ヒミエルストーブ

 メルマガ登録はこちら

薪ストーブ燃焼の核心は負圧です

 
この記事を書いている人 - WRITER -

前回のブログを投稿してから薪ストーブの煙突圧力の測定にハマっています。

なぜかと言うと、一般的に煙突内部のドラフト圧力を高める事により力強い吸気が可能になると言われているし、実際その通りなのは間違いない。

 

じゃ、ダンパーと吸気の調整ではドラフト圧力がどのように変化するのか?

クリーンバーン機ではどのような特性を示すのか?

シングル煙突だと圧力がどのように変化するのか?

調べたいことは山盛りです。

クリーンバーン機

ヒミエルストーブはロケットマスヒーターの構造を内蔵しているので本体内部に蓄熱体を備えています。

そして、基本的に燃焼の操作は空気を触らずに排気ダンパーで操作します。

排気ダンパーを操作するとマックス燃焼で20paくらいの圧力が5paくらいまで下るのですが蓄熱体の働きにより小さなドラフト圧力でも何の問題も無く燃焼を継続する事が出来ました。

 

では世間で販売されている9割以上を占めるクリーンバーン機ではどのような特性を示すのか。

何事も比較実験が大切なので、工場に保管している薪ストーブで実験してみた。

 

因みに圧力特性の比較をするために市販品を利用しているのでどのストーブを使っているかの情報は掲載しません。

 

この様に煙突に穴を開けて薪をジャンジャン燃焼させて巡行運転に入ってから内部の圧力を測定しました。

炎の大きさにより煙突内部の脈動が大きくおおよそ20~30paの間を圧力が変動していました。

圧力が30paを超えてしまうと過圧力状態となり煙突への抜けが激しすぎる状態となるからダンパーが必須になります。

 

そしてダンパーのレバーを45度くらいまで絞り込むとドラフト圧力が殆ど無くなって猛烈に煙が発生しました。

出口を絞った結果空気が吸い込まれずに酸欠状態になったと推測されます。

 

ダンパーの閉度でどのように圧力が変化していったのか石筆でマーキングしてみました。

絞りなしで25pa  どんどん絞り込んで行くたびに圧力が降下して45度付近では5paまで下がります。

ほんの少しのダンパー操作で圧力が大きく変動する事にびっくりです。

 

また、圧力計の測定レンジが300paまでとレンジが広いので5pa以下の微差圧は誤差が大きいと思います。

 

ここから得られる知見は

クリーンバーン機ではダンパーでドラフト圧力が大きく変化する。

ダンパーの絞りすぎは高燃費を維持するには宜しくない操作だ。と言う事かと思いました。

エア絞り

では、一般的に薪を長持ちさせる操作として空気を絞りますが空気を絞ったらドラフトがどのように変化するのでしょうか?

早速試して見ると

空気の操作では、すぐにドラフト圧力が降下する事は有りませんでした。

 

ここからは推測になるのですが、ドラフト圧力と言う物は燃焼によって発生した熱による浮力が原動力なので空気を絞っても暫くは余熱でドラフト圧力を保持しているのではないかと考察してます。

 

空気を絞ることにより、庫内が酸欠状態になる事で燃焼速度を遅くしますが順調に燃焼する空気量を供給していないので、しっかりと薪に火が回った状態もしくは庫内が昇温した状態になる前に空気を絞っちゃうと、どえらい煙が発生するので要注意です。

 

ヒミエルで空気絞りの実験

空気全開での圧力は約17~18pa 

空気をミニマムに絞っても圧力に変化は有りませんでした。

まとめ

圧力の計測を行う傍ら、2台の薪ストーブを並べて同じ量の燃料を投入して燃焼時間の比較も行ってみました。

クリーンバーン機はしっかりと昇温し、ドラフト圧力は15paに設定し空気も少しだけ絞ることでこの機種のプロが推奨している

「緩やかに炎が庫内で揺れ動く」状態を作り出しました。

 

その炎だけ見ると一見すごく緩やかに燃えているし、素晴らしいと感じますがSD01と比較すると薪の消耗が速かったです。

 

決定的な理由は未だ確信には至りませんが、クリーンバーン機の特性として、ダンパーを絞ってとろ火を作り出す事が不可能なのでどうしても薪の燃焼が速くなります。

 

その点、ヒミエルストーブはしっかり昇温させると差圧がたったの5paでも巡行運転が可能です。

空気を絞ることなく、ダンパー操作で吸気速度を遅くし巡行運転が可能なのはマスヒーターで蓄熱すると同時に燃焼に必要な酸素を絞っていない事が高燃費を発揮できる理由では無いかと今回の実験で思う様になりました。

 

このブログを読んでくださっているクリーンバーン機のユーザの方にできるアドバイスと言えば

先ずはガンガンに焚いてしっかり昇温。

巡行運転の薪もしっかり炎が回るまで火をつける。

ダンパーを少し絞る。

空気も少し絞る。

このくらいの操作が一番順調に燃えるんじゃないかと思います。

 

少しでも薪を長持ちさせようと、空気やダンパーのを絞りすぎれば全く良く燃えない状態になっちゃいます。

 

あと最後に

ここで僕が書いている圧力とは負圧なのでお間違え無く!

wikiなどに掛かれている絵では圧力計が上がっているから正圧と勘違いしそうだけど、煙突内部が上昇気流により負圧になる事で空気を吸い込みます。

 

クリーンバーン機では薪を投入するのに扉を開けると圧力が0paになりました。

ドアを開ける事で庫内と煙突との圧力差が無くなり、大気圧と同じ圧力になったと思いました。

 

この様にシステムの異なる2つのサンプルを比較する事で自分が行っている開発がどのように有効なのかとても勉強になります。

今後はマスヒーターの差圧や、シングル煙突を使用するとどの様な圧力になるのか実験してみたいです。

 

 

長々と書きましたが、薪ストーブは高温になった空気の上昇気流が生み出すドラフト(負圧)により燃焼するシステムなので、負圧をしっかりと測定し変化を考察する事が大事だと強く思いました。

 

 

この記事を書いている人 - WRITER -

- Comments -

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

Copyright© himiel stove , 2020 All Rights Reserved.