ロケットストーブの煙事情
薪ストーブが一番苦手な場面は焚き付けの時です。なぜなら、焚き付けの時は煙突内部の冷えた空気が重りの様に排気を邪魔してしまい装置の中で抵抗の少ない部分から室内へ煙が排出されたりします。
よく、焚き付けの時に吸気口から煙が吹き出すのですがなぜですか?と質問されることがあるのですが煙突内部の抵抗が大きく、室内の吸気口の抵抗が少ないので煙が逆流するとお答えしています。
対策は色々あって、煙突の取り回しの変更と言う、大がかりな物から、使用する前にバーナーで暖気を煙突に向かい噴射して排気回路を予熱するなど色々方法が有りますが、一番簡単なのはホームセンターで販売しているトーチバーナーで煙突に向かい暖気を吹き付ける事が簡単では無いでしょうか。
焚き付けの実情
ブログでは暖まった時の写真をアップしていますが焚き付けの時はしっかり煙が発生します。
勿論、焚き付け方を工夫することで煙の発生を少なくすることは可能ですが、それでも煙は発生します。焚き付けの時私は小割の薪に少量の灯油をかけて焚き付けています。
この写真の時は上手では無い時の焚き付けですが、このくらい煙は発生します。屋内でこの位なので、少し暖まると屋外では空の色と同化してしまい確認する事が困難になります。
なので煙の出ない自然吸気薪ストーブは未だ見たことがございません。
暖まった時の燃焼動画がこちらです。大きな炎で燃焼しても煙突から排出される煙はごく僅かです。おき火までしっかりと燃焼します
自分の目で見るまで信じる事が出来なかった性能
ロケットストーブは煙突の長さを考慮すれば、シングル煙突でも十分な性能を発揮するという情報はネットで見つける事が出来ますが私は自分の目で確認するまでは懐疑的でした。
なぜなら、ロケットストーブの実力を知らなかったのと、通常の薪ストーブは炭を真っ赤に燃焼させようと思うと2重煙突はマストアイテムだからです。
私の技術では通常の薪ストーブシングル煙突で、写真の様に炭が真っ赤に燃えている状態を作り出す事は出来ませんでした。2重煙突有ってこそのキレイな燃焼です。
現在私の工場でのテスト環境は、ホームセンターで買った4Mの亜鉛のスパイラルダクトを使っています。値段は確か4000円しなかったと記憶しています。同じ長さを根元から市販2重煙突で構築しようと思えばダンパー、スライド、2重煙突と安い部材をセレクトしても、1式で約10万円くらい必要になるかと思います。
耐久性を考慮して、スパイラルダクトをステンレス製に変えて、消防法の離隔距離を守る為スパイラルダクトの2重煙突としても3万円以内で収まる計算になります。本体と同じかそれ以上費用が必要な煙突の導入価格を少しでも低くする事が可能になるのでは無いかと思っています。
とは言え、外気で冷却される距離が長いと煙突内部が冷えて排気ガス中に含まれる水蒸気が結露して木酢液が大量に発生するので、壁だしの場合選択肢は2つ有ると思っています。
- 全く手間をかけたく無いのなら、屋外は2重煙突で排気温度を保つ。その代わり初期費用が必要
- 手間を惜しまないのなら木酢液を回収するホースなどを追加して廃棄する。
まとめ
今年はロケットストーブ押しで作っているのでロケストのメリットばかり書いていますが私の考えるデメリットも書いて見ます。
- 装置内部に2重煙突を設けなければならないので、通所の薪ストーブに比べ大型である。
- 燃焼部分と放熱部が必要で部品点数が多くなる。
- 市販されている密閉型のロケットストーブが少ない
この3点はロケットストーブの弱点では無いかと思っています。
通常型の薪ストーブは燃焼性能の多くは煙突に依拠しているので、本体は顧客の好みで選び放題。
多くの薪ストーブユーザーは薪ストーブの比較なんか出来る機会も無く、自分の使っている状況が普通かと思います。私は通常型の薪ストーブロケットストーブの両方を作り、実際に使って見た感想はロケットストーブの方が薪の補給サイクルが長く、薪の事を考えなくても楽に使用出来ると感じました。
焚き付けの時に煙がでると言っても、今年の製品は屋内に煙を放出した状態で、煙たくて困ると言う事は感じないので去年に比べて良い物作りが出来ていると言う事でしょうか。