新作ストーブの設計状況

新作薪ストーブの設計を進めている。今週は自由に使える時間のほとんどをその作業に費やした。
正直に言えば、新作の設計は「つくる」より「考える」ほうがはるかに難しい。そして、その難しさのなかにこそ、ものづくりの本質があると私は考えている。

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高気密高断熱住宅への対応が、設計を複雑にする


単に四角くて黒く、吸気を本体正面の開口部から吸気する薪ストーブを作るだけなら、難易度はそれほど高くない。
今回の新作が難しいのは、これからの高気密高断熱住宅への導入を前提にした外気導入機構を、確実に機能する形で組み込もうとしているからだ。
高気密住宅では室内の気圧が安定しているため、薪ストーブが室内の空気を燃焼に使うと、負圧が生じて換気システムや建物全体のバランスに影響が出る。だから外部から直接空気を取り込む「外気導入」が必要になる。
ただし、この外気導入の配管をどこに通すか、どう分岐させるか、吸気量をどうコントロールするか——この設計が一筋縄ではいかない。既製品の流用では対応できない部分が多く、今回は構造から自分で考え直している。
さらに今回は、大・中・小の3サイズ展開を想定している。それぞれのサイズに対して、搬入しやすいよう分解できる部位をできるだけ多く設けることも設計条件に加えている。条件が増えるほど、構造はシンプルにする必要がある。矛盾しているように聞こえるかもしれないが、複雑な問題ほどシンプルな答えが正しいことが多い、というのが今までの経験から得た確信だ。

アイディアスケッチでもCADでも足りないとき、段ボールが教えてくれる


私の設計の進め方は、まずアイディアスケッチ、次にCAD図面、という流れが基本だ。
しかし今回のように全くの新作で、外気配管の取り回しや分解構造など「空間の中での干渉」を確認しなければならない場面では、2次元の図面だけでは判断がつかなかった。
そこで段ボールシートで実物大の模型を作ることにした。
ただし、最初から段ボールで作り始めるのは非効率だと経験上わかっている。プランが途中で変わると、模型ごとやり直しになるからだ。私のやり方は、まず頭の中とスケッチでアイディアを8割固め、残り2割の「実際に手を動かさないと確認できない部分」だけを模型で詰める。
なぜ段ボールが有効かというと、実寸で立体を確認することで「この角度では配管が通らない」「ここに溶接点があると分解できなくなる」という干渉が、図面では見えなかった形で発見できるからだ。頭の中のイメージと実物の寸法感覚は、経験を積んでいてもズレる。模型はそのズレを早い段階で修正するための道具だ。

A案とB案、半日悩む理由


設計が進んでくると、必ずどこかで「A案かB案か」という選択が生まれる。
今回も、外気導入口の取り付け位置について、半日ほど判断を保留した。
こういう場面での判断基準は決まっている。私が優先する順番は、構造の耐久性→現場での施工のしやすさ→コストだ。見た目や加工の簡単さは、その後に来る。
半日悩むのは迷っているのではなく、この優先順位に照らしたとき、どちらの案が本当に長期間にわたって問題を起こさないかを、頭の中でシミュレートしているからだ。出来上がった答えはたいていシンプルで、「なぜこれで悩んでいたのか」と思うくらい明快な形に落ち着く。それでも、その時間を省略することはしない。

設計の時間こそが、製品の価値をつくる


溶接の技術を使って形にする作業も好きだ。しかし本当に面白いのは、何もない状態から、過去の経験と今の課題をつなぎ合わせて、新しい構造を考案するプロセスだと感じている。
このアイディアを生む時間——スケッチを描き、模型を作り、A案とB案の間で悩む時間——は、製品の品質に直接反映される。設計に費やした時間の密度が、そのまま製品の耐久性と使い勝手に変わると私は考えている。
新作の詳細は、形になり次第あらためて公開する。現時点では設計の途中段階だが、この進捗も含めて記録しておくことに意味があると思っている。隠さず見せることが、つくり手への信頼につながると信じているからだ。​​​​​​​​​​​​​​​​

そして今現在進行で行っているのが商品設計を実装する過程で有り、普段意識することなく思い付きを形にしていた工程の意義を考える良い機会となっているのは間違いない

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