クリーンバーン機とヒミエルストーブの決定的な違い
薪ストーブに詳しくない方から見るとホームセンターで販売しているブリキのストーブと舶来品、そしてヒミエルストーブとの違いなんてさっぱり分からないと推測します。
僕も薪ストーブを作り始めたころは違いがさっぱり分かりませんでした。
多くの切り口が有るけど、端的に言って排気温度の違いが最も大きいと考えます。
クリーンバーンの排気温度は200度超え
ここで言うクリーンバーンとは舶来物も含めストーブ本体から直接煙突に排気が抜ける薪ストーブを指します。
煙突内部が排気で温められることで空気を吸い込むので、一般的に発生した熱の4割くらいは煙突から屋外へ放出されていると言われています。
普通に運用して、うっかりと薪をたくさん入れすぎるとこんなことも経験しました。
煙突自体がマスヒーターの役目を果たし、巨大なロケットストーブ状態です。
こうなったのは僕が薪を沢山入れすぎた為に起こったので僕に責任が有りますが、バッフル板も無い本体から直接煙突へ未燃焼ガスが煙突へ抜ける構造なので程度の差はあれど普通に発生することでは無いでしょうか。
端的に言ってこんな感じでお部屋へ放出できなかった暖気を屋外へ排出する機構は、改善すべきポイントが存在しないと言えます。
この様に煙突内部が高温になる→20pa~30paのドラフトが発生と言う図式が成り立ちます。
数年前煙突排気温度を測定するために、煙突出口に温度計を設置したついでに手をかざしてみるとあまりの高温にびっくりしました。
ここで言いたいのはこのタイプでは煙突内部が暖まる事により負圧が発生するので本体よりも煙突の方が重要と言うことになります。
勿論費用の制約も有るのでシングル煙突で何とかならないの?
そう考えるのも十分頷けます。
実際僕も駆け出しのころはそう考えていました。
プロとして高性能を提供するのであれば2重煙突は必須ですが、薪の消費量が多くなるなど2重煙突と比較して沢山のデメリットに納得できるのであればDIYでシングルもありだとおもいます。
ヒミエルの排気
煙突の圧力を測定するついでに、流量を確認する為煙突出口に紙を置いてみました。
本体はSD01でダンパーを全開状態ですが、クリーンバーンの様に火傷するくらい熱い事は無く
排気温度は低くて手をかざして暖かいレベルでした。
紙が燃えるかと思いましたが、理科年表で確認すると紙が燃える温度は290度位なので排気で直ぐに燃えない見たいです。
この図で示す通り、燃焼により発生した熱を煙突へ直に放出するのではなく一旦お部屋へ放熱してから煙突へ煙が抜けるので屋外へ排出する熱量が少なくなります。
この方式だとシングル煙突で充分と言う考え方も大いにありですが、この方式とて煙突内部が暖かく無ければ運用できないので2重煙突設置に比べ燃費が悪くなります。
どの薪ストーブを使おうとも、煙突が冷えちゃうとしっかり燃えないので冷めやすいシングル煙突を使っている限り煙突内部を温める為炎を大きく焚かなくてはならない。
もうこれは物理的な決まりなので如何ともしがたい。
勿論、細い薪をちょろちょろと焚いてペレットみたいな運用や、シングルで全くOKと言う方はそちらを選んでもらって全く問題無いです。
ただ、僕の求めるのは導入コストが掛かったとしても、ランニングで回収できるシステムなので2重煙突が好きなだけです。
まとめ
長々と書いたけど題名の問いに関する答えは
「排気温度が決定的に違う」と言う事です。
どれだけストーブの性能を上げようとも、住宅の性能をカバーできるだけの能力は無いので基本的に住宅の性能で暖房能力が決まると思って頂いて結構です。
去年僕が友人に譲ったロケストを使うと、焚き付けの時に煙が逆流すると相談されました。
これはオールシングルで横引きと言う非常に厳しい煙突レイアウトが原因です。
焚き付けの弱い負圧が煙突を通過する途中で冷めてしまい、煙が煙突から抜ける事が出来なくなった結果ストーブの隙間から煙が漏れ出しているのです。
この様に、焚き付け時のドラフトが弱いことがマスヒーターの弱点なのですがそこの所はアイデアで切り抜けるのが面白い。