日本のサウナストーブに感じた違和感
日本市場で販売されているサウナストーブの多くは、鉄板(鋼板)の露出面積が大きい設計になっています。
薪に火が入り、ストーブが高温になると、その鉄板から強烈な輻射熱が放射されます。サウナ室に入った瞬間、素肌にじりじりと刺さるような痛みを感じたことはないでしょうか。
あの不快感の正体は、鉄板から直接放射される輻射熱です。
日本には「10分で限界まで追い込む」スタイルのサウナ文化があります。高温・高負荷の環境に身を置き、その苦しさに耐えることに価値を見出すスタイルです。それを否定するつもりはありません。
ただ、私自身そのような温浴環境を楽しいと思うことが出来ません。
しかし、サウナ文化が根付いている北欧では日本とは全く異なるスタイルが有る事を知り、サウナストーブの形状を注意深く観察すると一つの共通点が有る事に気付きました。それは
鉄板の露出面積が少なく、石の搭載面積が多い。
これは偶然ではありません。
石はゆっくりと熱を蓄え、ゆっくりと放射します。鉄板のような鋭い輻射熱ではなく、全身をやわらかく包むような熱環境が生まれます。室温は60℃前後。息苦しさがなく、長くゆったりと過ごせる。
そこにロウリュウ——熱した石に水をかけて蒸気を発生させる——を加えることで、湿度と熱が絶妙に混ざり合った、穏やかで深い温浴体験が完成します。
これが、私が求める日本式とは異なる蒸気浴を長時間楽しむサウナスタイルです。
だから、このストーブをつくった
私が製作したサウナストーブは、この思想を設計の起点に置いています。
薪の投入口と灰の取り出し口以外、鉄板の露出を極力排除する。その分、石を載せる面積を最大化する。
鉄板から素肌を守り、石を通じたやわらかな輻射熱と、ロウリュウによる蒸気浴を両立させる。
「我慢する」のではなく、「心地よく、長く楽しむ」。
それが、このストーブに込めた設計思想です。

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