KD01初号機の復活と実験
2019年9月に川原薪ストーブ本舗様より返却頂いたKD01の初号機をやっと使えるように復活できました。
手元に帰ってきてから約2年も経っていたのですね。
廃車になってしまったカーキ色のキャリートラックが懐かしい。
今でもお客様からのご要望で実機での実験が必要になる場面が多いからデモ機は必須なんだけど、忙しさに気を取られ改造するのを後回しにしていました。
サイドシェルフ追加
タイトルのままで、サイドシェルフを追加してみました。
もちろん単に鉄板を追加しただけでは無く、本体にタップを立てて、ブラケットベースを遮熱板の下から取ったので68㎏の僕が乗ってもびくとも動きません。
燃焼実験で温度を計測してみると本体に近い方で120~130度、端で90~100度でした。
既存の製品にボルトオンと言う訳にはいかず、遮熱板サイズのカスタマイズが必要になります。
取っ手形状変更
これもタイトルのままで、設置場所に制約のあるお客様がなるべく飛び出しを抑えたハンドル形状をご希望になられたので、この形状でご納得頂きました。
今まで熱の影響を考え取っ手をスプリングで仕上げていましたが、今回はお客様のご要望で木球を取り付けました。
ただ、輻射熱で木が炭化してしまう恐れがあったので実際に燃焼させて目一杯燃やして昇温テストを行いました。
1日中燃やしても大丈夫だったので、一応この形状でOKと言う事にします。
まとめ
KD01初号機を作ったのが2018年の夏頃なので約3年が経過しようとしています。
その間何台もつくりましたが、未だに小さな改良や生産工程の見直しを続けて製品の向上につとめています。
けれども、基本的な燃焼性能は最初から変わることなく同一なので、偶然にもこのような効率の良いシステムを発見出来て本当に幸運だと思います。
燃焼実験を行いながら作業エリアでは7月に納品するストーブの製作を行ってます。
見学に来て下さる鉄工所関連の方は「こんなの簡単に作れるっしょ」的なスタンスでお話下さる事が多いです。
僕も製缶作業に従事しているので外観だけ見ればその様に感じるのも良くわかります。
しかし、レクチャーなしにこの形状まで仕上げるのは本当にむづかしいんですよ。
特にヒズミの量が多いから、動きを見切って鉄板の平面を拘束しないと収拾がつかなくなるし内部構造をキレイに納める事が出来ません。
また、自分も含め技術職の人に多いのですが製品だけ出来上がっても、お客様の心に製品の優位性が届かなければ単なる自己満足で終わってしまいます。
技術的な壁よりもマーケティングを実施するプロセスの方が心理的ハードルも含めてかなり高いので、物だけコピーしても単なる真似事で終わってしまう可能性が大きいと考えます。
僕の考えるヒミエルストーブの強みは、設計と製造そして納品まで一貫して責任を負っているので不具合や改善のサイクルが高速で回せるのと、必要になった部材はほぼ自作出来る事だと思っています。