NEW ヒミエルストーブのテストは続く
蓄熱化のオプションを実験
テスト燃焼を終えた翌日、以前より試して見たかった蓄熱化の実験が出来る様本体の周囲に耐火レンガを約104枚並べてみました。
ストーブ本体から熱の移動効率を第一に考えるのであれば側面に開口部を設けて熱気が直接レンガに触れる様作り込めば良いのですが納品現場で左官作業が必要になる事と、本体とセットで重量が700㎏を超えてしまい不便に感じる事も出てくるのでとりあえず今回は本体の周囲に並べるだけの簡単仕様で実験を行いました。
石の箱の中で炎を焚くのが最も熱交換率が高いのは自明なのだけど、メイスンリヒーターはコアを耐火レンガで作りその周囲を5㎜程度隙間を開けて赤レンガでアウタースキンを構築します。
そしてメイスンリヒーターのコアをヒミエルストーブ本体と考えてみれば、アウタースキンと隙間が空いた状態で運用しても状況は同一では無いかと思いついたので試して見ました。
焚き付けの不思議
詳細は上記のショート動画をみて貰えれば分かるかと思うのですが、素早く立ち上がる様な小割の焚き付けを準備して点火してあげれば火を付けて10分もしない間に煙が消えてしまいます。
もちろん、炎が小さいので突然太い薪を入れたりすればあっという間に煙だらけになるけど、炎の大きさに合わせた適切な薪を投入してあげると驚くほど煙の発生量が少ないのは間違い有りません。
ではなぜ煙が出ないのかと言う正確な答えは未だに持ち合わせていないのが実情です。
動画を撮影したのはレンガを並べて本体も耐火レンガも表面温度が外気温と同一の10度位から点火を行い撮影したので決して暖まった状態での再スタートでは無いと申し上げます。
過去一番のクリーン燃焼
ヒートライザー上部に耐熱ガラスを設置して撮影した写真がこちらになります。
暫くガラスを放置しても、灰分が付着するだけで黒く煤ける炭素は一切ガラスに飛んで来ません。 何を意味するかと言えば、木から発生する木質ガスをしっかりと燃焼している証拠に他なりません。
言い換えればしっかりと燃料を熱に交換していると同義です。
本来煙と言う物は水素を含む可燃性ガスを含む木質ガスであり、容易に燃焼する水素が先に燃えた後に残る炭素がガラスや煙突内部に付着するのが煤の主成分です。そして炭素を十分燃焼する為には高温環境と滞留、酸素の3要素がバランスよく構成されていなければなりません。
そして今回作り上げたNewヒミエルは本体の構造で理想的な燃焼環境を実現する事に成功したのです。
どの様なストーブで有っても、いや囲炉裏であっても適切な薪の組み方と高温環境を作る事で煙を燃焼させる事は可能です。では何が異なって来るかと言えば個人的な意見と前置きしたうえで言うと「操作の幅が異なる」のでは無いでしょうか。
例えば時計型ストーブ。
私も調理に愛用するのですがとにかく調子のよいポイントが狭く、基本的に大火力でパッと燃やしてあげないと煙がモクモクと発生しやすいです。
ヒミエルも煙は出ますが、簡単な操作で煙が燃焼してくれるので驚くほど排煙量が少ないです。
そしてダンパーを開けばスチールストーブの様に高温をガツンと放出し、ダンパーを閉じると緩やかな放熱が継続すると言う幅広いコントロール特性も備えています。
まとめ
薪ストーブに求める物は色々有りますが、私はしっかり木質ガスの燃焼を行い発生した熱をお部屋の暖房に使用する事に関しては突出した性能を約10年間追い求めていました。
自分の事は自分が良く知っている物で、私には人を引き付けるデザインセンスや写真を撮影する能力は持ち合わせていません。
しかし、世の中に無い物を発明する力と文章を書く能力は持ち合わせていると思っており今その力がやっと実を結んだのでは無いかと考えています。
従来作っていたヒミエルストーブに耐火レンガを追加して出力をマイルドに変更する改造は従来の特性を何割か変更し、数割能力を向上するだけだったけど、今回の新開発は全くの別物です。
私が心の底から自信を持って、過去最高の性能を達成していると断言できます。
その証拠に、自社の在庫で2番目に古いストーブだけど性能が一番お気に入りだし毎日焚いて炎に見入ってしまうのです。