ヒミエルストーブの特徴 (燃焼性能編)
記念すべき900記事目のブログはヒミエルストーブの特徴を改めて紹介したいと思います。
優れた燃焼効率
燃焼効率とは薪のエネルギーをどれだけ効率よく燃焼させて熱に変換したのかを指す指標。
SD01を開発してから7年が経過して、2023年の年末に内部部材を肉厚のステンレスから耐火レンガへ材質を変更することにより
焚き付け5分で無煙状態まで昇温。
巡行運転に入ると煙がほぼ消失。
強力な上昇気流の発生など
クリーンな燃焼を実現するための要素を全て満たすことに成功しました。
開発の変遷
2023年の秋まで内部の高温部分へは肉厚のステンレスを採用して熱による劣化対策とクリーンな燃焼を発生させていました。
そして、燃焼を補助する目的でサイクロンチューブも搭載。
私自身他には無いアプローチで画期的な製品を作ったと自負しておりました。
初期の製品は想定した範囲で連続運転するのであれば劣化も少なく、長期間安心して性能を楽しんで頂けます。しかし、想定以上の大火力で運用するお客様に於いては肉厚のステンレスが熱により変形してしまったり、最長4年以上寿命が継続する予定のサイクロンチューブがわずか数か月で破損してしまう事例をお伺いする過程で顧客の使用状況に左右されない製品開発の必要性を痛感。
そして材料コストや加工性を考慮の上耐火レンガを使用した内部筒の製造にチャレンジしたのだけど、先行事例が無いので弊社の製品に合致した加工方法を開発するまで数か月の期間と何回もの実験を繰り返し、今までの製品を凌駕する新たな境地を発見しました。
ちなみに耐火レンガを使用する事による素材寿命や熱が鋼材に及ぼす影響については耐火レンガメーカーまで赴き、営業の担当者へ実験結果を提示の上質問してみたところ「今まで思いつかなかったけど、確かに良い考えです」との回答を頂きました。
新旧で何が一番異なるのかと言えば「炎が燃える場所が違う」です
ステンレスの筒では筒の中間から上端で炎が燃焼しており、上端で処理しきれなかった煙は煙突から排出されていました。
しかし、新モデルは燃焼室から耐火レンガを使用した燃焼筒に炎が吸いこまれた場所で綺麗に燃焼を完了するので殆ど煙突から煙が排出されることはありません。
端的に言って薪を熱に変換する効率は触媒を搭載した製品と大きな差異は無いのではないかと言うのが私の推測です。
ステンレス等の金属部材を使用しない事で、熱による部品摩耗のリスクを根本的に回避し顧客の運用方法による製品寿命のばらつきを均質化して誰でも長期間運用をお楽しみいただけます。
熱を暖房に使用できる能力
世間で販売している殆どの薪ストーブは左側の構造を採用してます。
前章でお話しした燃焼効率は薪のエネルギーを効率よく熱に変換する能力であり、各社のカタログにもデータが記載されています。
しかし、ここからが大切な話になるんだけど最も高温になる部分が煙突に近いのでせっかく発生した熱量の多くを煙突から屋外へ排出してしまうのです。
せっかく効率的な機構を用いて高温を生成しても煙突から屋外へ多くの熱を排出してしまうなんてなんだか勿体ないような話なんだけど、構造から生まれる現象なので、改善の余地が乏しい。
自社でイラスト左側の製品をテストした時、排気が高温である事が原因で、煙突の接続部分があめ色に変色していました。
この状態こそが廃熱温度が高い証拠。
製品によってばらつきが有りますが、本体から立ち上がった煙突内部で1M程度は筒内燃焼している事は普通に起こっている。
そのような状態で煙突掃除を怠ると煙突火災に至るリスクを招くと言うのは少し考えればわかる事だと思います。
ではヒミエルストーブは何が異なるのか
それはイラスト左側の機構を鉄の外皮で取り囲む事でしっかりと燃焼を行った後の熱をお部屋へ放出する表面積を確保しています。
外部から見える製品外観は発生した熱を放出するための外皮であり、燃焼と放熱の機能を個別に備えることで理想的な暖房性能を実現。
放熱できる表面積でお部屋への暖房能力が決定するので放熱面積は重要な指標だけど、製作に非常に多くの手間と部品点数を必要とするので一般の商品ラインには乗らないのが実情と推測してます。
そして排気温度が低いので煙突が熱によって変色する事も無く、また燃焼筒を上昇した炎が天板に衝突して方向を変えることにより煙突へ火の粉が排出されることを防止するので安全。
小まとめ
長々と専門的な話を書き連ねたけど端的に言えば
1)薪をしっかりと燃やして熱に変換
2)発生した熱を効率よく暖房に利用。
これを高いレベルで実現するためには従来の製品では実装出来ないのでゼロから試行錯誤を繰り返し現在の形を作り出しました。
特に燃焼筒を耐火レンガに変更してからは燃焼性能、耐久性等一切の違和感を感じる事が無く、ある意味一つの完成形では無いのかと思ってます。