ヒミエルストーブ

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煙の発生を少なくする条件

 
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冬のになればSNS上で沢山揺らめく炎の動画を見ることが出来ます。僕は焚火大好き人間なので、理由なんか無く揺らめく炎に見入ちゃいます。

 

しかし、薪ストーブは煙突も含めた燃焼システムなので揺らめく炎の操作をしている時の煙突状態をぜひとも見せて欲しいものです。

 

なぜかと言えば揺らめく炎を作り出すために空気を絞りすぎると酸欠状態になって煙がモクモク排出されるのだけど、室内に居れば屋外の状態が分からないので一見ゆっくり燃やして薪を節約しているように思っていても実は木材の持つエネルギーをしっかりと熱に変換できず煙として屋外排出している事も多々あるのです。

煙の出ない燃焼条件

今シーズンは繁忙だったので自分用のKD01が手元に無く、初号機のSD01をメインに使っていました。

デザインの好みは有るけど、このSD01は一旦巡行運転に入り高温状態を維持する事が出来れば驚くほど無煙状態をキープできる高性能薪ストーブなのです。

 

その証拠に、焚き付けの時は煙が発生するから換気扇で屋外へ排煙し、暖まったら台車で作業エリアへ移動させて石油ストーブの様に運用しています。

普通の薪ストーブなら薪を追加したタイミングで煙が発生したりするので屋内へ煙突を開放して運用するなんて煙たくて出来ないし僕もクリーンバーン機を使うのなら煙突を屋外まで延長します。

 

では煙の出ない燃焼条件とは一体どの様な状況で可能になるのでしょうか?

参考文献から原理を引用して実際の製品で実例を紹介したいと思います。

ばい煙(ここでは主として黒煙とする)防止の決め手の一つは両者を良く混合する事である。

小型焼却炉 選定と維持管理  三好康彦 P12  3.1より引用

一見木が燃えているように見えますが、加熱によって発生する木から放出される可燃性ガスが酸素と化合する事により燃焼が起こっています。

そしてまず第一に可燃性ガスと酸素を良く混合する事がばい煙を減少させ煙すら燃焼させる薪ストーブを可能にする第一歩になるのです。

 

ロケットマスヒーターのマニュアルにはバーントンネルと言って燃焼室から炎が横走りするトンネルが必要だと記載されているけど、炎を横走りさせる事によって空気と可燃性ガスを混合させているのです。

しかし、通常の薪ストーブにバーントンネルを搭載すれば前後に長いデザインとなり製品形状や設置場所に制約が発生します。

 

その、バーントンネルの代わりになる機構が特許を取得したサイクロンチューブになります。

高温になったらせん状の抵抗装置の中を木から発生した可燃性ガスと空気が強制的に混ざり合うことでガスの中に含まれる成分を効率的に化合させることが出来ます。

 

サイクロンチューブを採用したおかげでバーントントンネルが必要だというデザイン上の制約から解放され、自由な形状を設計できるようになりました。 

 

そして、効率的なガス混合が可能になった結果、長時間燃焼温度を高温に保つことが可能になり不完全燃焼を防ぎます。

写真は燃焼温度のログですが、1時間以上700度をキープしています。

 

綺麗な動画がすべてを表しているのではない

揺らめく炎を見るのは好きだけど、薪ストーブ開発と解析を継続するにつれて燃焼のある瞬間を動画に切り抜いても、全く参考にならないことが分かってきました。

基本的に流体の流れを抑制する事で、燃焼スピードを遅くすれば炎はゆっくりと揺らめきます。

個人的な理論だけど、ドラフトを測定する事で気づいたのは、空気を絞ってもドラフト圧は急に変化せず排気ダンパーの操作でドラフトが敏感に変化します。

 

何が言いたいのかと言えば吸気を絞って揺らめく炎を楽しんだとすれば、薪から発生する可燃性ガスの発生量が燃焼と伴に変化してゆくのに酸素量は一定なので理想的な燃焼状態を維持する事は非常に困難、推測では薪を投入したころは酸欠状態で空気が少なく、火だるまになった頃に丁度いい感じでは無いかと思っています。

 

そして、僕がビギナーの頃は散々燃焼室を改造して綺麗な炎を作り出そうと思っていたけど、一番簡単で効果的なのは2重煙突を使う事です。 ヒミエルストーブをシングル煙突と2重煙突で比較実験を散々した挙句の答えだから結構自信が有ります。

 

ドラフト圧や燃焼温度をロギングして燃焼に関する書籍を読んで導いた答えなので、僕なりに正しいと思っているし議論する気も有りません。 シングルが好きで頑張りたい人はその道を追求してもらえばいいと思います。

 

まとめ

煙の発生を抑える3要件は、高温、混合、滞留でヒミエルストーブはその3つをバランスよく保てる構造だから恐ろしく煙の発生が少ないのです。

とは言え、通常の薪ストーブとは異なる独特な使い方をした上での話なので、全く初めての人に説明なく納品してもまともに使うのは難しいと思っています。

 

だから納品時はしっかりと説明する事が必須なのです。

 

せっかく作った薪をしっかりと熱に変換してくれる薪ストーブじゃないとなんだか勿体ないように感じるので手前味噌ですが僕はヒミエルがお気に入りです。

 

 

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