ヒミエルストーブ

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薪ストーブの寿命に関する要素

 
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ロケットマスヒーターの構造を採用するヒミエルストーブはヒートライザーと呼ばれる約60㎝の筒で薪から発生する木質ガスを高温で燃焼する事によりクリーンでパワフルな暖房能力を生み出している。

しかし、高温が発生すると言うのは良い面でありその反対側に視線を移すと熱による摩耗が進行すると言う大きなデメリットの存在を無視できない。

通常のクリーンバーンは高温と言えども連続稼働で300℃台での運用が多いが、ロケットマスヒーターのヒートライザーの燃焼温度は800度を軽々と越えてしまうので熱に強い金属素材を使用したとしても顕微鏡レベルで観察すると表面が逐次摩耗しているのが事実であり、違う言葉で表現するとリーズナブルな価格で高温の連続使用に耐える素材は存在しません。

そして今回6年間寒さが厳しい長野県で10月から4月末まで約半年、毎日運用されていたSD01を引き上げて分解する事で弊社ストーブのどの部分にストレスが掛かるのか、また長期間の使用でも全く劣化しない部分が有る事を学びました。

設計時に想定する最大限の対策を施してストーブの納品を行いますが、実際に使用されたストーブを検証する事でさらなるステップへ進むことが可能となります。

過去には他社のブログにてヒミエルストーブの寿命がまだ未知数だと記述されていた記事を読んだことがありますが、新発売の当時は全くその通りだし私自身、製品寿命に関しての知識は持ち合わせていなかった。

ストーブの寿命に関する変数

ストーブ本体の設計だけで寿命が決まるのではなく、幾つか大きな要素が存在しておりそれぞれのバランスで摩耗の進行が進んだり長期間の使用でも問題なかったりと濃淡が生まれる。

そして一番大きな要素は使用環境が大きいと言うのが私の意見。

例えば吹き抜けの1棟がワンルーム見たいな戸建て住宅であっても、新築であれば断熱性能が高いので高出力での運転が不要であり、金属摩耗が進行する温度帯以下で使用するので驚くほど劣化が進みません。

その反対に、気密の低い大空間で常にフルスロットル運転をすれば金属が熱に耐えることが出来なくなり摩耗が加速度的に進行します。

これは薪ストーブに限ったことでは無くて、お風呂を沸かす薪釜でも大きな火力で運転すればすぐに穴があいてしまうし、加減して使用すれば長期間使用できるので金属を使用した暖房器具に共通した要素なのは間違いありません。

ここで間違えて欲しくないのは、大火力での運用が悪いと言っているのでは無く「大火力での連続運転が非常にマズい」という事を理解してほしいです。

ストーブに火を付けて本体やお部屋が温まるまで大火力で加熱するのは正しい運転です、そして一旦温まれば後は巡行運転を意識して適宜追い炊きをするのが理想的な運転。

しかし、自動車に例えるなら常にアクセルを踏み続けた状態だと驚くべき速度で金属が摩耗します。

設計の時に想定した以上の連続高温使用を長期間に渡って行えばあっという間に穴があいてしまうので気を付けてください。

素材によるアプローチ

先に述べた熱摩耗に耐える金属が存在しないと言う話の延長で、熱で摩耗する場所も特定の位置に集中する事が分かってきました。

端的に言って熱の方向が変化する部分が摩耗します。

クリーンバーン機のバッフルがこの部分に該当し、熱を滞留させて高温を発生する意図で備わっているので狙い通りなのだけど、熱がバッフルにぶつかって進行方向が変化する場所が損傷する。

そしてこの場合2つの対応が有って

1つ目は摩耗に強い素材の採用

2つ目は摩耗を前提とした交換式の形状を採用

通常いずれか、もしくは両方のアプローチを採用しており私は両者を選択している。

そして熱摩耗が激しい部分へ熱対策を入念に施し、長期間の使用でも摩耗しない部分へは通常の対応と言う熱対策に濃淡をつけて設計を実施出来る様になりました。

まとめ

話が長くなったけど、長期間使用したストーブを分解する事で明快にヒミエルストーブの弱点と良い点を認知出来たことが今年の大きな進歩。

燃焼に関する知見や感覚は以前から備わっていたけど、製品の摩耗や劣化に関する知識は実機ベースで検証するしか方法が無いのでやっと答え合わせを行える時期が来ました。

製作者によりアプローチは異なるけど、初期設計が完成形という事は世の中には存在せず自身の過去を否定して新たなコンセプトに挑戦する事がものつくりの面白さだと実感。

頭の中では今回の検証を踏まえて改善を行うコンセプトが固まっているので年明けに検証しようと考えてます。

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