燃費が良く生活道具として活躍する薪ストーブが出来上がりました。
苦節1年以上を費やし、心の底から良い物が完成したと思える製品がやっと出来上がりました。
正直に告白すると、今まで人からお褒めの言葉を頂いても、心の底にはSD01と比較して私が納得できない違和感が残っていました。
けれども、全ての課題を解消したKD01が発揮する真の実力を目の当たりにすると、全ての違和感が消え去り
ここまで頑張ってきた労力が無駄では無かったし、現時点で自分が最高と考える製品をお客様へお届け出来る喜びで満ちあふれています。
自信をもって最高をお届け出来る状態が整いました。
驚異の高燃費
薪ストーブは燃焼させる樹種により燃焼時間は変化しますが、吸排気、熱の保存構造を絶妙にバランスさせることで驚異の燃焼時間を実現します。
今回は近所で貰った選定枝を2本燃焼させてワンカットで撮影しました。
特に節の有る部分はとっても硬いので火持ちが良いです。
そして、時計を横に置いて撮影すると炎が出ている燃焼時間は驚異の1時間50分。
薪を追加した時を除く全ての時間、ダンパーや吸気の操作はせずに放置しています。
証拠の動画をどうぞご確認下さい。
なぜこんなにゆっくり燃えるのかと言えば空気の流れる速度をゆっくりしているからです。
節がある部分だからこんなにゆっくり燃えますが、雑木のストレート部分では50分~1時間の連続燃焼します。
そして、火が鎮火しても熾火が残っているので薪を投入しダンパーを開くと簡単に再点火出来ます。
普段使いでは1時間を超えて火が鎮火することも多々あるかと思いますが、300kg近い本体が蓄熱しているので数時間は本体から放熱します。
なので、家事に没頭して火が消えた状態でも本体はほんわか暖かく、おまけに再点火も楽。
こういった当たり前の性能って、普通に有りそうで実は無いのですよね。
床板の低温火災を防止する設計
床の低温火災防止対策も万全です。
床が凄く熱くなるモデルは、床面の養生にとても気を遣いますが
ヒミエルは底面が熱くならないと床に手を添えて感覚的には分かっていたので、6時間の連続燃焼で床の昇温データを記録して検証しました。
燃焼室の真下と、正面から400mm離れた部分に熱電対をセットして床面の熱を測定します。
熱電対の温度と放射温度計を使い、放射温度計の方が約10度高く表示されたので放射温度計の数値を採用します。
データの結果は、巡航運転で6時間燃焼させ本体正面で約60~70度
一番熱くなる本体の底面で86度でした。
このくらいの温度だったら、床板に手を付けても暖かいと感じるくらいです。
もちろん低温火災対策に不燃材を敷いて空気層を設ける設計が必要ですが、床面が熱くならないのが良いのに決まっています。
火が良く見え、オーブン表面が400度まで昇温します。
適切に薪を追加して行くと、とろ火で燃焼してもガラスの曇りがごく僅かでした。
2日間連続して燃焼させ、一切掃除なしでこの状態です。
過去の製品と比較して熱効率が良いのか、ダンパーを絞るとオーブンの表面温度が400°近になります。(空間温度は260度位)
これはピザ釜の規格なみの温度性能で、普通のお料理では高温すぎます。
オーブンを高温にする為に、薪を大量投入して大きな炎を作る必要は無くて、普段使いのままダンパーを絞ればこのような高温状態を簡単に作り出すことが出来ます。
そして、パンなど170度位で長時間の加熱が必要な場合は、ドアの隙間を調整して温度を下げて下さい。
燃焼温度の変化が少ないので、パンやお肉もおいしく焼き上げることが出来ます。
まとめ
私の知る限り、世間で売っている薪ストーブにヒミエルと同じ性能の物は存在しません。
特に今回完成した、お客様へお届けするバージョンは過去最高の出来だと自負しています。
何か突出した性能があるわけでは無く、燃費が良くて、窓が曇らず、お料理にも活躍して、温度変化が少なく、床面が熱くならない。
どれも備えるべき当たり前の機能が集まると、突出した性能を感じない普通の薪ストーブに感じるから不思議です。
僕は製品開発が好きなんだけど、開発だけじゃただの自己満足だけで終わってしまう可能性が高いです。
そういったときはユーザーでは無く比較対照群のデータを持っているプロの批評を頂くことがとっても大切であり今回は試作品をプロの目線で批評して下さった
「川原薪ストーブ本舗」 川原様、亀井様には本当に感謝致します。
最初アドバイスを頂いたときは、指摘事項の多さに驚くと伴に解決出来るのか不安になりましたが、全ての指摘事項を改善することでダントツにすばらしい製品に仕上がりました。
僕の自信がどのように評価されるのか、ご注文頂いているお客様の感想が楽しみです。