SD01の試運転と燃焼ガス分析
8月初旬から製作に着手していてSD01がやっと組みあがったので本日試運転を行いました。
本当は昨日に試運転を行い顛末をブログを書こうと思っていたのですが
5月頃から僕が設計製作にかかわっている機械部品を来週設置する予定になっており、現地レイアウトが決まって改めて現場を確認してみると僕の作った部品が設備と干渉して設置出来ないんじゃ無いですか?
などと言うとんでもないお問い合わせ電話がお客さまから掛かって来たので、一目散に現状を確認に行ったので薪ストーブのテストをする時間と心の余裕が無かったです。
設備との干渉は全くの杞憂で、全て問題無く実施できると確認できた後は何とも言えない徒労感だけが残りました。
全ての確認が終わるまでは、僕のミスでタイトな導入計画を台無しにするかも知れないと言う恐怖が頭から離れず、現場を確認せずには晩御飯も喉を通らないようなプレッシャーは久しぶりでした。
燃焼テスト
燃焼テストの前に、床に敷く耐火煉瓦をカットします。
最初の頃はサンダーにダイヤモンドカッターを取り付けて切っていたけど、粉塵が凄いし真っすぐ切れないし作業効率が非常に悪かったです。
今は知人に教えてもらったカッターを使い楽にカットできるようになりました。
こんな感じで水を掛けながら切るから粉塵は殆ど発生せず、豆腐を切る様にサクサク寸法に仕上げて行きます。
あらかじめ木の板を必要な形にカットして、型紙を作っているので鉛筆でケガいて仕上げます。
床にカットしたレンガを敷いて、早速のテストを行います。
ロケットストーブらしい強力なドラフトが起こる…筈なのに何故だか吸気が凄く弱くて火が大きくなりません。
おまけにオーブンから煙が逆流してくるし、隙間から煙が出てくるし、ウームなんだか調子が悪いぞ。
調子が悪いなりに温度も上がって来たし、とりあえず取っ手の使い勝手の確認を行ってみました。
今回初めて採用した前のロック式取っ手。
手を放しても取っ手が真下へ下がらないようストッパーを取り付けて火傷のリスクを低減しています。
昇温してから何度かドアの開閉を行ってみたけど、なんら不満点を感じる事無く良い感じでは無いでしょうか。
それにしても、煙突の引きが悪くて通常みる炎の光景とは程遠いショボい燃え方の原因は何なのでしょうかね~とぼんやり考えていると、本体後ろに取り付けている煙突T管のキャップを傷つけ防止の為に取り外しているのを思い出したのです。
なーんだ、キャップの閉め忘れで煙突のドラフトが出なかっただけじゃ無いの!
早速キャップを締めたら、いつも良く見る光景に戻りました。
これこれ、この燃焼が好きやねん。
燃焼ガステスト
今年2月にSD01をお買い上げ頂いたお客様より、燃料追加時の一酸化炭素濃度の変化をウォッチする事で空燃比を最適化出来るんじゃないですか?とアドバイスして頂いたので早速燃焼ガス分析器を購入しました。
この手の計測器って使用頻度は少ないくせに値段はそこそこするので購入に二の足を踏んでいましたがヤフオクで出品されているのを見つけたので速攻ポチリりSD01の試運転を行いながら、排気ガスの測定を練習してみました。
先ずは2重煙突へセンサーを突っ込む穴を開けます。
そして測定器具を煙突内部に挿入して一酸化炭素を計測します。
時間が限られていたので多くのモードを実験する事は出来なかったけど、お客様からアドバイス頂いた、薪を追加した時に一酸化炭素が増えると言う仮説はリジェクトの予感を抱く実験結果でした。
理由
この写真はコナラの薪を追加した直後の写真だけど、一酸化炭素の濃度が急激に跳ね上がると言う事が無かった。
炎が十分に大きく、サイクロンで可燃性ガスが空気と混じり合う状態では大体300ppm程度の一酸化炭素排出量だったので酸素の供給量が少なくて一酸化炭素発生量が増えると言う仮説は今の所怪しいと睨んでいます。
個人的には薪の追加時に煙が発生するのは、熾火に対して薪が大きく燃焼温度が冷めちゃうのが原因だと思っています。
初回の実験で、薪の種類や燃やし方で排ガスの発生が大きく変化すると言う事が分かっただけでも御の字です。
まとめ
今回初めて計測した燃焼ガス分析をはじめとして、お客様から僕が思いもつかないヒントを得て製品開発に転用する事が多いです。
昔は質問内容に対して明快な答えを用意出来なかったので非常に苦しかった時期が有りました。
今でも1発で核心を突いた答えなんか思う浮かぶことは無いけど、何度か実験を繰り返すうちに僅かでも欲しい形に寄せて行けるようになったと成長を感じる事が出来ます。