SD01の製作

ここ最近はサウナやパン焼きの投稿がメインになっていましたが、ストーブの製作が少しだけ立て込んでいるので4月中盤からはお仕事モード全開で製作に励んでおります。
今回作っているSD01は去年の秋に製作した物と同じなので作業手順で困る事は有りませんが、以前の記憶など一つも残っていないので毎回製作手順を変えながら最適な手法を模索している。
SD01シリーズを製作するにあたり最大の難関が本体の外殻に相当する丸い筒とドアなどが取りつく正面の平板の接合。
これはヒミエルストーブを作り始めた10年前から作業性の悪さを感じながらもなんとか根性で切り抜けてきたのだけど今回は気分に余裕をもって作業していたので、じっくりと作業性の改善に取り組んでみた。
一体どこの作業性が悪いかと申しますと、本来の設計で有れば円柱と正面の平板がぴったりと接合したい所なのだけど実際は円柱が斜めに歪んでいるので溶接したい場所に隙間が発生し設計した形に組み上げる事が非常に困難。
文字で表現すれば僅か数行の事なんだけど、実際に作るとなれば本当に苦心惨憺するので少し億劫になっているのも事実。
ではなぜ作業が難しくなるのか?理由を探る事から今回の仕事が始まったのです。
残留応力と熱によるヒズミ
作業性が悪くなる理由は明快で、平板をロールベンターで巻いた円柱部品が変形している事が根本的な原因。
では工場へ入荷した時はしっかりと寸法が出て変形していない部品が変形してしまうのか理由を考察すると、加工工程に原因がある事に気付いたのです。
部品として完成した円柱は全て使用するのではなく必要部分だけをカットして余白は廃棄します。
そしてこの円柱をカットする工程に問題の種が潜んでいる事を今まで放置していました。
原因、それはプラズマカッターの加工熱でした。
今までは鉄板に熱を加えると変形するのは知っているので、アセチレンガスは使用せずにプラズマカッターで円柱をカットしていました。
通常の平板をプラズマカッターで切断すると、加工熱が少なくて鉄板の変形が少ないのでそのような判断をしていました。しかし、ここが私の見落としポイントでロールベンターを使用して平板を円柱に加工した鉄板内部には残留応力が残っており、切断時の熱入力で形状が大きく変化するという事を見逃していました。
そう、ロールベンター加工した鉄板は熱の発生する加工を行うと寸法が変化してしまうの事に気付いていなかったのだ。
しかし、全く加工できないのではなく少し頑張れば完成する微妙な変形だったので今まで原因を探すことなく何とか気力で製作していたのです。
そして今回の対策になるのだけど、どうしたかと言えば「チップソー」を使用して円柱を切断する事で部品の変形を抑えた加工を実施。
すると過去に感じていた作業性の悪さを感じることなく、スムーズに組み上げる事ができたので物作りと言うものは、上手に組み上げる前の下準備こそ作業の核心だと再認識です。