フラッシングのコーキング打ち替え工事

弊社で施工する場合は9割がチムニーボックスを施工し、屋根の強度やどうしても箱を施工できない場合にフラッシングを取り付けています。
チムニーボックスを取り付けるとなると初期費用がフラッシングと比較して高額になるので、過去の経験だと薪ストーブをリフォームとセットで販売しているような工務店さんは導入費用がお客様へ高く見えるのでフラッシング施工が基本だとお話し下さいました。
ここからは私の好みの話なので、正解不正解と言う次元では無いと断ったうえで私見を述べたい。
設置場所の制約でフラッシングを施工する場合を除き、私の経験では薪ストーブを施工する業者の大多数はチムニーボックスを取り付ける方が圧倒的に屋根防水や強度で有利なことは認めている。
では、何が障害となっているのかと言えば導入費用が一番大きく且つ根源的な課題。
薪ストーブを導入して運用する見込み期間が10年〜15年ならフラッシングでも十分お得かも知れません。しかし、コーキングを使用した防水と言うのは無限に有効な訳でなく10年から15年の間に硬化して水漏れが発生します。
雨漏りが発生してから、もしくはシリコンの劣化を認知したら速やかにコーキングを打ち直すにしても定期的な改修が必須な事に変わりないし、屋根瓦に多用されているワカフレックスなども寿命は有限。
設置の時にしっかりと防水加工出来るチムニーボックスの方が初期費用が必要になるのは認めますが、ランニングコストから解放されるし、雨漏りに対する対策も強固なので長期間の使用を考えるのであれば顧客にとってメリットが多いと考えるのが私のスタンス。

今回はお客様より設置後10年が経過したフラッシングの点検をご依頼頂き、赤丸の部分がカチコチになってひび割れが発生しており、屋根瓦との接続部分がへこんで水が溜まる形状になっているので計画修理を提案したところ、修理を依頼頂きました。

コーキングのうち替え作業は初めての経験だったのだけど、めちゃ大変。
これが劣化したコーキングの上に新規でシリコンを打ち増すのであれば楽勝だったのだけど、それじゃ土台が劣化しているので工事する意味が有りません。
地肌が露出するまで硬化したシリコンを取り除くのに必要なのはズバリ根気だけ。
ワカフレックスのアルミに穴を開けない様に細心の注意を払いながらなんとか地肌の露出まで完了したら、次はストームカラーの清掃を実施。

ストームカラーの下に、フラッシングと煙突の防水処理を担っているブチルゴムが超強力に接着していたけど、苦戦すること小一時間でなとか全ての下地を出す事に成功。

この状態になるまで、4時間以上かかりました。
炎天下の中、屋根のうえでずっとシリコンの除去を行うのは予想以上に疲労が溜まります。
そして、金属下地が露出できると、あとは防水するだけでOKなので気分も軽やかに。

フラッシングの防水には変成シリコンを使用しており、シリコンと煙突の接着にはプライマーが必須です。 プライマーが無くても接着は可能なのですがメーカーが設計している強度を出すべくテープで養生を行い付属の刷毛でしっかりと塗布。

シリコンの膜厚もメーカーの施工仕様書を確認すると、5ミリ以上の膜厚で強度が出ると書いていたので山盛りにシリコンを塗り付けた後、俵型に切り抜き部を加工した自作のシリコンヘラで表面を馴らして行けばフラッシングのシリコンうち替えは完了です。

たった3か所シリコンを打ち換えるだけで丸一日費やしました。
そのうち8割の時間を劣化シリコンの除去に費やしているので、お掃除がメインの仕事ですね。
今回はシリコンを打ち換えたけど、そのうちワカフレックスも劣化して行くので将来的には抜本的な対策が必要になって来るでしょう。究極的に防水を行うのであればチムニーボックスを造作。そうでなければワカフレックスを使用せず板金で谷まで雨仕舞を行う改良が必要になるけど、そうなったら現状を全て分解して最初から作り直すので、フラッシングは一見導入コストが安い様に見えるけど実は近視眼的ではないかと強く思います。