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自然吸気型廃油ストーブのテスト

 
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私の作るサイクロンストーブは高温を局所的に作る様設計しています。

通常の薪ストーブは燃焼したエネルギーを本体の箱で放熱しながら燃焼を継続するので、高温の維持の為断熱材等で炉内を被覆しています。 しかし、いくら断熱材等で保温しても装置内部の体積が大きいので温度の上昇には限度があるのは致し方有りません。

通常のロケットストーブも、燃焼で発生した火炎を集めることで強力な火力を生み出し、ロストルを付け加える事で効率良く上昇気流に外気を引いて貰えるよう工夫していると思いますが、高温の蓄熱と言うコンセプトは一般的ではありません。

ガス燃焼

さて、サイクロンストーブは、通常のロケットストーブに抵抗機構を設けることで高速で熱気が上昇し屋外へ排気されてしまうことを阻害しています。燃焼経路に抵抗を設けて高温を作り出すと言うコンセプトは沢山のメリットがあって、一番の効果は高温を簡単に作りだして維持出来ると言う事です。

焚き付けを投入して、暖まってくると燃焼室に薪を詰めておき火になるまで本体を暖めます。そして、本体が一旦暖まると後はダンパーを絞ってゆっくりと燃焼させます。

そうすると、一見窓越しには薪が燃えているようには見えませんが、薪から発生する可燃性ガスがヒートライザーに吸い込まれ高温の状態の中、煙まで燃やし尽くします。 真っ赤に赤熱した抵抗装置部分は600~800℃を維持するので煙に含まれる炭素すら燃やし尽くすのです。

だから、工場の中に煙突を解放し運用しても一旦暖まれば煙の臭いを感じる事はほとんど有りません。通常の薪ストーブと比べると、薪から発生した可燃性ガスを燃焼するガス燃焼機の様に捉えると分かりやすいでしょうか。

そして、木質ガスの燃焼が得意なら、食廃油を投入してガス化すれば薪と同じ様に連続燃焼出来るんじゃ無いかと思いつき実験してみました。

 

自然吸気廃油ストーブ

今まで電気を使わない自然吸気型廃油ストーブのテストは数回の経験がありますが、満足の行く結果を作る事が出来ませんでした。 失敗したのは薪ストーブを作り始める前で、自然吸気燃焼に何が必要なのか全く分かりませんでした。 

ネットで検索すると、数点写真付きでヒットし真似しても満足の行く燃焼は再現出来ませんでした。

しかし、今は押さえるべき勘所が明確に分かります。 

それは燃料が薪だろうと廃油だろうと自然吸気型燃焼装置は全て高温に保たれた部分を作るこの一言に尽きます。 私の場合サイクロン抵抗部分です。

曖昧な推測を避ける為、高校物理の教科書を買い熱や運動の公式で自説の確認をしましたが、浮力は密度と体積、重力加速度の積で決定され、過熱空気が高温であれば有るほど密度が小さくなり強力な浮力が発生します。

ネットで見つける自然吸気型廃油ストーブは沢山空気を吸い込ませるアプローチを取っている物が多ですが、モーターの力が無い時の燃焼空気はPUSH(押し)じゃなくPULL(引き)が基本なのでいくら空気を押し込もうと思っても限界が有ります。

装置の中に高温を維持出来る部分があると、強力な浮力で空気を吸い込むので力強く燃焼するのです。けれど、吸気が多すぎると機内が冷却されドラフトが弱まるので基本燃焼優先のセッティングが大切になります。

 

とまぁ、そんな理論は一旦脇に置いて実際に燃焼実験を行った動画をご覧下さい。

焚き付けから巡航運転までは薪で昇温し、本体が暖まってから食廃油にスイッチしました。 燃料はペール缶に入れ、銅配管をヒートライザー手前まで延長し点滴のようにぽたぽたと手袋の芯に垂らしています。

途中で冷めて燃焼がストップするのでは無いかと心配していましたが、全くの杞憂で半日間連続燃焼に成功しました。けれど、供給する油の量が少なかったのか思ったほど暖かく無かったです。

薪を投入すること無く、ペール缶に油を追加するだけでずっと燃えるから、灯油ストーブに近い感覚を持ちました。発展事例として燃料タンクを大きくすればずっと暖房を継続出来るので農業とか工場の暖房に便利かも知れません。その場合はもっと簡素なデザインでも良いかな。

とにかく、燃料が薪だろうと油だろうと、高温部分を作る事でしっかりと燃焼する事が確認出来て良かったです。

 

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