2018/09/24

薪ストーブ作りへのこだわり

 

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物作りは手間をかける事も、手抜きも作り手の考え方一つで大きく変わって来ます。

今の僕が目指す薪ストーブの方向性は、長寿命で、簡単な操作、メンテナンスが楽、そして暖かくて燃費がよく、煙の発生が少ない。

都合が良いかもしれませんが、その様な製品を作る方法を探求しています。

 

そして、長寿命化を考えると、部品の肉厚を上げての対応と、わざと摩耗する部分を設けて交換式にしたり、製造の手間が増えるけれど分解式を採用しています。

そんな事考えず簡素な構造で作っても個人的な感想ですが10年位は問題無く使用出来ると思います。

 

けれど、僕が求めるのはもっと先までの寿命で、もし故障しても修理が出来る事を考えた物作りをしています。

今回の記事は今まで具体的に書いていない、ロケットストーブへのこだわりを書きたいと思います。

形状のこだわり

天板

10年から先を見据えたメンテナンス性

形が違ってもロケットストーブの天板はネジで脱着式にしています。

簡単に、そして工賃を安くしようと思えば溶接を選択するのが妥当です、溶接すれば熱によるひずみで接合面から煙が漏れる心配もないので溶接構造にも合理性があります。

 

しかし顧客の元へ納品し何十年か経った時にメンテナンスしたいと思っても、天板が分解出来なければ私以外修理に手が出せません。

天板を分解式にする事で、鉄を扱える鉄工所などで補修を行う事が出来ればと思いあえて手間の増えるねじ止めを行っています。

丸型ストーブのフランジは鉄板からフランジを切り出して作るので材料ロスが多く部品代が高くなるけれど必要な機能だと割り切っています。

 

また、ネジを本体内側の熱い部分で加熱すると直ぐに錆びて抜けなくなってしまうので、ネジは高温にならない本体の外側に配置して締め付けの時にモリブデングリスを塗布します。

天板の固定ネジを燃焼室内側(炎が通過する部分)に作ると、あっという間に熱でさび付いてしまいねじ山がつぶれたり、ネジが折れて修理が出来なくなってしまいます。

 

そして鉄は暖まると思った以上に膨らむので、一番熱くなる天板の中心部分は小さめに作り交換式にしています。

 

毎年のお掃除を簡単に

ロケットストーブは燃焼空気により巻き上げた灰が本体内部に堆積します。

だからシーズンオフのお掃除は必須なのですが、初期の製品は毎回重たい天板を取り外してお掃除する事を推奨していました。

 

けれども、女性のお客様にお買い上げ頂いた帰り道、毎年重たい鉄板の脱着を求めるのはナンセンスだと思い簡単にお掃除できる方法へ変更しました。

解決方法は簡単で、本体内部へ掃除できる点検口を作りシーズンオフに刷毛で溜まった灰を集めて集塵機で掃除して頂きます。

 

アイデアは簡単だけど、穴が大きすぎると天板が反り返ってしまうし、掃除を簡単にできる場所も探さないと行けないので何度か実験を行い形状を決めました。

この構造も部品点数及び製作時間の増加に繋がりますが、お客様のメリットを考えると外す事が出来ない構造です。

 

天板にフランジを溶接するのですが、固定して溶接しても曲がってしまうのでジャッキでのヒズミ修正が必須となります。

 

燃焼室の保護

最も高温になるヒートライザーは肉厚のステンレスで作り耐久性を担保しています。

そして、燃焼室は保護板を内部に装備する事で本体へのダメージを最小限に防ぐ構造です。

一見小さく見える燃焼室内部にはこれだけの部品が入っています。

 

奥から耐火レンガ、空気供給口、遮熱板になります。

1)遮熱板は本体に引っかけているので、摩耗して交換が必要になれば誰でも簡単にワンタッチで交換できます。

2)空気供給口は写真の様に分解式なので、灰が本体内部に落ちて滞留しても、分解してお掃除が簡単にできます。

3)そして、耐火レンガはバーミキュラライトとは異なり経年変化で割れにくいし、もし割れても通販で1枚約200程度で入手できます。

 

なるべく本体を守り消耗品を交換することで長寿命を狙っています。

 

内部塗装

晴れた日ばかりだと良いのですが、梅雨など湿度が高い日が続くと鉄板の表面は結露します。

外観は目立つのでしっかり耐熱塗装を行うのは当たり前ですが、僕は防錆対策に中へも塗装を施します。

一度テストを行うとススが付着するので塗装したかどうか分からなくなるけれど、少しでも錆を防ぎ製品寿命が延びれば良いと考えます。

 

特に空気取り入れ口や吸気経路など、袋状で後になって塗装出来ない部分は塗装を行いながら溶接して行きます。

普段使いには全く分からない部分だけど、良い物を作りたいのでこれも欠かすことが出来ません。

 

強力なエアカーテン

薪ストーブのガラスが曇るって嫌なので、なるだけ前面のガラスが曇らない様な設計を行っています。

そして2018年モデルは川原薪ストーブ本舗、川原さんの強力なアドバイスで去年のモデルに追加して燃焼室下側から空気を送る構造を採用したので初期立ち上がりが早くなりました。

また、エアの供給が2カ所有るにも関わらずコントロールレバーは1本で操作できるので使い勝手が良いです。

本体真ん中のレバーを目一杯引けば空気が最大に供給され、押し込むに従い吸気量が減りつつ中間地点で止めるとエアカーテンだけに空気が送りこまれます。

 

サイクロン燃焼

通常のロケットストーブはヒートライザーは暖まりますがヒートライザー内部を暖気が上昇するだけで、理想的な燃焼状態を生み出す乱気流を作り出していませんでした。

私は最も高温になるヒートライザー内部で触媒に似た装置を用い積極的に乱気流と保温を行い、煙すら燃やし尽くす構造を発明しました。

この構造により従来のロケットストーブと比較して一層高温を発生させる事が可能になり、上手に運用すると室内で実験をしても煙が見えなくなります。

 

まとめ

お金を稼ぐ事に焦点を当てれば、できるだけ手間の少ない方法を選び、見栄えだけ良くして高く販売するのが合理的です。

部品点数が多いのが良いと言う訳では無いですが、従来の薪ストーブと比較して部品点数は約2倍、溶接距離はそれ以上走って完成させています。

 

私の作る物作りは、たとえ材料費が高くなっても、手間が増えても世の中のメーカーがコストの制約で諦めてしまう様な機能を製品に搭載したいと考えています。

なぜなら自分が理想とする形状が、お客様の豊かな暮らしのお手伝いが出来ると考えるからです。

 

 

 

 

 

 

 

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