あなたの製品が選ばれる理由はなんですか?
マーケティング用語にUSPと言う物があるらしい。
簡単に言うと「あなたの商品が選ばれる特徴」とでも言うのでしょうか。
正直に告白すると、初期の2年間くらいは僕が作っていた薪ストーブは世間のどこでも売っているストーブの焼き直しでした。
なので、選ばれる特徴なんて1mmも無かったと思います。
単に世間で売っている構造を真似して、手作りと価格をアピールして自分が提供する物を必要とする人に売ろうとしていました。
過去のヒミエルストーブ
自分が何を求めているのか全く意識すること無く、あまた競合がしのぎを削るレッドオーシャンのど真ん中に飛び込んで自分の作った製品を買って貰おうと奮闘していました。
デザイン、価格、手作りetc 様々な理由をブログに書き連ねても全く反応が無く、どのように上手く立ち回れば良いのかばかりを考えていました。
また鉄をくっつけて、それらしい箱は作れるのですが薪ストーブに関する専門的な知識が圧倒的に不足しているので不具合が起こった時の理由がさっぱり分かりませんでした。
そのように、魅力有る製品をつくる能力が劣って、世間の2番煎じを何とか売りつけたいと考える自分勝手な僕に共感する人なんていないと思うし、僕だってそんな「今だけ、俺だけ」みたいな人に魅力を感じる事なんて無いので当然の結果として全く成果が無いまま数年を費やしました。
ストーブが真ん中にある生活を届けたい
語弊があるかも知れませんが、世間で売っているほとんどの薪ストーブはカタログに載っているイメージと実際の運用が乖離していると思っています。
その端的な事象が「薪が早く燃えてしまう」事です。
市販されている薪ストーブが全て同じ燃焼理論で作られているのでユーザー自身も違和感を感じること無く、
燃費が悪い状態をデフォルトと思って運用しているのかも知れないし、ストーブショップに改善を相談しても商品を取り次いでいるだけなので何も手を出すことが出来ません。
ストーブ難民と言う言葉がありますが、家を建てるときなどにストーブをインテリアの1つと思って導入するも、薪が予想の何倍も必要なことに心が折れて、数シーズン使った後は本当のインテリアになってしまうと言う話です。
1シーズン薪をケチらずに焚くと写真の薪(網パレット10杯+棚にパレット3杯分)くらいあっという間に消費しちゃいます。
これが1シーズン分なので、2年乾燥させるならこの2倍の量を確保しなくてはなりません。
ちょっとあり得ない量だと思うかもしれませんが、それが現実です。
そして、薪だけで暖房を賄おうと思うと20~40分に1回薪を追加する手間が必要になり、僕はそれがとっても煩わしく感じていました。
決定的な出来事は、冬にストーブの横で昼寝をすると寝入った頃に薪が燃え尽き、寒さに震えて目覚める事が多かったので何とかもっと燃費の良いストーブを作る事が出来ないかと考えるようになったのです。
過去の僕は自分が提供できる物を、欲しい人に買って貰いたいと考えていました。
しかし、この頃から「ストーブの世話に忙殺されるのではなく、ストーブが家の真ん中にある生活を届けたい」と考えるようになったのです。
燃費が良いので薪にまつわる労力を低減し、50~60分間燃焼を継続して、暖房だけじゃ無くお料理など冬期に使いたくなる本物の生活道具が欲しい。
そしてそれを作る事によって、ユーザーに負担を掛けていることにすら気づいていない薪ストーブの非常識を世間に問うてみたいと考えたのです。
ブレークスルーのヒントは違う世界に潜んでいる
薪ストーブの常識を変えていきたいと思っても、作り出す知恵と技能が無ければ絵に描いた餅で終わってしまいます。
参考になる製品は世界のどこにも無いので、最初は適当に1つサンプルを作って実験を繰り返しました。
そして、サンプルを元にブラッシュアップしたモデルを作り、4~5台作ったあたりから欲しい性能と設計の因果関係を掴む事に成功したのです。
この間ストーブの売り上げは全くゼロで、本業で稼いた資金を薪ストーブ開発に費やす不安な時期でした。
開発に当たって僕が参考にした情報は薪ストーブ業界では無く、本業の産業用プラントの流体制御や熱処理炉の構造でした。
イノベーションを起こすには業界を超えた場所にヒントが潜んでいました。
僕のUSP
今僕がしたいことは
世話が煩雑な従来型薪ストーブを変えて行きたい。
家に据えて、炎を眺める生活を中心に出来る。そんな素敵な薪ストーブを提供したい。
です。
自己リサーチでは世の中に同じ構造の物は2つと有りません。誰とも戦わないので正に無敵。
過去の自分とは全く異り、今の自分は「僕の信じることを信じて下さるお客様へ商売をしています。」
まとめ
このような考えが固まり、ブログで発信するようになってからは初期の暗黒時代が嘘のように、お問い合わせや契約を頂ける様になってきました。
特に、薪ストーブを過去に使っていたり現在進行形で使っている方ほど僕の製品を気に入って下さいます。
現在の状態は単なる思いつきの行動ではなく、マーケティングの思考を学び、テストする事で作ることが出来ました。
そしてマーケティングのフレームワークを学べる無料勉強会が神戸にあります。
神戸市西区にある「すみれ建築工房」の高橋社長が月に1回開催されている「元祖職人起業塾」です。
座学で知識を得るだけじゃ何の成長も生まないけれど、自分の行動と意思決定が何に効いているのか検証する事に大いに役立ちました。
いくつになっても学びは必要と言うことでしょうか。