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第50回職人起業塾の振り返り

 
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今回の事前課題は

顧客接点でのマネジメントで仕事、事業の目的を伝える為に実践している行動を教えてください。

毎度難しい設問です。

私のお仕事

私が現在の職種をスタートして、24年のキャリアになります。

そして多くの人に「どんなお仕事なのですか?」と問われる度に返答に困っていました。

なぜなら、製造業の補助業務で実際に作業する職能範囲は、いくつもの分野を横断する多能工なので私の仕事はこれです!と断言出来る言葉を今までみつける事が出来ませんでした。

しかし、最近便利な言葉を知りました。私の仕事は

「製造ラインの改善業務です」

「改善マン」 うーーん、一層分からないですかね。

幾つかの事例を挙げると

1)有る時、純水槽の中で石英管の洗浄を行う装置の故障が頻発していました。純水の中で石英管をセットした篭を1秒サイクルで2分間上下するのですが、上下の切り替えの度にモーターのブレーキで機械的に停止させていました。 1秒ごとのブレーキなので、ブレーキの設計寿命をあっという間に越えてしまい、ブレーキの破損が頻発していました。

対策) 機械的なブレーキは3秒以上の停止に使い、上下昇降の一旦停止にはインバーターを追加してモーターを電磁ブレーキ化する事でブレーキの負荷を低減しました。

解説)停止の都度機械的にブレーキしていたのを、2秒以内の停止は装置駆動のモーターが電磁石の役割を果たし、モーター自体がブレーキの役目を果たす様に改造しました。

ここでのポイントは、問題発生の原因と、費用対効果の検証です。後はシーケンスプログラムの知識と器機の選定さえ間違わなければハードルは低いです。

 

2)有る時、2時間後に使いたいと金型部品にタップの追加工を依頼されました。

5年以上前に同じ物にタップ加工をしているので軽い気持ちでOKの返事をしたのですが、摩耗対策に普通の鋼材から硬度高い素材へ変更されたみたいで普通のドリルでは一旦滑らすと穴すら開ける事が出来ませんでした。

対策)タップと素材の硬度差が無いのでタップ加工は諦めました。 その代わり焼き入れ鋼でも穴を開ける特殊ドリルを使い硬い素材に大きめの穴を加工する。その穴に長ナットをカチ込んでTIG溶接で固定。

ネジに掛かる負荷が軽いパートだったので、長ナットを埋め込んで溶接する事で作業は完了しました。

 

3)大型設備の部品交換

大きい物では1トンくらいある機械部品を、設備内部で玉掛けしながらハメ合いを仕上げて行きます。

 

ここに書いた3つの事例でも、それぞれ専門の業者がいて、1つの事例ごとに施主が業者へ指示を出して工事を行わなければなりません。 

ポイントは施主が指示を出すと言う事です。 ですのでリスクは施主持ちです。

しかし、私の場合施主から具体的な指示を頂くことは無く、困りごとがあるので後は良い様に考えて下さい、以上で終わりです。

施主から要望は頂けますが、具体的な指示は一切無く、不良低減、新機種対応、製品の長寿命化、機械修理すべて私に一任されます。

ポイントは全て私が責任を持つと言う事です。 ですのでリスクは私持ちです。

アイデア出しから、工期、費用、導入効果まで全て一人で考え、設計して、作って、導入して、メンテナンスします。

だから、設置しやすく修理のことまで考えた設計と製缶を行う様になりました。

 

とは言え、いくら自分の技量を高めても顧客の希望とズレがあったら的外れなので、如何に顧客の要望をじっくりとくみ取るかが最も重要だと考えます。

私の個人的考えでは導入後のリスクヘッジの為、どうしてもオーバースペックの設計に走りがちなので、スペックよりも顧客の言葉にならない意図を、どれだけ明確にするかがとても大切な技能だと思います。

若い頃は自分の技能向上ばかりを追い求め、専門バカまっしぐらでしたが、現在は顧客のニーズや困りごとを軽くする事に最も力点を置いています。

ですので、私の事業の目的を伝える為に実践していることは

顧客発信の要望をまず第一にじっくり聞いて、認識のズレを無くしてから、技量で応えて行く事です

職能により、機会組み付け、電気制御、熱処理装置修理、油圧制御、製缶、設計など専門業者が存在しますが、顧客目線で横断的な業務を行う競合相手は存在せず、私の仕事への参入障壁は高いのが実情です。

 

信頼の核をスコア化

自己採点ですが、信頼の核となる4つの要因(意図、結果、誠実、力量)をスコア化して100点満点で何点取れるか質問票に回答しました。

私の場合84/100点で、まんべんなく20点台をマークしていました。特にこだわっていた力量のスコアが一番高かったのが嬉しかったです。

今回3人並んでテーブル席にすわった皆さんが80点以上だったので、私もまだまだ頑張らなければいけませんね。

私が20代の頃、仕事のイロハを教わった師匠は柔軟な発想とそれを具現化する力量が凄くて、遠い雲の上の存在でした。 師匠以上の発想力が素晴らしい人に未だ出会った事が無く、自分は教えて貰ったことすら満足に復元できないボンクラな弟子でした。

そんな師匠はことあるごとに一番大切なのはイメージする力で、課題を解くには、頭の中で仮説を思考実験せなアカン。と繰り返し教えてくれましたが、正直な所何の事を言っているのかさっぱり分かりませんでした。

そんな私もいつの間にか、師匠が事あるごとに言っていたイメージする力が付いてきたと感じる様になりました。

機械の修理や、新規設計、完成品の不良原因調査など瞬間的にはイメージが湧いてこなくても、車を運転していたり、お風呂に浸かったりなど、リラックスすると頭の中に問題解決のヒントが浮かんで来る様になりました。

もちろん、既存の経験があってのイメージなので全く未経験の事は判断出来ませんが、今は失敗を恐れることが減ったので、未知なる挑戦での失敗も成功への必要経費だと割り切ってズンズン挑戦して行きます。

 

真の学びは懇親会に有り

塾長の格言です。

まさにその通りだと思います。 今回はラッキーな事に高橋さん、四辻さんと言う普段では考えられない豪華メンバーとテーブルと同じくする事が出来たのでとっても勉強になりました。

懇親会から1週間経ちましたが今でも記憶に残っている言葉が2つあります。

1つめは

コーチングをずっと受けていると、今までシャカリキに守っていたギアがどうでも良くなり、もう一段高いギアの方が大切になる。 するっと抜ける時が来る。

2つめは

多くの人は沢山の荷物を持ったまま早く動く技を探している。 これって矛盾していると思わない?早く動きたいのなら身軽な方が合理的だと思わない?

今の私に刺さる話を聞く事が出来本当にラッキーでした。

 

そして一番大切なのは、良い言葉に感動して終わりにするのでは無く、どんなに小さくても良いので行動に結びつけて行く事だと思うので、今月は頭に思い浮かんだ事をとにかく実行してみるワークを行います。

私にもいつの日かギアが抜ける時が来るのでしょうか? 不安でも有り楽しみでもあります。

 

 

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