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「高温」だから薪の消費が遅い

 
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数年前の私は、2重煙突を使う事が薪ストーブを上手に運用する唯一の方法だと考えシングル煙突でしっかり燃えるなんて、自分が知っている範囲の常識から外れているので「そんな事無理だろ!」と考えていました。

改善の余地が少ない従来型

従来型の薪ストーブは煙突内部の浮力によって吸気していると以前の記事に書きました。

なぜ薪ストーブは燃えるのでしょうか?

詳細はリンクを読んで頂くと分かると思うのですが、煙突内部の温度を保つ事が構造的な制約なのです。

  1. 煙突内部を高温にしなけれれば行けない
  2. 2重煙突がお勧め
  3. 排気抵抗軽減の為屋根抜きを推奨
  4. 煙突内部が冷めるまで燃焼空気を絞る事が出来ない

このように、煙突の浮力が全ての動力源なので、抜本的な改善は出来ないと考えます。

持続的な改善で、

触媒を排気経路に設置して燃焼効率を向上させたり、バイメタルで燃焼温度に応じた吸気コントロールを行ったり機械的な制御を追加する事で性能向上を図ろうとするアプローチは存在するけれど、機械保全を生業とする私のポリシーは「シンプル イズ ストロング」です。

長期間使用する燃焼器機に制御を入れてしまうと、もし10年後壊れた時に修理するのはとっても大変では無いでしょうか。 

シンプルはベストだけじゃ無く、強い! なので焦点を装置の性能に合わせると制御の導入は正解かもしれませんが、製品寿命を考えると違う答えになると思います。

決め手は内部の高温

そこで私はロケットストーブ方式の採用です。

ロケットストーブで検索して貰うと色々情報が出てくるので、詳細は割愛しますが燃焼室の上に設けた断熱部分を高温に保つ事で煙突の浮力に頼らない燃焼が可能になります。

 

しかし、これだけじゃ燃焼速度の制御は薪の投入量で決定されてしまい、燃焼温度が高い程排気フローも高速になるので薪の燃費によろしくありません。

私はゆっくりと燃焼する薪ストーブが欲しいのです。

排気温度が高い=排気流量も多いので薪の燃焼を遅くする事が出来ません。

そこで一般的には薪の燃焼に応じた吸気口の開度を調整してフローコントロールを行うのですが、薪の減る状況に応じてずっと吸気口開度を調整するなんて現実的じゃないし

良く燃やすには基本エアーリッチの制御で運用するのが精神的にも良いので勢いよく燃やして満足してしまいそうです。私も現在の方法に気付くまでは上のイラストの様なロケットストーブで十二分に満足していました。

しかし、ゴーーっとロケット見たいに燃えて行く薪を眺め、もっとゆっくり燃やす事が出来ないかと思った事がその後の発明に繋がりました。

高温ファースト

薪から可燃性ガスが発生して、通常のロケットストーブだと火炎が水平部分から垂直部分に90°方向転換する部分で気流の乱れが発生してガスと酸素の接触が促進されます。

ロケットストーブで一番高温になる部分なので、ホームセンターで買った肉厚の薄いダクトだと1シーズンで穴が空いたりします。そして、高温になるので強力な上昇気流が発生します。

私は単に筒の表面を高温の熱気が高速で上昇するのでは無く、炎が渦を巻く様に燃焼すれば従来のロケットストーブより一層高温状態を作る事が作る事が出来るのでは無いかと考えました。

高温状態を作り出す事が可能ならどのような形状でも良かったのですが、偶然思いついた燃焼形状がサイクロンでした。

サイクロン燃焼を行う事により、発生したガスと酸素が燃焼室内を一気に上昇する事がなく、適度に滞留しながら燃焼するので従来型と比較して高温を有意に作り出す事に成功しました。

もちろん製作した後はデータロガーをセットして実験を行い、2標本の母平均の差の検定(t検定)を行い5%有意水準で母平均に差があることは確認しました。

要は、サイクロン燃焼は従来型ロケットストーブと比較して高温を生み出す能力に長けていると言う事です。

この高温を生み出すと言う性質こそがゆっくりとした燃焼を可能にするカギとなるのです。

まとめ

アプローチは色々ありますが、私は炭焼き窯方式で燃焼速度の抑制を狙っています。

私が見学した紀州備長炭職人さん手作りの窯は、100tにもなる土が蓄熱体となって、内部に熱をため込み巨大な上昇気流が発生するのを、小さな排気口で抑制していました。

同様に私のストーブは装置内部に蓄熱し、強力な浮力を溜めながら排気を目一杯絞って緩やかな燃焼を持続させます。

このようなプロセスの薪ストーブは少ないので、いくら言葉で説明してもイメージするのは難しいと思います。しかし、実機を見て貰うと私の説明に納得して頂けると思います。

自分の作った薪ストーブ限定ですが、最近は燃焼のプロセスや吸排気のイメージを頭の中で再現出来る様になりました。薪ストーブの構造や原理が分からない時は、自分の知っている範囲を少しでも外れると全く暗闇だったのが、経験を積む事で知識の点が面となって繋がり、頭の中で立体的なシュミレーションを行えるようにまでなりました。

そして、サイクロン燃焼による高温発生と蓄熱のアプローチは合理的では無いかと思っています。

 

 

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