ヒミエルストーブ

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夢の終着点

 
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何だか韓流ドラマのタイトルみたいな題名だけど、一応その様に感じたので今回のタイトルに使用しました。

 

何が夢だったかと申しますと、お昼寝中に薪ストーブの火が消えて寒さに震えて目覚める事が無いストーブを自分の手で作り上げる事でした。

 

2014年の冬、初めて薪ストーブを導入して期待に胸を膨らませて使ってみたけれどストーブの大きさが使用場所とマッチしておらずに暖房能力不足だったのと、ストーブの傍らで暖房を取りながらお昼寝をしていると丁度寝入った頃に薪が燃え尽きてしまい寒さに震えて目覚める事を何とか解決したいと思った気持ちは今でも鮮明に覚えています。

 

まさか自身の手で10年の時を掛けて解決できるなんて、運の巡りあわせか単なる執念なのかは不明ですがとにかく最高のお昼寝環境を作る事に成功したのは間違い有りません。

テントで検証

 

改良版ヒミエルストーブの周囲に耐火レンガを追加して蓄熱化したらスチールの時の様に強烈な輻射熱が無くなるから工場の様な大空間だと今一つその素晴らしい暖かさを実感する事が出来ません。

ストーブ小屋を作るのを待っていたら来年になっちゃうのでとりあえずイベント出店に使っていたワンタッチタープを立てて、煙突や本体に接触する場所には溶接の現場工事で使う防火シートを掛け出入り口に手持ちのブルーシートを取り付ければ即席のテント小屋が完成。

ブルーシートが何だか河川敷の雰囲気を醸し出しますが、御愛嬌と言う事で良いでしょう。

 

何も仕切りが無い状態で運用していると少し肌寒い気温だったのですが、タープで囲った途端お部屋全体が不快感の無い緩やかな暖かさに包まれました。本来ずっと緩やかに熱を放出しているのでしょうが何か仕切られた空間でなければ感じる事が出来ない熱量なのかと実感です。

 

丁度お昼前だったので1回分燃焼室へ薪を追加して、ランチの後にキャンプ用の折り畳みコットを広げて夢の検証を行う準備は万端です。食事中燃焼室では勢いよく薪が燃えていましたがお部屋を暖め過ぎることは無くて丁度良い気温で過ごせました。

 

そして目覚めてみると、あまりの快適さに20分も寝坊しちゃいました。

 

勿論炎は消えているけど朝からストーブを焚いて蓄熱しているので緩やかな輻射熱がずっと継続していました。

 

そう私が欲しかったお昼寝環境はこれだったのですよ。

 

 

 

南丹市で修理した友人が作った蓄熱ストーブと同じ感じ。

 

岡山の中右手に有る蓄熱ストーブサウナを備える久米屋さん。

今年見てきた施設で「これ良いな」と感じた施設と全く同じ雰囲気を再現する事に成功しちゃいました。

 

そしてウチの特色として、上記2施設はレンガを積み上げて職人さんがオーダーメイドで構築する必要がありますがヒミエルストーブは鉄ストーブの周囲に耐火レンガを追加するだけで完成しちゃうので非常にお手軽。

ヒミエルだけの特色

 

では一般に販売されている薪ストーブの周囲を耐火レンガで囲ってあげれば良いかと思うじゃ無いですか。確かにそれで十分蓄熱するので素晴らしい環境になるでしょう。

しかしヒミエルと構造が決定的に異なる事が1つ有ります。

 

通常のストーブは燃焼室の上に煙突が配置されているので熱の大部分が煙突に流れて行きます。各社バッフルや耐火物を配置してなるべく熱交換出来る様に工夫しているけど、とにかく熱は上方向に流れる物理法則から逃れる事は出来ません。

 

しかし、ヒミエルは一旦本体天井に衝突した燃焼ガスがダウンドラフトして本体の外殻で熱交換を行うので燃焼によって発生した熱量をより多く暖房に取り出せます。

その証拠に、本体側面に積み上げた地面から2段目のレンガまでしっかりと保温します。

 

全ての根幹である燃焼を極める

 

ずっと理想の燃焼を求め、一応のベストと考えていたのがサイクロン燃焼でした。

しかし、熱による減耗を解決する事が出来ないので現在実験している耐火レンガを使用した改良モデルの検証が終わった段階でデリバリーを終了します。

既存ユーザー様に於いては、ステンレスの肉厚化で長寿命化を図っていますので様子を見て頂ければと思いますし、お好みでと前置きした上でサイクロンの停止をご案内しております。

 

 

