ヒミエルストーブ

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なぜロケットストーブの煙は消えなかったのでしょうか?

 
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やっとの事で出来上がったロケットストーブを喜び勇んでテストしたけど、巡航運転に入っても煙の発生が止まらず

工場が煙に覆われ作業服や頭がスス臭くなった僕は途方に暮れて家路につきました。

去年のモデルは暖まると、室内でもほとんど煙を感じる事なんて無かったので、がっくり落胆でした。

性能の良かった去年モデルと燃焼機構を同一に作ったはずなのに一体何が原因で煙が消えないのか。

なぜ排気温度が低くなって、木酢液が発生するのか。

何かしらの原因が有るはずなので、とにかく原因を探しました。

 

思いつく限り探索するが、どれも的外れだった

最初に疑ったのは空気の量が少ないかと言う事です。

本体の底面に遮熱板を取り付けているのですが、空気導入の隙間が小さく吸気抵抗が大きいかと考え

一旦遮熱板を取り外して実験しましたが、全くの的外れでした。

 

次に行ったのは温度の記録です

炎の状態を目で見比べても違いが分からないので、温度計を用意して燃焼温度の変化を記録して行きます。

煙が出るのは燃焼温度が低い事が原因かと想像していたけれど、燃焼温度は600度を超えて順調に燃えているので温度に問題は有りませんでした。

 

そもそも、煙が出ると言うのは

ヒートライザー内部で可燃性ガスが燃え尽きずに天板に衝突して冷えてしまうことが原因なので可燃性ガスを高温の燃焼部分でしっかりと燃やし尽くす事がとても重要になります。

 

個人的意見だけど、ロケットストーブはヒートライザートップで強力な2次燃焼が起こると言うのは幻想だと思っています。何度も実験を繰り返した結果なので自信がある意見なのですが、

 

薪の投入量が多く燃焼ガスの供給量が多ければヒートライザートップまで可燃性ガスが上昇してくるけれど、可燃性ガスの発生ピークを過ぎてしまえば主に燃焼する場所はバーントンネルとヒートライザーの中程までだと思っています。

 

ロケットストーブの核心はガス化した木質燃料を高温の酸素と反応させて綺麗に酸化を行う事なので、乱気流の発生が非常に重要。

 

バーントンネルが長いストーブは、

横引の途中で乱気流が発生して空気と可燃性ガスがうまい具合に混合しますが僕の作るバーントンネルが短いストーブは、

何らかの方法で乱気流を発生させて、酸素と可燃性ガスの混合を促進させなければダメなのは分かっているけど、具体的には一体どうするのか分からなかった。

 

無意識の発見

ブレークスルーは思いもよらない所に有りました。

実験を行いながら、去年モデルを横に並べて大きさの違いを撮影していた最中に、

何となく去年モデルに使っていた部品と今年モデルのサイクロンチューブを入れ替えたらどうなるのかなと、ぼんやり思いついたので速攻で部品を入れ替えて実験をしてみました。

 

結果はこの映像です

ほとんど煙が見えなくなる位まで問題が解決出来ました。

決して冷めた煙突の先を撮影している訳じゃ無く、室内でも煙を確認出来ない位綺麗に燃焼出来る様になりました。

お時間有る方は動画を見て頂くとご理解頂けると思います。

 

因みに前日はこの状態

 

まとめ

煙が消えない状況に冷や汗が止まらなかったけど、原因を推測できる手がかりを得たので、温度計をセットした状態で燃焼パターンを変えて

何が燃焼効率向上に効いてくるのか探って行きました。

 

現時点で分かった事は、

去年モデルは偶然非常に良い形のサイクロンチューブを作ったので、何が性能に効いているのか気付かないまま大事な事を見落としていた。

本体をコンパクトにする中で形状変更した部分が、実は燃焼効率改善に非常に重要なポイントだと失敗を通じて認識できた。

去年と同じ形状のまま今年モデルを販売していたら、重要ポイントを見つけ出すこと無く結果オーライで通り過ぎちゃったと思うので

今回の煙が消えない問題に出くわした事は良い経験だと思いました。

 

形状の違いなんてほんの僅かなのに性能が明らかに変わるなんて、少し驚きました。

この様にほんのちょっとした事を発見する事で、問題が解決する薪ストーブの開発は本当に面白いです。

 

小さな失敗や違和感を感じる事を地道に改善を繰り返して行くので新製品開発には膨大な時間と労力が必要になります。

売れ筋モデルに絞り込んで単品を大量生産する事も合理的なのですが、僕の気質は製品開発と量産試作までが楽しいと思うので

これからも性能が良い薪ストーブを開発すべく楽しんで作り込んで行きたいと思います。

 

 

 

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