炎の向きを変える形状が大切
今週は比較的のんびりと工場の整頓や新作に向けての部品作りに勤しんでいました。
工場を整頓した時に発生する木廃材は30㎝程度にカットして薪ストーブに使うんですが、廃材を使って暖房や調理を行う時は何だかお得に感じてしまいます。
そして、今月に収穫したジャガイモを作業の合間を見つけて下茹でしようと思い、時計型ストーブに羽釜を乗せてコトコト。
毎年冬の餅つきや麹の仕込みなどには、保管している時計型ストーブを引っ張り出し羽釜を乗せてお湯を沸かすんだけどあっという間に沸騰するし、セイロを乗せても安定感があるので重宝してます。
単に調理に使うだけだったら素早く温度が立ち上がり、あっという間に燃え尽きてしまう時計型ストーブが昇温時間が必要な薪ストーブに比べて便利。
そんな時計型ストーブだけど、使いやすくするためにバッフルの形状を改造してます。
最初は改造するつもりなど全く無く、ストーブの底に断熱を目的としたパーライトモルタルを打設した関係で新品時に設置されていた部品が取りつかなくなりました。
そして、バッフルを取り外した状態でいつもの様に羽釜を乗せてお湯を沸かすと…
全くお湯が沸騰しないのです。
不思議に思って炎の流れを観察すると、薪から立ち上がった炎が羽釜の底面に当たることなくすごい勢いで煙突へ吸い込まれているではありませんか。
そりゃそうですよね、なんの熱衝突もなく炎が煙突へ吸い込まれたらお湯が沸かないことも納得。
こりゃダメだという事で在庫している鉄板を切ってバッフルを作ってみるとあっという間にお湯が沸いたのです。
3パターンくらい運用を繰り返して今のところ写真の形状に行きつきました。
このなんてことない形状の鉄板がストレスのない運用の秘訣なんて誰も気づくまい。
炎の向きを変える時に熱が滞留する
雑誌などでも時計型ストーブの改造運用など目にするけど、中身をいじって燃焼のパターンを変更する記事は殆ど読んだことが有りません。
多分市販でも十分に高いレベルに仕上がっているから意識の焦点が向かないのかも知れませんが、とにかくバッフルを使用して炎の向きを変更する事は効率の良い薪ストーブ設計に於いて非常に重要な概念。
これは私が言っているのではなくて、ロシアのメイスンリヒーターのHPで学んだ事で、バッフルの形状を工夫することで狙った燃焼性能を実現します。
特にクリーンバーン機ではバッフルの形状が非常に大切で、もっと言えば隙間や材質、炉内容積などと組み合わせて設計する事で良い感じの燃焼になる。
では、すべての薪ストーブがそのような設計になっているかと言えば残念な事にそうはなっていません。全てとは言わないけど、個人ショップが中国のメーカーに図面を書いてもらい輸入した商品には首を傾げたくなる商品が有るのも事実。
中国の製造受託会社は正直日本のメーカーを凌ぐ技術や工作機械を持った会社が多いです。しかし、図面を元に製造に特化しているので実際に使用した中で検出される不具合や実態を知らないまま製造する事が多い。
そう言う場合、輸入元が設計変更のキーパーソンになるんだけど、販売店で有って技術者ではないから改善すべきポイントを検出できる感度が我々と異なるのではないかと言うのが私の意見。
でも消費者はそんな事分からないので、一番簡単な指標である価格を参考に購入の意思決定を行うと想像するのだけど、導入してから思っていたものと違う結果にならないようしっかりと調べる、もしくは信頼の置けるショップに依頼するのが合理的だと考えます。