蓄熱ストーブの解体を行う
1人で作業しているので場所が沢山あるとは言えども、作業に適した場所というのは限られているし工場に保管するストーブが増加して来たので、今年の1月に作ってしばらく運用していた蓄熱型ストーブを解体することにしました。
せっかく作った物を壊すのは心苦しいけれど、スペースが広くなる事が嬉しいし気の向くまま試作品を増やし続ける事はできないので良い決断だったと思います。
解体を前提とした設計
耐熱モルタルを使用して構築すると分解することが出来ないから、目地は瓦土に砂を混ぜて柔らかさを調節した物を使用しました。
そのような材料で本当に運用が可能なのか、誰に聞いても経験がないので全く不明だったから実際に作ってみると全く問題なく運用出来ました。
土だけでも結構強固な壁になるので、やり直しや移築を前提とした釜などでも十分応用が効くでしょう。
ただ1点反省点があります。それは下の方はかなり慎重に目地を練り込み土を多め、砂を少なめにして粘り気の多い目地で組み上げたので強力な外壁になったのだけど、上に行くに従い作業性をよくする為に砂を沢山投入したから目地の強度が弱くてヒビ割れが多発してしまい強度が弱くなっていました。
ですので、次作業する時はしゃぶしゃぶの目地ではなくて面倒に感じても粘り気の多い土を準備します。
目地土の再利用
こんな感じに左官のトロ箱へ解体したレンガを投げ込み、スクレッパーで目地を外してゆきます。 耐火モルタルでも骨材の入っていない物を使用すればこんな感じに目地の除去は可能ですが土を使う大きなメリットがあるのです。
それは、土にお水を入れてあげれば元の粘土に戻るのでもう一度目地として利用する事が可能となります。砂が多い部分には追加で購入した土を足してあげる事で理想の粘度に調整できるのでとても便利。
残土やコンクリートガラを処分場まで運んで行く手間と材料の手配を一気に不要とする僕的には理想的な材料なので工場で試作を作る場合は土を練って目地とすることに決定。
初段のコンクリートブロックも解体して無事に作業は終了です。
蓄熱式として運用した期間は短かったけれど多くの知見を得ることが出来たので良い練習になりました。
まとめ
頭の中にコンセプトが浮かんだら、実際に試作を行い検証を行うのですが以前は鉄スクラップばかりだったので廃棄は非常に楽で金属リサイクルに持ってゆくだけでした。
しかし、材質がレンガや土となれば産業廃棄物として処理しなくてはならないのでなるべく再利用が可能で廃棄物が少ない方法が無いか考えた末に土の目地に辿り着きました。
私にとって燃焼効率の向上は必達命題なのですが、目標とする閾値まで到達できたと感じるのでこれからは蓄熱化や熱効率の向上に関して知見を深堀してゆく予定です。
そのような中で、将来に向けてレンガの取り扱いを経験するために自社で練習をすると言うのは避けることのできない大切なプロセスだと思いました。
自分自身、おしゃれなデザインを生み出す事は得意では無いと自覚しております。しかし、機能や構造に関しての発想力と実現力は結構得意なので、マイナスをゼロに持ってゆく努力は一旦傍に置いておき、自分の得意分野を全力で突き進んで行きます。