蓄熱ストーブの扉を製作する

今回はレンガを積み上げて作る蓄熱ストーブの鉄のドアを制作しました。
一見すると何の変哲もない鉄のドアだし、簡単に作ることができると思うのですが、初めて作るものというのは色々未知の部分が多く、ネットやYouTubeを検索しても明確な寸法がわからない場合が多い。
私の場合、今回の制作にあたって悩んだのは何点かあり、まず第一に鉄の枠がドアを開けた時に鉄枠が倒れないようにする方法をどの形に抑えるのかをとても悩みました。
鉄の窓枠をレンガの本体から外れなくする方法は本当にたくさんあって、単に鉄の枠の内側からビスを打ち込むものから、倒れ止めにピアノ線をくくりつけてレンガに穴を開けアンカーを止める方法、さらにコの字型の鉄枠を作りレンガを挟み込む方法など、本当に多岐にわたり、どれが正解なのか多分誰も分かりません。
そして私が採用した方法は、一度設置してしまえば鉄の扉が倒れる心配の発生がない、コの字型の枠を作り、その間にレンガを挟み込む方法を採用しました。
この方法にも悩むところが1点あり、レンガと鉄扉の間には膨張率の違いを緩衝する断熱材を挟んで気密を保つのですが、一体何ミリの隙間を空ければ適正なのか、そんなことは誰も教えてくれません。
そしてもう一つの疑問点は空気導入孔の大きさです。私が吸気口の大きさを計算する場合、排気する煙突の直径・面積から吸気口の大きさを計算しますが、本体が温まれば空気を吸い込む力が強くなるので、煙突の直径150mmすべての面積で吸気口を製作する必要はありません。
ではどの大きさが調子よく燃焼するのか、確認するにはこれまた実証実験しかないというのが私の行き着いた答えです。

そして最後の疑問点は、本体に取り付けるガスケットと扉を接着する溶剤の選定です。
以前までは薪ストーブでは定番のルトランドのガスケットボンドを使用していたのですが、購入してから使用するまでの期間が空いてしまうと、使用したい時に固まっていて新品を買い直す場面に出くわすことが多々あるで、何か代替できるものを探していました。

そして私の目についた代替品はこの2つで、一つはセメダインの耐熱パテ。ルトランドのガスケットボンドと一緒で、セメントのように硬くなってガスケットを固定することが可能であるばかりか、ホームセンターで簡単に入手することが可能。おまけに耐熱温度は1100°Cなのでガスケットに使用するには全く何の問題もありません。
そしてもう一つ選んだのがシリコンシーラント。ホームセンターで販売されているシリコンシーラントなのですが、耐熱をうたってはいないけれども、直接熱が加わらなければ300°C以上の温度でも燃えないとても便利なケミカルです。
そしてどちらが優れているのかというのは使用してみなければわからないので、扉の半分を耐熱パテ、半分をシリコンシーラントを塗ってガスケットを取り付け、実際に燃焼を繰り返すことで寿命や保持力、交換する時の簡易さなどを確認してみたいと思っています。
その他にも内部形状や煙突の取り付け形状など、実際に作ってみないとわからない問題点がたくさんあるので、まずは作ってみて実証実験を繰り返し、詳細を詰めていくことが開発期間の短縮にとても有効であることは間違いありません。

以前のブログにも書きましたが、わからないことがあると言ってわからないで止まってしまうと開発が前に進まない。そんな時は思いつきでもいいので、とりあえず仮の模型を作り、実物を見ながらアイデアを広げていく方が確実に道が開けると思う。
今回作成した扉は工場に在庫していた材料だけで作ったので窓ガラスのサイズなどは設計とは異なるけど、製品を作る場合は今回の試作を踏まえて全般的に寸法を変更するので良い判断。
そういったわけで、単にレンガを積んだだけのプロトタイプだけど、自分が試してみたいと思う構造を盛り込んだストーブがどのような特性なのか、実際に検証して確認することがとても楽しみです。