必見。2種類あるサイクロン燃焼の構造を大公開
サイクロン燃焼の核心は燃焼によって発生した可燃性ガスと酸素を効果的にかき回す事だと思っています。
そして僕の知る限りサイクロン燃焼には2種類のアプローチが有ります。
一つは僕が特許を取った接触抵抗片による強制的な回転運動、そしてもう一つはヒマラヤンロケットストーブが採用している円筒の外側線に炎を当てる方法だ。
今回なぜこのような記事を書こうかと思った理由は、見学に来て下さったお客様がサイクロンの構造について違いが分かりにくいと質問下さったからです。
どのような方法を選択しても炎を回転させて確実な燃焼を起こそうと言う狙いは同一で、手法が異なると考えています。
himarayanrocketstove
ヒマラヤンロケットストーブは、円筒形の内部で炎を回転させるロケットストーブです。
所在はネパールに程近い、インドの北部です。
詳細は検索してもらうと良いと思うので、HPにあったデモ動画を貼り付けておきます。
かっこいいデモ動画ですよねー 僕もこんな動画を作ってみたいです。
この会社は構造も公開しているのでリンクを張っておきますね
ロケットストーブの構造
サイクロン燃焼する原理は円筒形の内部接線に対して、直方体のバーントンネルから炎が導かれます。
炎は筒の内面に衝突しながら上昇気流に乗ってらせん運動を行います。
文章で書いてもわかりにくいので図示すればこのようになります。
簡単に考えると、ルーレットの玉が円盤の外側に沿って回転するのと同じでしょうか。
私見ですが、サイクロンシステムが備わっていなければ広島の「私はストーブだ」で見たプロパンガスボンベのロケットストーブ貞谷ストーブさんと一緒じゃないかな?
貞谷さんのロケストは本当に秀逸でシンプルを極限まで追求するとこのような形になると感心しました。
ヒミエルサイクロン
そして次に説明するのがウチのサイクロンです。
僕のコンセプトは乱気流を作り出すだけじゃ無くて、サイクロン発生装置自体が高温を保持する事を狙っています。
なので、コンセプトは触媒搭載の触媒に近いです。
構造自体はとっても簡単で写真の様になっています。
そして、天板を取り外すとサイクロンチューブがワンタッチでヒートライザーの中へセットできます。
長期間使用して消耗ても、すぐに交換できるのでご安心ください。 寿命は完成してから3年しかたっていないので今のところ3年までしか検証できていません。
ヒマラヤンロケットストーブと比較して何が違うのかと言うと、決定的に異なるのは炎の通り道に抵抗が有ることで強制的に炎が撹拌されるのと
サイクロンチューブ自体が蓄熱することで煙りすら燃焼する600~800度の高温状態を2本の広葉樹を投入して約1時間連続燃焼できます。
通常型薪ストーブの触媒に近い働きをする事を狙って作成したし、実際サイクロンチューブの有無で高温発生に有意差が発生すると統計的に検証もしたので間違いは無いだろうと思っています。
(検証記事)
すごく個人的な意見なんだけど、ゆっくり燃えるとか、高温が発生するなどの表現は
「このお肉すごくおいしい」とか「綺麗な景色だな」などと全く同じで個人の感性がベースなので評価の基準が一致しない。
もちろん、燃費や暖房性能など統一した指標が無いのは十分知っているので比較なんて出来ないのは分かっているけれど、少なくとも自社製品に対して比較測定して検証しなければ改善効果の有無を判断できないのじゃ無いかな?
少なくとも僕は自分の発言に確信を持ちたいので、データロガーで計測して、統計処理に必要なサンプルを集めて記事を発信しています。
話が横にそれちゃったけど、初期の3年前は高温を作り出せた事だけに満足していました。
しかし、僕が狙っているのは長時間燃焼でユーザー生活が楽になる薪ストーブなので高温発生が目的じゃ有りません。
あくまで高温発生は手段なのです。
じゃ、燃焼を遅くする手段は空気の流れを遅くすることが必要なので、手段は吸気を絞るか、排気を絞るかの2択に絞られます。
その後も、紆余曲折の実験を繰り返して出した答えは・・・・排気絞りです。
僕の知る限り、空気の調節機構が無くて排気ダンパーだけで火力調節する薪ストーブを知りません。
しかし、排気ダンパーで火力調整するのが効率の良い燃焼を可能にします。エアーが常に全開のメリットは
- エアーを絞らないのでガラスが曇ることもが無い
- 燃焼に必要な空気が欠乏しないので煙の発生が非常に少ない
- 高温発生時に酸欠にならない
など、薪を少しでも長持ちさせようと無意識に空気を絞ることによって発生する弊害を全て解決出来る手法なのです。
こんなにすばらしい手法だけど、世間で売っている薪ストーブは暖められた煙突内部の浮力で吸気する構造だから、ヒミエルストーブのようにダンパーを絞ってしまうと煙突内部が冷めてしまう→吸気力が落ちてしまう→炎が鎮火モードに突入。
端的に言って、構造的な制約で同じ燃焼を真似出来ないと言う訳です。
こればかりは実際に見て貰わないと伝わりにくいのですが、見学に来て下さったお客様の多くが高性能に驚いて下さいました。
とある薪ストーブをお使いのお客様は
「デザインは好みの問題だけど、何か文句を言えるポイントがあれば言おうと思っていたけど何も無い。よくここまで仕上げましたね。」とお話下さいました。
まとめ
まぁ本音を言うと、サイクロンチューブなんて僕が求める長時間燃焼を生み出す為の手段なので、ゆっくりと同じ温度で長時間燃焼してくれればどんな構造でも構わなかったです。
よほどのマニアでも無い限り、構造よりもそれによって生み出される便益の方が需要なので、僕はそこの所をしっかりと意識しています。
よく、「何か参考にした薪ストーブは有りますか?」と質問されるのですが
ここ数年は、人のストーブを見るとアイデアが縛られてしまうのでほとんど見ることは有りません。
だって、欲しい性能を発揮している製品が無いからです。
その代わり本業である産業機器の構造や、大学の論文、高校物理の教科書などを参考にしています。
同じ業界を参考にするのでは無く、他業界をヒントにアイデアを膨らます方が得る物が多いのは間違い有りません。
それに、製作の基本は誰かに教えて貰っても良いかも知れませんが、人から教わったことに頼り切ってしまうと、何かの拍子に問題が発生すると全く解決出来ない状況に陥るので非常に危険だと考えます。
何事も自分の責任で考え、トライ&エラーを積み重ねる事が一見遠回りのようで一番の近道だったのかも知れません。