンで全体の温度を上げてゆきます。
私の場合だとダンパーを45度絞った位が煙の発生もなくて効率の良い連続運転の状態です。
ここで早く温度を上げたいと思い沢山薪を詰め込んでも逆効果で、燃焼処理しきれない煙が煙突から排出されてエネルギーロスがもったいないので、あとは時間をかけてレンガの温度を上げて行きます。
そうすると10時過ぎにはレンガの表面温度が100度を超えてオーブンも250度オーバーとなるし、瀬戸内では昼間太陽が照ると暖かいので一旦燃焼をストップして予熱運転へスイッチ。
なので今は朝7時半から10時半頃まで約3時間炊いてます。
そうすると15時になってもレンガの表面温度は80度で燃焼室内部は約170度。
再点火を行い、減ってしまった熱を本体へ貯めてあげます。
私の場合5時過ぎに工場を出ますので4時半には薪の投入を中止するから1日で薪を焚くのは4時間半。
以前は火加減で暖かさをコントロールしていたけど、今は本当に適当で30〜40分に1回薪を追加する以外は放置してます。
まとめ
以前と比較し単に燃焼時間が短くなっただけじゃないの?と言われたら「はいその通り」なんですが火が消えた後もずーっと暖かさが継続している事がポイントになります。
以前は1日中暖房しようと思ったらずっと薪を焚いていたけど、今は半分の時間しか焚いていないので薪消費量が激減するのも自明の理ですね。
では蓄熱ユニットを全てのストーブに追加すればいいじゃない?
そのように考えるのも自然な流れなのですが、従来型の薪ストーブと大きく異なるポイントはヒミエルは発生した燃焼ガスが天板に当たって本体の表面で熱交換をしっかりと行い煙突から排出されるのでレンガへの熱交換を効率的に行える構造を備えているのです。
普通のストーブをレンガで囲うと一定の効果はあると思いますがとにかく温まるまでの時間が長いと想像します、なぜなら熱は高い所へ移動するので一番高い場所の煙突へ多くの熱が逃げて行くのは構造的に避けることの出来ない宿命だからです。
新たに開発した耐火煉瓦ヒートライザーで薪が保つエネルギーを余す事なく熱に変換し、本体でしっかりと保温、放熱。
全てを上手にバランスさせることで、過去最高のお気に入りストーブが出来上がりました。
良いストーブって人それぞれで、各人のライフスタイルと合っていればそれが良いストーブだけど今回のモデルを私は本当に気に入ってしまいました。
何が良いかといえば、手間なく長時間程よく暖かい。
もう最高じゃない!
その証拠に、仕事中も炎に見とれてしまい作業の手を止めてしまいます。