経年劣化を考慮した設計

 

この記事を書いている人 - WRITER -

ヒミエルストーブは経年劣化を前提に、長く使って頂ける事を考えた設計をしています。

また、SD01を開発してから3年経過したので断熱材や各種パーツの劣化具合のデータがある程度分かって来ました。

劣化しても修理出来る前提の設計

フロントガラスの固定

鋳物の薪ストーブだとネジが錆びてしまい窓ガラスを固定するネジが折れ込んだりする事案がちょいちょい発生します。

鉄が熱せられると、必ず熱サビが発生するのでアンチシーズと言う潤滑材や自動車のマフラーなんかに使うモリブデンペーストを塗布して焼き付きを防止しています。

僕のガラス固定方法は両サイドから鉄のプレートでしっかりと固定しています。

昔使っていた「醜いアヒルの子」」はガラスの固定が小さな鉄片で4隅を押さえていただけなので、いつの間にか押さえる力が弱くなり、ガラスのスキマから空気を吸い込む振動で耐火ガラスを割ってしまいました。

そのようなガラスの微振動が起こらないよう、耐火ガラスをガスケットで挟み込んでいます。

 

また、ガラス固定のネジはM4を使用しています。

理由は将来ネジが焼き付いて折れてしまったとしても、一つ大きなM5のタップ加工をすることにより簡単に修理出来るからです。

そんなときは宅配便で部品を送って貰えばしっかりと修理対応させて頂きます。

 

そして、一番大事な事は2シーズン使って正面ガラスを固定するM4ネジのサビが殆ど無く軽やかに分解できました。

通常の薪ストーブだと焼き付いて動かなくなることも多いのですが、個人的な推測はエアカーテンの空気がガラス面に常に吹き付けることで炎が扉へ接触しない事と、炎は常に正面から奥へ吸い込まれるので扉の温度が低いのでは無いかと推測します。

 

構造もシンプルだし、故障場所も無いし、もし何かあっても鋳物とは違って鉄なので修理が楽に行えます。

個人的見解

海外のストーブで、炉内に炎の流路を変更するダンパーを内蔵しているモデルがありますが、一番熱負荷が高い部分に金属製の可動部分を設置しているので数シーズン使うとダンパーの中心が垂れ下がって変形してしまいます。

そのまま使うとダンパーが閉まりきらないので熱が煙突から逃げて行くばかりか燃費まで悪くなるし、重症になればネジも緩まないのでそれこそ本体をぶっ壊す勢いが無ければ修理が出来ない。

こんな不具合が起こってしまうのはちょっと考えれば分かる事だし、再発防止対策をする事も無く販売を継続出来る事が不思議です。

本国だとホームセンターにもおいている商品だから、買い換え前提なのでしょうか?

 

そして部品供給についてですが、メーカーが製造中止してからしばらくは修理部品が手に入りますが、10年を超えてメンテサイクルに入った頃には部品すら入手出来ないなんて話も有ることだし、買ってからの維持を視野に入れることも大切だと考えます。

 

要は修理の部品が手に入るかどうかで、ストーブの寿命が決定されるのでそこを知ることも重要では無いでしょうか。

僕が市販品を使っていた頃は電話1本で修理部品が入手出来たし、そのようなシステムをインポーターが構築してくれるコストを支払うのは当然だと考えます。

 

そしてウチはどうなっているかと言うと、僕の仕事している間は修理対応を頑張らせて頂きます。

だから経年劣化しても、修理が出来る様に手間を惜しまず消耗部分はなるだけ分解構造にしています。

さすがに死んじゃってからは修理できないので、今後多くの人に愛用されたら誰かに引き継いで貰う事も考えなきゃいけませんね。

 

そもそも、熱負荷の高い部分には肉厚のステンレスを採用して、可動部分は一切なし。

異素材の継ぎ目には炎を遮り、熱による伸び縮みの割れ防止。

火力調節などの可動部は高温部分を避けて低温部に設置しているので長寿命。

部品交換が必要になればワンタッチで交換出来るetc…

今のところ自分で気づく範囲は全て配慮しています。

 

排気が低温の優位性

ヒミエルは本体の一番高温部分は燃焼温度が800度を超えますが、本体で効率よく放熱することにより排気温度は190度±30位を保っています。

下の写真の様な通常の薪ストーブだと、熱い熱気がダイレクトに煙突へ抜け、未燃焼ガスが煙突内部で燃えることも多くダンパーが高温でぼろぼろになってしまいます。

また、煙突内部にススが溜まると可燃物であるススの下から直接炎が巻き上がるので煙道火災の発生原因にもなります。

なので、高温にも強いしっかりとした煙突を選ぶ方が長い目で見てユーザーにメリットがあると考えます。

 

けれども、ヒミエルは排気温度が通常型薪ストーブと比較して低いから煙突内部の熱劣化がとても少なくなります。

排気温度が低い事が煙突に優しい反面、本体出口からシングル煙突をたった800mmでも接続すると、排気温度が低くなりすぎて木酢液が発生しちゃうのでよろしくありません。

木酢液発生の対策は本体の出口から2重煙突を接続することにより排気温度を上げて運用します。

 

まとめ

長々と書きましたが言いたいことは一つで、高性能を求めるならロケットストーブ構造の採用が合理的だと考えます。

しかし、熱効率的に優位なロケストですがもちろん木酢液の発生や、内部に2重煙突を備えるので本体が大きくなるなどのデメリットが存在します。

そしてデメリットは設計の力で中和して、使いやすい薪ストーブを開発するのが設計者の醍醐味じゃないかな?

 

そして、有り難いことに僕は設計、製作、メンテナンスと一貫して行っているから10年後を見据えた構造を製作時点で作り込む事が可能だし、薪ストーブのプロから頂く有り難くも厳しいアドバイスを全て改善して製品のネガを消しました。

正直ここまで改造が続くとは自分でも想像していなかったけど、熟成期間を目一杯使って性能を高めたからこそ自信を持ってお客様へお届け出来ます。

 

 

この記事を書いている人 - WRITER -

Copyright© himiel stove , 2019 All Rights Reserved.