(失敗編)上向きで折れたネジを抜く技法

 

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最初にまとめ

職人を続ける事によって、今でも多くの気付きが有ります。優れた個人の技術が不要になる事などありませんが、個人の力が全体に与えるインパクトなど自分が想像していた以上に小さな物では無いかと思います。

個の力では無く、いかに周囲から賛同を得られる場を作り出し、タスクの分散化を図るのか。個人の技量に拘泥するのでは無く、多くのプレーヤーの参加を促すことが結果的に自分と顧客の双方にメリットがあるのでは無いかと気付いてから、注力する方向が内側で無く外へ向かう様に、またぶつかり合いそうな互いの立場で交渉が必要な場面でも、一旦相手の要求を聞いた上で少しでも和合の流れへ誘導出来ないかと考える事が出来る様になりました。

このあり方は、技術向上とは異なるとっても大切なスキルだと思う様になりました。

今でも記憶に残る手痛い失敗

創業してから今まで幾つか記憶に残る大失敗が有るのですが、そのうち1つは今から10年位前、機械装置の中に折れ込んだネジ抜きに失敗したことです。

当時は創業して数ヶ月、自分の技量を超えた仕事を認識出来る力が無く、単に長時間労働と勢いだけが武器でした。

手順は昨日書いたブログと全く同じ事を行いました。

昨日の記事はこちら

上向きにポンチを打ち込み、ネジの中心へ慎重にキリで穴を開けていたその刹那・・・・「パッキンーーー」!!!ドリルを折ってしまったのです(涙)

ドリルを折ると言う事はすなわち「取り返しのつかない失敗をした」事で、その責任は作業を担った私に全て問われると言う非常に厳しい状況です。 

詳細は割愛しますが、折れ込んだドリルは硬度が高く、ドリルを削ったり、粉砕するなど除去する方法が無いので逃げ道が無く、絶対に避けなければならない状況なのです。

 

私は突然陥った絶体絶命の状況がショックで、心拍数が急上昇して、腰を抜かしてしまい立てなくなりました。 後になって、その状況を離れた所で見ていた人に聞くと「突然倒れる様にスクラップ箱に座り込むからびっくりしました。」と言われた位、全身の力が抜けて意識が遠のいた記憶があります。 

余りにショッキングで、断片的な記憶しか残っていませんが、必死になって絶望から逃れる方法を考えました。 

けれども、焦るほどに気持ちが上滑りして何も手に付かず、アイデアも浮かばない。そして時間だけがむなしく過ぎて行き更に焦る。 どう見ても負のスパイラルに嵌まって居るのは明らかですが、空回りする気持ちをコントロールする事が出来ませんでした。

とにかく、一旦休憩時間を取り現場を離れて気持ちをリセットして冷静に必要な手順を頭の中でおさらいすると、ともかく折れたネジを回転させなければ次のステップに進むことは出来ません。

上向きに折れ込んだネジの中心はキリが折れているのでこれ以上手出し出来ません。 しかし、折れ込んだキリの横にもう1個穴をあけて挑戦してみようと計画を立て再度挑戦すると・・・

穴開け完了! 逆タップ打ち込み成功!そして奇跡的にネジが緩んで取り外しが完了しました。今振り返っても奇跡だと思います。

この恐怖の記憶はしばらくの間私の中から抜けることは無く、記憶が薄れるまでの数年間この依頼は全てお断りしていました。

振り返り

自分の技量を実力以上に過大評価していた事が全ての原因で、状況を瞬時に見極める冷静さ、選択肢の手数、そして危ない橋を回避する慎重さ。その全てが未熟だからこそ招いた自業自得の体験だと思います。

冷静に考えると危機的状況から逃れる方法を他にも思い付くのですが、自ら作り出したプレッシャーの海でおぼれてしまうと、視野が狭くなって自分自身がホイルスピンした様になってしまいます。 

気持ちばかりが空回りして、状況は全く前に進まず焦燥感が頭から離れなくなり短時間で疲労が極限に達してしまいます。

そのような場面では気持ちが先走り、指示もぼやけて、上手く行かない理由を周囲に求めていました。

一事が万事、無駄に力ばかり入って、成果は乏しかった様に思います。

 

 

 

 

 

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