展示品のSD01を出荷する準備
先週末にSD01を納品したばかりなのですが今月はもう1台SD01を長野県へ納品します。
とはいえ新規に製作したストーブでは無く私が2018年に初めて試作した零号機をヒミエルストーブを始めてお買い上げいただいたお客様のもとへお届けするのです。
もうヒミエルストーブをお使いなのでなぜ零号機と入れ替えするかと言えば、ヒートライザーが破損したからです。
2018年当時は今ほど製品寿命に関する知見が深くなく、当時良かれと思っていた設計も今になって振り返ると改善の余地が沢山あります。そして6~7シーズン目一杯使い込む過程でヒートライザーのステンレスが摩耗しました。
当初からそのような状況を見込み、初期型はパーライトモルタルを充填してヒートライザーを製造しているのでステンレスが破損した現状のままでも使用できるし、キャスタブルを追加充填すれば問題なく使用できるのですが、お客様へ弊社の展示品と入れ替える案をご提案したところ入れ替えを即決されたので展示品のレストア作業に取り掛かりました。
試作展示品だったのでSD01の煙突をサイドから取り出せるように実験した痕が残っていたり、修復も適当な材料で実施していたので、大きく切開し新作時の板厚で板金を行い新品と同じ寿命を目指します。
このような感じで本体Rに曲げ加工を行った鉄板を溶接することにより、一見するだけでは修理箇所が分からないくらいきれいに修復できます。 手を加えるのはこの部分だけじゃなく、バイパスの取り出し口やドア、天板など既存の部品を磨いて再塗装するだけじゃなく、燃焼室に遮熱板を追加したりすることで現在の市販品と同一の形に仕上げました。
そして今回入れ替えの原因となったヒートライザーは耐火レンガで構築しているので、おそらく2度目の入れ替えは発生しないと思いたい。
もう長年に渡り熱による摩耗と戦ってきたので、どのように長寿命と性能を維持するのか方法論が見えてきたので今は製品に搭載して結果を検証するフェーズに入っています。
7年前に出荷した製品の摩耗状況データを参考に対策を施し、その結果が判明するのは今から5年以上未来の話になるけど未知の製品開発ってそのくらいのタイムスパンで臨んで丁度良い。
ロケットマスヒーターの様に一か所に炎を集中させて昇温しないクリーンバーン燃焼のストーブを作っていたら正直ここまで苦労する事も悩むことも無かったけれど、苦労したおかげで問題が発生した場合の解決方法を身に着ける事が出来たから恐らく私の気質に合った選択だったのでしょう。
改良版SD01の性能と耐久性にはちょっと自信が有るので、一番長期間ヒミエルストーブを使用しているお客様のところへお届けして違いを感じて貰うのは制作者として幸運な事だと考えるし久しぶりにゆっくりとお話出来る機会なので軽トラを冬タイヤに履き替えて納品にしっかりと備えておきたい。