ネットの情報って嘘じゃ無いけど最適では無いという話
世間はお盆休みに入ったみたいで、高速道路も郊外へ向かう車の方が多いと感じます。
今週から始まったKD01の製作も順調に進み、本体の内部構造が完成してきました。
製作の進化
KDの特徴はとにかく部品点数が多く、今までは小さな部品は鋼材を手切りで作っていたので途方も無い時間を費やしていました。
ちょっとした部品だったら切り出してバリを取るくらい僅かな時間と思っていても、作るのに20分掛かる部品が何個もあれば準備も含め半日くらいあっという間に費やしてしまうので今回はレーザー加工を多用しました。
そして、ネジ加工や穴加工は組み立てた後にするのでは無くて鉄板の状態で全て加工。
こんなの物作りには当たり前の事なんだけど、最適な形を探りながらの製作だったので今までは現物合わせが多かったです。
webの情報を鵜呑みにするのは自己責任
ヒミエルストーブはロケットマスヒーターと呼ぶ高温部分を本体内部に備えています。
簡略に言って、ロケットストーブの構造です。
そしてネットでロケットストーブの構造を検索すれば多くの情報がヒットするけど、実際に効果があるのか検証した裏付け情報を目にしたことが無い。
(1)一番多く目にするのが、園芸用のパーライトを断熱材に充填する方法です。
確かに安いし加工も簡単だけど、パーライトは加熱と冷却を繰り返すと割れてしまい体積が少なくなっちゃうので定期的な補充が必用でしょうか。
(2)それがもう一歩進むと、パーライトにモルタルかアサヒキャスターの様なキャスタブル材を混ぜたパーライトモルタルの充填。
パーライトだけに比べると格段に寿命が延びてメンテナンスが不要になるから結構合理的。
この2つの工法に加えて、断熱材の代わりに耐火煉瓦を入れて保温効果を狙った実験をしてみたり、断熱材をくまなく充填してみたりと自分なりに比較実験を繰り返しました。
実験データが1つだけだと比較のしようが無いので、1つサンプルを作る度に数回実験を行い結果をノートに記録します。
1回の実験時間は1日を費やすし、比較の為に行う改造も数日費やすから最適な組み合わせを探し出すのには膨大な日数が必用でした。
そして、実験の結果ヒミエルには世間で推奨されている、パーライトやパーライトモルタルは使わない方が良いと言う結論に行き着きました。
(理由)
パーライトだけだと熱膨張により粉々になるのでメンテナンスに手間が掛かる
パーライト+モルタルはメンテの手間が不要だけどモルタルを使うと蓄熱完了までに時間がかかるので、煙が消える高温に到達する時間が長くなる。
上記2つの考えはヒミエルだけに当てはまる考えなので、他のストーブへの効果は正直不明です。
ネットで公開されている情報は有益かも知れませんが、ここで一番大事なのは、ネットや本に書いている情報が自分にとって常に有効だとは限らないと言うことです。
情報を公開しててくれている人が意図的にフェイクデータを流しているんじゃなくて、自分の欲しい形にwebの情報がフィットしていないだけなんだけど、なんの疑問も持たずに人の書いている情報を真実と錯覚するのは非常に危険だと思っています。
なのでこんな薪ストーブに関する技術でも、検索技術とは別に情報の取捨選択を行うリテラシーが必用だと強く感じました。
高効率を狙うヒミエルのアプローチ
どうすれば効率の良いシステムを作る事が出来るのか?
答えはとてもシンプルで、高温を作り出す為に断熱材を充填する。この答えに行き着きました。
では、どんな断熱材が良いのか?
3年以上使い込んでどれだけ熱劣化するのか?
それこそが誰も知り得ない、僕の経験で有り財産なのです。
ただ1つ言えるのは、復唱になりますが蓄熱では無く断熱をしっかり行う事が重要です。
まとめ
薪ストーブってアナログな製品だから、外気温や、煙突の施工ルートによっても性能が激変します。
デジタル機器は簡単に模倣出来るけど、アナログは経験値の積み重ねが物を言う世界なので簡単に真似することが難しいです。
今では空気の流れ、熱の伝わり方などが目を閉じると頭の中にイメージとして湧いてくるので大方の不具合には対処出来る様になりました。
たまにお問い合わせ欄から、自作ストーブについて質問を頂くのですが
自分の作っている製品でさえ膨大な時間を費やして理由を検証するのに、前提条件がよく分からない不具合の質問は答えようが無いのが実情です。
なので、先ずは自分が行った前提条件を疑う事をお勧めすると伴に、人の言っている事が最適では無いと考える事から新たなアプローチを行う事をお勧めさせて貰っています。