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ロケットストーブを室内暖房に導入できるか試作してみた

 
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オーブン付きロケットストーブをテストしています

薪ストーブ業界では新しいジャンルのロケットストーブ。

ロケットストーブとは

出典)Rocket stove wikipedia

ロケットストーブは、小径の木質燃料を使用する効率的で熱い燃焼式ストーブです。 燃料は、絶縁された垂直煙突を含む単純燃焼室で燃焼され、火炎が調理面に到達する前にほぼ完全燃焼を保証する。

アウトドア派の方はご存じかと思いますが、日本各地でペール缶に煙突とエビ管を使い、本体上部に五徳を置いて小枝なんかを燃料に料理を行うワークショップなんかが行われています。

ただ大きくて、鋼板で密閉されて居る事を除けば今回作った薪ストーブも原理は全く一緒です。

古民家導入へのハードルを下げたいと思った

 

昨年、賃借の古民家に住んでいる知人が薪ストーブを導入を考えていると聞き、お宅にお邪魔して設置の可否を

ご相談させて頂きました。

都会から引っ越しされて、ご自身でキレイにリフォームされた自作の囲炉裏でお茶を頂きながら設置希望のお話しを

聞く中で、古民家の屋根をぶち抜いて煙突を設置してしまうと、退去の時に原状回復する事が大きな負担になるのと

人が集う、暖房が欲しいエリアに薪ストーブ設置を考えると、まっすぐに屋根だしがベストな煙突設置がどうしてもネックに

なると知りました。

今の高気密高断熱の家とは異なり、冬の寒さがもろに室内へ伝わる伝統家屋こそ薪ストーブがお似合いなのに

設置にはもの凄くハードルが高い。

このギャップを埋めることが出来れば良いのにと考えた事が、開発を始めるきっかけです。

 横引きを可能にしたい

私が今まで作った薪ストーブは本体からなるべくまっすぐ垂直に保温された2重煙突を設置する事が、

安定した燃焼に必要な条件でした。

壁抜きする場合は縦と横の比率が2:1くらいで、壁抜きの為に煙突の横引きがあると、煙突が発生するドラフト力が

弱くなって安定した燃焼を維持することが難しいです。

なので、今回は今までと構造が異なるロケットストーブ方式の薪ストーブを試作して、

煙突内部の浮力に頼らない薪ストーブの実証実験を行いました。

ロケットストーブ方式の薪ストーブは、薪ストーブ本体の中に蓄熱する2重煙突を内蔵する事で強力な浮力を発生させるので

高価な2重煙突は不要になり、横引きも可能になるとネットで情報を収集出来ます。

参考記事はこちら この記事でほとんどの知識は得ることが出来ると思います

しかし、今回実験するまで効率の良いロケットストーブ製作を目指しながらも失敗の連続だったので、ネットの情報はどこまで

本当なのか懐疑的でした。

横引きが可能になると、設置の自由度が飛躍的に上がるし、屋根の大工工事が不要になるので薪ストーブ導入のハードルが

下がると思いました。

 

蓄熱型ストーブを参考に設計

ドラム缶で作ったロケットストーブはストーブから出る煙突を横引きして、土で作ったベンチに蓄熱させてヒートベンチにしたり

本体を粘土やレンガで覆って、薪を燃やして生成した熱エネルギーをなるべく室内へ留める様な工夫が素敵だと思ったので

今回作ったストーブは蓄熱の思想を取り入れて大きなストーブを設計しました。

紙の上ではスケール感が今ひとつ分かりませんでしたが、部品が納品され現物を見ると、想像よりも2割以上大きいと

感じたのも遠い思い出です。

購入した鋼材だけで300kg以上。それに断熱部材や諸々で現在320kg前後の重量があります。

蓄熱型ストーブの定義は800kg以上と言われているので、まだまだ軽い方ですが今後テストを進めて行く中で

両側面に耐火レンガを貼り付け更に蓄熱する様改造して行きます。

実験結果

横引きのテストの写真

[su_row] [su_column size=”1/2″] スパイラルダクトを横引き4Mして縦に3M立ち上げています

[/su_column][su_column size=”1/2″] シングル横引きでも問題無く燃焼を継続しています
[/su_column][/su_row]

 

横に4M縦に3Mのシングル煙突を接続して燃焼実験を行いました。

全く問題無くキレイに燃焼しました。

焚き付けの時は、冷えた煙突の抵抗が大きく、煙が扉方面へ逆流するかと心配していましたが

全くの杞憂であっという間に焚き付けが完了しました。

 

ロケットストーブのメリット、デメリット

熱効率が良い

ロケットストーブは薪を焼した熱エネルギーの多くを室内の暖房に使用出来ます

詳細は過去記事を参照して下さい

 

今回の実験では4Mの横引き終端から、縦になった部分の煙突温度は40度だったので素手で握っても、ほのかに暖かい位でした。

本体内部の高温な部分は800度~1000度

本体トップで400度~500度

本体表面で300度~200度

煙突出口では40度位と言う事は、燃焼によって発生した熱エネルギーをほとんど熱交換出来たと言う事かと思います。

自分の目で実際に見るまで、にわかに信じ難い結果です。

普通の薪ストーブでは考えられないほど熱効率が良いです。

シングル煙突でOK

何度も繰り返しになりますが、高価な2重煙突、屋根工事が不要になります。

通常の薪ストーブ導入を考えると、本体と同じ位もしくはそれ以上の金額が煙突工事に必要になります。

煙突の長さや、配管経路によって金額は変動しますが最低でも部品代だけで20万円以上は掛かると思います。

それが不要になるって、お得じゃないかな

木酢液が発生する

薪はどんなに乾いていても、15~20%の水分を含んでいます。

なので1kgの薪を燃やすと、ざっくり200gの水が発生します。

ストーブの平均排気温度が150度以上になる2重煙突のストーブは水分が蒸発して煙突から排出されるので何ら問題は発生しませんが

煙突で排出される熱を極限まで室内へ放出し、冷えた煙突内部には水分が結露します。

煙が結露すると、大量の木酢液が発生します。  木酢液は強酸性なので家屋の屋根を傷めます。

なのでロケットストーブでは屋根抜きを推奨致しません。

発生した木酢液は、ビニールホースを使ってペットボトル等に回収します。

木酢液発生を抑制したいのなら、排気温度を上げれば良いので、煙突を保温するか、煙突の長さを短くする事で対処します。

まとめ

本体が完成して2度テストを行いました。

通常型薪ストーブばかり作っていましたが、テストで今までの製品とは異なるロケットストーブの実力を

直に見て今後の可能性に期待しています。

今後色々条件を変え、テストを重ね、新たな製品開発に繋げていきます。

 

 

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