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特許を取る事が出来ました。

 
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先日顧問弁理士から出願していた特許の査定が下りたとの連絡がありました。後は登録料を納付すれば請求項に記載されている範囲で権利が確定します。

まだ誰も作った事の無い、燃焼効率をアップさせるコンセプトを思いついて実験を重ねていた頃が懐かしいです。アイデアのヒントになったのは金属加工を行う熱処理炉のバーナーの構造でした。

ヒントを元に燃焼効率向上を狙った独自形状のコンセプトを自分の文脈で組みなおして試作品を作りました。

 

特許申請に挑戦してみようと思ったのは、大学院の授業で学んだ知財戦略や、模倣の経営学にも書かれている通り後追いのコピーキャットの方が開発コストが掛からない分状況が有利だという事を思い出したのでアイデアの権利を確定してみたいと思ったのがきっかけです。

ちょっとしたアイデアや発明を見つけた時、友人同士で「特許とればいいやん」などと冗談を言ったりしますが、実際に申請した人は誰もおらずどのような流れで取得するのか当初は全然分かりませんでした。

検索すれば特許申請フローのチャートを見ることが出来ますが、言葉の意味すら五里霧中でした。

今回の特許取得に挑戦して得たものが3つあります。

長文なので、言いたいことはこの3つに集約されます。

1)商品などに特許取得済みなどと記載されていても特許検索(j-platpat)で請求項の権利範囲を即座に確認できる様になった。 とかく権利範囲を拡大解釈しがちなので請求項を読み解くことが大切なのと、分からない場合何処に聞けばよいのか知ることが出来た。

出願しても審査請求せずに公開されている特許も多くて、特許出願中と言う表記のまま広告をしている商品も多いと知りました。また、特許検索で先行特許を読み込み異なるアプローチで権利範囲をクリアランスする方法を考える事を面白いと感じるようになりました。

 

2)特許出願から、発明コンペに応募し結果落選しましたが、一連の流れの中で発明の効果を説明するために、客観的な比較データの積み上げが必要だと当たり前の事だけど、今までおろそかにしていた手法を身に付けることが出来た。

良い物が出来たぞーと満足しても、大きな自己バイアスにかかっている事すら自分では気づかないので、データ記録装置を買って実験を行い比較対象と比べてどの部分が優れているのかを示せるようになりました。

実験の手法も自分で考えて試さないといけなかったので、本当にたくさんの時間を費やしました。

人の感覚なんて十人十色なので数値で比較するってすごく大切だと本業で痛感するし、課題解決を進めるのに一つの指標を設けるのは関係者全員へプラスに作用すると感じます。

 

3)ひょっとすると出願しても拒絶されて失敗する可能性もありました。審査請求までの費用も今の自分には結構大きな金額なので挑戦をしないと言う選択肢もありました。

けれども、自分がやりたいと思ったことを素直に行動できた事が嬉しく、そして行動の結果が実ったことが更に嬉しいです。

 

結局how to を探すよりもdo somethingなんだと痛感した。

発明協会の支援

では具体的に素人の僕が特許をどのように取得できたのかと言うと、最初に兵庫県知財総合支援窓口へメール相談したのが全ての始まりです。

実物を前に説明したほうが早いと思ったので、私の工場へ訪問指導にお越しいただき、全く知財知識の無い私に知財アドバイザーが易しく丁寧に助言してくださいました。

そして知財相談員の方からのご紹介で弁理士の先生をご同席頂き、私が発明したと考えているものは特許に値するのかを見ていただきました。

そして、特許の申請要件を満たしているとの回答をもらったので、ご同席頂いた弁理士の先生と代理人契約を結んで特許出願に歩みを進めたのです。

振り返って良かったと思う事は、まず最初に知財窓口へ相談したことだと思います。

分からないことを懇切丁寧に教えて頂けるばかりか、商標申請の時は書き方や気を付けるポイントをご指導いただきました。 なので、知財で困ったことが有れば行政の支援窓口を利用することをお勧めします。

 

弁理士先生とのコミュニケーションがすべての中心

一般には弁理士と言う士業はなじみが薄いかも知れませんが、弁理士と言うのは知財に関する代理業務を行うことが出来る専門家です。

 

