2018/09/17

折れたネジを抜く技法

 

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折れたネジを抜いて欲しいと言う依頼が度々あります。

ネジと言ってもM4~M30まで多種多様で、抜く方向も下向きだけでは無く、横向きや、上向きなどが有ります。

今日は折れたネジをどうやって抜くのか、秘伝では無いですがネジザウルスに頼らない方法を伝授します。

本体より上に折れたネジが出ている場合

ネジが折れても、、本体よりネジ部分が上面に出ていればロッキングプライヤーでつかんで対応します。

ねじ穴があれていたり、ネジロック剤が効いてロッキングプライヤーで対処出来ない場合は、ネジにナットを溶接して

ナットにハンマーで衝撃を与えて抜きます。

本体よりねじが出ていると打てる手が多いのが特徴です。

本体と折れたネジが面一の場合

折れた表面が綺麗な場合

(1)ねじに下穴を開けてエキストラクター(逆タップ)で抜く

(2)逆タップで抜けない場合は被服アーク溶接のSUS棒1.6か2.3mmを利用してネジのセンターにアークを飛ばします。

この場合最初のアークスタートで本体に放電してしまうと一巻の終わりなのでネジの中心へしっかりとアークを飛ばすことが重要です。

一旦アークスタートすると溶接の肉にフラックスが自動的に巻いて来るので、低めの電気で肉盛して、ナットを溶接します。

写真で解説するとこのような流れになります(サンプル)

ネジの中心めがけて慎重にアークを飛ばします

表面のフラックスを取るとこのような感じです

そして中心の溶接肉に溶材を乗せてゆきます

そして、盛り上げた肉にナットを溶接して抜き取ります

最後はモンキー等で外しますが、ネジ山が傷んでいる場合は浸透スプレーを吹き付けてハンマー等で振動を与えます

折れた表面が荒れている場合

この場合は、ネジの山が荒れて抵抗になるのでひとまず荒れた部分の除去に取りかからなくてはいけません。

方法は状況により判断しますが

(1)ネジより大きなキリで破断面表面をモミ取る

(2)ドリルが食い込まない高度が高い素材はサンダー等で荒れた部分を削り取る

とにかく、荒れた部分を処理出来れば、表面が綺麗な場合と同一のフローで処理します。

 

ネジが本体より低い位置で折れた場合

逆タップで処理しますが、硬ければ溶接で抜きます。

私の場合折れ込んだネジはM8から抜くことが可能です。

折れ込んだネジの側面にアークを飛ばしてしまうと一環の終わりなので、集中力が大切です。

とにかく溶接でネジを抜く場合に重要なことは

折れたネジの中心にアークを飛ばす!

 

サンプルで説明すると、このように沈み込んだ部分でネジが折れ込んでいると想定します

中心を狙いアークを飛ばします。

ネジには自然にフラックスが巻いてゆくので、ネジへのダメージを心配する必要はありません。

フラックスを除去するとこんな感じ。

そして肉を盛り上げてゆき、ナットを溶接します

 

 

ネジ山にフラックスが巻きこむので、ナットを緩めたり閉めこんだりしながら抜いてゆきます。

ネジの上面に溶接肉が盛り上がっているので、沈み込んでも強い力でネジを回転することが可能です

 

上向きで抜く場合

高張力鋼のネジが引っ張られて破断すると、破断面が硬化して通常のキリでは歯が立たなくなります。

そんな時は表面コーティングされたミラクルドリル等でセンターに穴を開けて逆タップを打ち込みます。

しかし、微動錆びなどでねじ穴が固着している場合は上向き溶接を選択します。

しかし、上向きではアークスタート後の被服がほとんど落下してしまうので肉盛溶接が出来ず

M14 以上しか対応出来ません。

 

ネジを抜くと何がよいのか

プレス金型等締め付けに使っているネジは衝撃荷重を繰り返し受ける為よく折れます。

1個5~20万円する金型もネジが折れてしまえば使えないので、捨てるのは勿体ないし、

何とかネジを抜いて使えないかと考えるのは当然かと思います。

溶接や逆タップで抜く前までは、放電加工で折れたネジを除去していたそうです。

機械加工なので間違いはありませんが、納期と費用が私の手仕事と比べ様も無い位掛かりますし

軽トラの荷台くらいも有る大きな金型や機械装置本体は放電加工機に乗らないので

職人の手仕事で折れたネジを除去するのが最も早い処理方法になるのです。

昔は1面1000千万以上の予備の無い金型のネジを抜く時は緊張して誰かに変わって欲しいと

思っていました。しかし慣れとは恐ろしい物で、今は緊張している自分を感じつつ心をコントロールして

何事も無いかの様に淡々と仕事を遂行出来る様になりました。

どれだけ時代が進んでも、職人の手仕事が役に立つ場面にいたい物です。

 

 

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