石材商で花崗岩を購入した翌日、いきなり客先へ納品することはしなかった。まず自社の展示ストーブで検証する。これは手順として当然のことだ。
「大丈夫かもしれない」で納品しない理由
見込みだけで納品して失敗した場合、回収・修正・再納品のコストは検証にかかるコストの何倍にもなる。自社でのテストを必ず先行させるのは、そのためだ。感覚的な判断を現場に持ち込まない、というのが私の基本姿勢でもある。

最初の作業は、展示ストーブの金網に入っていた石灰岩の撤去だ。これは何度も経験しているので手順が固まっている。ストーブを横倒しにして、先端を曲げた棒で石を掻き出す。これが最も早く確実な方法だ。
住宅で行う場合、養生用ボードを2枚ほど用意してボードの上にストーブを倒せば驚くほど簡単に作業できるのでお勧めです。
撤去後、購入した花崗岩を金網に充填して検証の準備を完了した。

購入後、一晩ブルーシートの上に広げて乾燥を試みたが、雨続きで湿度が高く、十分には乾かなかった。ただ、高温にさらせば水分は蒸発すると判断し、そのまま火を入れることにした。
結果、石から水蒸気が立ち込め、その後完全に乾燥した。石が割れる気配は一切なかった。今回は数回の焚き上げを通じて確認したが、いつも通りの輻射熱をストーブ周囲に感じることができた。石灰岩使用時と体感上の差異はなく、蓄熱性能は維持されていると判断している。
なお、今回の実験が1回の焚き上げで完結した検証でないことは補足しておく。割れが生じるとすれば繰り返しの加熱・冷却サイクルが蓄積した後になるため、引き続き自社での観察を続ける。
花崗岩は比重が重い。それが意味すること
今回搭載した花崗岩の量は約38kgだった。石灰岩と同じ体積で比べると、花崗岩の方が比重が大きい分、質量が増える。質量が大きいほど蓄熱量も増えるため、同じ燃焼量でより多くの熱を蓄えられる可能性がある。これは現時点の仮説だが、石灰岩との性能比較は今後の課題として残しておく。
購入の目安として、20kgの砂利袋を2袋用意すればわずかに余る計算だ。通販でも入手できるが送料が割高になるケースが多い。近隣の石材商から直接購入するのが合理的だと思う。
発売から2年、ようやく蓄熱材が決まった

ヒミエルストーブICは発売から2年が経過している。蓄熱材の選定はその間ずっと未解決の課題だった。今回の検証を経て、搭載する石を花崗岩に正式決定した。
時間はかかったが、客先での失敗→素材特性の調査→専門家への確認→自社での実測、という順番を踏んだことで、根拠のある判断ができた。これが今後の納品基準になる。
石材商社の営業マンと言う今まで触れることの無かったプロフェッショナルと知り合えたのは大きな収穫であり、今後蓄熱体やバッフル利用なども視野に入れて新たな製品開発に今回の知見を活かして行きたい。

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