自己申請と言うルートも有りますが、多くのタスクを抱えゼロから専門的な知識を試行錯誤する時間がもったいないのでプロにお願いしました。 

私がお願いしたのは神戸にあるフルハート国際特許事務所の羽柴先生です。羽柴先生のお仕事は丁寧で早く確実。お願いした感想は大変満足で、次も何かあればお願いしたいと思っています。

 

そして弁理士と契約して一番大切なのは、自分が考えたアイデアを上手に先生へ伝えることだと思います。

どんなに優れたアイデアでも、代理人へ伝わらないと意味がないので私の場合は図や絵を書いて自分が考える優れた点を先生に伝えました。

資料を託し、初稿を書いてもらってから何度か書き直すのですが、その間にも何か追加すべき項目が無いかと実験を繰り返したり、拒絶された場合の抜け道を作っておくために多くの形状を考案したりしてあっという間に月日が流れてゆきました。

出願と審査請求

特許出願は、特許庁に紙を送るだけの行為です。

紙を審査官に読んでもらう事を審査請求と言うのですが、通常ルートだと出願から1年半くらいしてから審査が始まるそうです。 この審査請求のタイミングを競合との牽制に使ったりするそうなんですが、私は早く結果を知りたかったので出願と同時に早期審査請求を行いました。

早期審査請求と言うのは、USJのファストパスみたいな物で、審査請求を通常より早く行ってもらえます、そして補正がなければ半年くらいで結果が分かります。

私の場合出願から登録まで8か月程なので、特許公報に公開されるより早く登録されました。

早期審査を選んだ感想は、何年も結果を心配する必要がなくて、早く結果が分かって良かったです。

拒絶

今の時代、特許を出願しても8割くらいは先行特許に引っかかり修正しなければならないそうです。これを拒絶理由通知と言い、本当の闘いは拒絶通知が手元に届いてから始まると言っても過言ではないです。

事前にリサーチ会社を利用して先行特許を調べたとしても全てを網羅することはできないので、審査する特許庁の審査能力を利用して自分の出願を一旦査定してもらい、指摘された部分を修正するというのが一般的な業務フローです。

 

私の事例では、焼却炉の先行特許を一部踏んでいましたが、請求項の中に拒絶される理由が無い項目が何個かあったので、先行特許の権利範囲に触れる部分だけを削除して、新たに請求項を作り直しました。

 

個人的な意見ですが、このような場合にこそプロと代理人契約を結ぶメリットが発揮されると思うし、単なるコストではなく必要経費だと思う。 

 

もしかして弁理士費用をケチって自分で挑戦すると、目の前にある現物を申請することになるのですが、現物そのものだと例えば「円形の内面に鋼板の抵抗がある」と書いてしまったら、「四角で陶器の抵抗」などを作る事で簡単にクリアランスされてしまうのです。

要は素人が出す本人申請は脇が甘いという事でしょうか。もしかして何件も出願して弁理士並みに上手な請求が出来る人もいるかも知れないけれど、僕の考えではできないことは人にお願いするのが一番と思っているのでやっぱりプロにお願いするのが一番安上がりで結果に満足すると思う。

 

登録査定

拒絶理由通知の補正を特許庁に返信し待つこと約3か月。

ついに登録査定の通知が届きました。

あとは権利を保持する費用を振り込めば特許が登録されます。

振り返ってみれば、長いようで短い1年です。

 

まとめ

特許が登録されたからと言って、効果が有るのとは別の話だし、顧客にメリットが発生するかは別問題です。

私はせっかくお金と時間をかけて挑戦する特許に効果が無いなんて絶対に嫌だったので、統計的手法を使い発明の効果を立証しました。 具体的には関連のあるt検定(母平均の差の検定)を使い実験条件を同一にして発明部品の有無で差を測定しました。

 

1年前はとてつもなく大きな事に挑戦していると考えていたけど、単に経験が無くてビビっていただけでした。

今は実際に経験することでしか得ることが出来ない実体験が自分の財産だと強く感じます。

これもご縁なのですが、代理人を引き受けてくださった羽柴先生に感謝です。関西で特許をお考えの方がいらっしゃればフルハート国際特許事務所にお問い合わせしてみるてはいかがでしょう。

特許の効果や内容は別途記事を変えて書きたいと思います。

ロケットストーブと従来型薪ストーブの燃焼温度比較記事はこちら。燃焼温度比較グラフをご覧ください。

特許取得のデバイスに燃焼温度上昇の効果が有るのか?検証の記事はこちら

 

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