何が秀逸かと言いますと一言で言えば燃焼性能が過去一番素晴らしい性能に仕上がっています。

焚き付け時は適切な炎の大きさを維持すれば驚くほど煙の量が少なく、火が消えて5時間経過しても燃焼室内部は170度をキープしているのであっという間に再点火して巡行運転に再突入できます。

もうこれはお好みなのだけど、煩わしい火加減の調整は全く不要で無造作に薪を投入してよく燃える位置にダンパーを調節すれば後は放置でOK

今までも工場内部に煙突を開放して運用していた事が有りますが、炎が消えて冷めちゃうと再点火の時に煙が発生していたけど今は以前と比べて肌感覚で1/3以下に減りました。

手間要らずでしっかり燃焼して、火が消えても数時間暖かさが継続し、そして煙もごく僅か。

KD01モデルの中で一番古い初号テスト機だけど、一番のお気に入りです。

 

まとめ

勿論デメリットも有るのですべてに於いて有効では無いとだけ言わせて頂きます。

まず第1。

燃焼室が小さいです。初号機の流用なので今のモデルは薪を25㎝にカットして使用しています。これは製品を作る時に設計変更で対応する予定。

第2に重たい。

写真に写るユニットで750㎏を超えています。ストーブ本体で340㎏レンガで420㎏だから設置できる場所に制約があります。

第3にオーロラ燃焼が見えない。

オーロラになる木質ガスを極限までしっかりとヒートライザーで燃焼するので見えません。

 

上記のようなデメリットがあるにせよ、長時間暖房で手間いらず、そして生活に役立つストーブを作りたかった私の夢は一旦かないました。

夢を見ていた時は遠い事に感じていたけど、実現しちゃうと少し寂しくも有り強い達成感は皆無なので何とも言えない感じです。

 

そしてこれからの展開が楽しみだな。

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Comment

  1. 三好能瑞 より:

     ストーブサイド以外は、西岡さんとほぼ同じように耐火煉瓦を入れて一週間ほど運用しています。(ただここ数日の暖かさで、その恩恵が半減していますが)
     炊き始めは、暖まりにくいですが、一旦暖まると以前のような焼け付くような暑さは無くなり、ほんわかとした暖かさが心地よいです。ただ、オーブン内に煉瓦を満タン状態にしているせいか、オーブンの温度は150度以上に上がることは無いです。
     一番の利点は、再点火の時に薪の着火性能が良くなったことと、使用する薪の量が以前に比べて約2/3なったことです。
     後は、耐火煉瓦を購入して、サイドにも積み上げてみたいです。Amazonだと「SK32 JIS並形」が送料込みで1個360円で買えるのですが、この値段が高いのか安いのか判断が付きかねていますが、レンタカーを手配して備前まで買いに行く手間を考えると安いのかもしれませんね。サイドの煉瓦の積み方の工夫など教えて頂けたらありがたいです。
     それから、西岡さんの今のストーブの状態で、以前のようにピザを焼くとどうなるのか、興味があります。私は、もっと冷え込むようになってから、チャレンジしてみようと思っています。
     明日から寒くなるので、楽しみです。

    • Seiji Nishioka より:

      三好様

      早速の運用レポート有難うございます。
      やはり燃焼が緩やかになって、輻射熱を心地よく感じて頂けて良かったです。
      そして薪の消費量が少なくなるのが僕だけの勘違いで無くて良かったです。

      オーブンへ耐火レンガを入れると昇温が遅くなるので今は取りやめて外側だけにしております。
      オーブンへのレンガ投入を止めて周囲を耐火レンガを覆い、レンガ自身に蓄熱してくるとオーブンの温度は250度から300度まで昇温します。
      今はテント小屋に入れているので天板からの輻射熱を遮る為、天板にも耐火レンガを置いたら天板からの放熱が減った事が原因なのか側面の蓄熱量が増えた様に感じます。

      レンガを積むコツは何より1段目を水平に積む。この1点に掛かっております。言い換えれば1段目をしっかり仕上げれば後は乗せるだけの作業となります。
      私も工場に置いている展示用KD01にもレンガを積んでみようと思い、先ずはM6のネジ穴を塞ぐイモネジの入荷を待ってます。

      レンガは去年、備前の三ツ石耐火レンガで買った時は送料込みでSK32 1丁の単価が380円位だったと思いますが、多分今年は値上がりしております。
      側面もレンガを積んで蓄熱すると全く別の性格になるので、ライフスタイルに合っておられましたらお気に召すかと思います。

      追加レポートを楽しみにお待ちしております。

  2. 三好能瑞 より:

    前のコメントでの「SK32 JIS並形」のAmazonでの最安値は、配送料が1個あたり200円加算され、一個あたり実質560円でした。

  3. 三好能瑞 より:

    情報ありがとうございました。大変参考になりました。

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