ヒミエルストーブ

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お客様から教わる多くの事

 
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いよいよ冬本番。薪ストーブシーズンに入りブログを更新したいのですが師走は本業も含め忙しくタスクに追われブログの更新頻度が下がっているのが悔まれます。

そんな中、先週末は3日間の予定を組んで初号機をお買い上げ頂いたお客様のお宅へ厚かましくも宿泊しながらバージョンアップの工事を行ってきました

初号機お買い上げのアップデート

有り難い事に今シーズンになってから突然サイクロンストーブの問い合わせも増え、ご契約いただけることも増えてきましたが、前のシーズンである去年の12月からから年明けまで、自信を持って作ったはずのサイクロンストーブの反応が全く無く、この先一体どうやってお客様に知ってもらったらいいのか途方に暮れていた時に長野県にお住まいのお客様が私のサイクロンストーブをご注文くださいました。

 

そして3月に納品を行い、使い方をしっかりとレクチャーして家に帰ったのですが、長野県から自宅へ帰る途中毎年の本体内部メンテナンスが非常に手間がかかることに気づきました。

ロケットストーブ構造なので本体内部に灰やススが滞留し、オフシーズンに天板のネジを外して板を持ち上げ、クリーナーで掃除して貰う予定だったんですが

天板を持ち上げる為にはお部屋をしっかり養生して天板を塗装用マスキングテープで包み込んで屋外へ持ち出さなくてはなりません。

 

毎年こんな作業を要求しているだなんて納品まで全く認識せず、私の勝手な思い込みでたとえ年に1度でもお客様にとっては非常に手間のかかる作業を依頼していたことが気になって、何とか改善しなくちゃと言う考えが頭の中をぐるぐると巡っていました。

 

 

 

また年に1度のメンテナンス以外にも、毎回焚きつけを上手に行わないと製作者の僕でさえ煙の逆流が発生しやすく、お恥ずかしながらとても毎日快適に過ごせる状況ではありませんでした。

ここで課題を整理すると

  1. 年に1度の内部掃除が非常に面倒
  2. 毎回の焚き付けが非常に面倒(上手に使わないと煙が逆流する)

この2つの問題を解決しようと納品後自分の工場にある展示品を元に実験を繰り返し、本体内部の掃除を簡単にできるように改造しました。

 

内部の掃除を簡単する改造は簡単に思いつきましたが、素早く安定的な着火方法はすぐには思いつかず、たくさん回り道をした結果良い方法を見つけることができました。

詳しい内容は過去のブログに書いているので参考記事をご覧ください

その他にも、チェーン規制が怖いので冬タイヤを買って履き替えたり、万が一にも部品や道具を忘れたら作業が出来ないので思いつく限りの荷物を積載し長野県へ出発しました。

改造風景

お客様のお宅へ到着後、翌朝から改造に着手します。

改造だけで無く、煙突と本体内部の清掃方法も同時進行でレクチャーを行い今後はユーザー自身の手でメンテが出来る様に製作者の僕自身が全て伝授して行きます。

このように口頭で説明するだけで無く、実際に分解掃除を体験することで仕組みを理解して良い状態をユーザー自身が維持出来るようになってもらいます。

まずは、煙突掃除のレクチャー。

屋根に登って煙突トップを外し、ブラシでゴシゴシ灰やタールを落として行きます。

絶対に湿った薪は使ってはいけません

お客様の話によると、近所の人が「湿った薪でも煙突掃除を月に1度位の頻度で行えば使えるよ!」と教えて下さったので今年の春に切った薪を、空気を絞り気味で運用していたので使用期間がたった1月にも関わらず大量のススが発生していました。

排気温度の低いロケットストーブなので、湿った薪は厳禁だと知識の上で知っていましたが、想像を超える量のススが詰まっていた煙突を見て絶句する僕。

乾燥した薪がどれほど大切か実感出来ました。

 

湿った薪を使うと1シーズンを越える事無くあっという間に煙突がススで詰まってしまうので是非とも乾いた薪を使って下さい。

写真は本体からスグのエルボの写真なのですが、内部にこんもり溜まっていたススを取り除いた後の写真です。 本当はこの3倍位積もっていました。

本体内部にもススがてんこ盛り

煙突内部だけじゃ無く、本体の内部にもタールに近いススが沢山溜まっていました。

本体内部のススが分厚くなると、本体から出る輻射熱が減るし、オーブンの温度も上がらないので本当に注意が必要です。

掃除機でオーブンの上に溜まった灰を吸うと、下に去年の灰分が溜まって、その上に湿った薪を燃焼させたススが沢山積もっていました。

 

すべてマキタの集塵機で吸い込んで綺麗に掃除して作業は終了です。

天板の交換

改造前は1枚板の天板だったけど、天板を外さなくても穴から掃除機を突っ込んでお掃除できる天板に交換です。

 

初期ロットなので穴は現物合わせだから、外した古い天板を新しい天板に重ねて穴位置を写して行きました。

そして、穴を開けた後は皿ザグリの穴を持参したアトラで開けて行きます。 φ16.5mmを手で開けるのはドリル歯が引っかかったりして疲れるけれど、アトラはザグリを綺麗に加工出来るから本当に便利。

天板を屋外で加工している間に、お客様へ本体内部のスス掃除をお願いして作業を同時進行で進めます。

テスト

改造の効果はスグに体感できるほど大きく、以前は大きなバーナーで1分間の予熱を行ってやっと弱く点火出来たのが、今は細い枝を少し焚きつけてあげるだけで、力強くゴーッと炎が吸い込まれて行きます。

 

焚き付けが難しかった頃と比べて格段に使いやすくなったストーブを体感し自然と笑顔になるお客様を見て、いままで使いにくい状態を気付か無かったのが本当に申し訳無いのと、シーズンの初めに良い状態を届けることが出来たのでホッと胸をなで下ろしました。

 

焚き付けが終わり巡航運転に入る頃、約束していたご友人達が集い始め、早速お鍋を載せて夜の宴会の準備が始まります。

火には人が集う

夜はご友人達が集まり楽しい宴会です。

今年は暖冬だったけど、丁度冬本番の始まる頃で外気は0度位なのに、ふすまを開けて30畳くらいのお部屋の温度は22度位でした。

本体から放出される緩やかな輻射熱がお部屋全体を暖め、フローリングの床も含めお部屋全体を暖めてくれます。

 

大きい天板で沢山のお鍋を同時に温める事ができる所も気に入って下さいます。

オーブンはガスよりパリッと表面が仕上がるので、お芋や、鹿肉のグリルが美味しく出来上がりました。

夜が更けて、外は寒いけど家の中はとても暖かかったです。

この後、僕は離れに準備して頂いた布団で寝たのですが、朝方の冷え込みに目が覚め長野の冬は半端ないと実感しました。

 

 

明け方、寒さに震えて母屋に移動すると遅くまで宴会をしていたのか、お客様以外の皆様は寝ていました。

そしておき火になったストーブの部屋の温度は21度。 離れと比べ暖かさが全く違うことにびっくりです。

おき火に大きめの薪を追加して、少しダンパーを開けるとスグに火が付きお部屋を暖めてくれました。

本体内部を掃除したから、本体からの放熱も多いと感じます。

そして、皆様と朝食を頂き家路につくのでした。

 

まとめ

今回は初めてお買い上げ頂いたお客様の薪ストーブを改造しましたが、効果を実感したお客様が自然とこみ上げる喜こびを押さえきれない姿を見て僕も嬉しくなりました。

今まで学んだマーケティングなんかの頭で理解する事じゃなくて、お客様の心が動いて自然とテンションが上がるお手伝いが出来た事が本当に良かった。

薪ストーブと言う「物」を売るのが仕事だけど、本当の目的は「物」を使って得られる満足感や喜びをお客様へ届ける事に焦点を当てることがどれだけ大切なのか体感できました。

 

僕のストーブが全く売れていない時は何とかして物を売ろう、売ろうとしていたけれど、そんなのは僕の勝手な都合でお客様には全く関係無い話だと知識では知っていたけれど感覚的な真意をつかんでは無かったです。

 

けれども今回、人の心が動く事を中心に行動すれば関係する人全員が楽くなると知ったので、次からは楽しい事ばかり続くように頑張ろうと思いました。

 

長野を出発して家路につく高速では、楽しい思い出が僕を満たしてくれたし、今でも楽しいので改造工事を受け入れて下さりこの様な機会を下さったお客様には本当に感謝です。

 

 

 

 

 

 

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