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きれいなオーロラ燃焼が発生する原理は熱分解でなかろうか

 
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Photo credit: Gord McKenna via VisualHunt / CC BY-NC-ND

1つ前の記事で2重煙突は、シングル煙突よりも吸気力が勝っていると煙突効果の計算式を用いて述べた。

では、長時間眺めても飽きがこないきれいなオーロラ燃焼はなぜ発生するのか個人的考えを述べる。 個人的に調べた内容なのですべて正しいのか検証出来ていないが、おおむね正解ではないのかと思っている。

結論)
オーロラがきれいな2次燃焼は、木材をメインに燃やしているのでは無く炭焼きに近い状態である。木材を燃焼させる事と、炭を作り出す事は、まったく違う事である。
熱分解とは、高温環境で木材の主成分であるセルロースの分子結合を
分断する事であり、詳細は以下の論文を参照されたし
出典)
京都大学大学院エネルギー科学研究科(セルロースの熱分解反応と分子機構)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jwrs/61/1/61_1/_pdf

解説)
おおまかな説明だが、土の釜で行う炭焼きは、原料の木材を釜にならべ、入り口でたき火を行い、原料である木材の分子同士が高温で分解する温度まで昇温させて、材料が燃える事無く連続して熱分解が起こる最小限の空気を投入し、木材の主成分である炭素とその他の物質を分離している。

薪ストーブの製作をはじめるまで、炭焼きとは、薪を燃やしている状態を指していると誤解していた。 しかし、そのような状態では原料が灰になってしまい炭を作る事など到底出来ない。実際は原料を燃やして灰にしているのでは無く、熱により木材から炭素を取り出していたのだ。

薪ストーブのきれいなオーロラ燃焼は、酸素を多く供給して木材に含まれる炭素と酸素を結びつける酸化反応では無く、炉内への酸素供給を出来るだけ絞り、炭窯で炭焼きを作っている状態を近似させる環境を作っているのではと推測する。

状態の近似なので完全に炭焼き状態ではなく、熱分解を起こしつつ燃焼も同時進行している状態を作りだしている状態が写真で見るような感じになる。

そのような状態を作り出すには、熱分解に必要な最小限の空気を力強く吸気する事が必要であり煙突の内部温度を高温に保つ、もしくは煙突自体の体積、高さを稼がないと、小さな吸気口から強力に吸気する事が出来ない。

なぜなら煙突効果の記事に記載した、煙突効果の吸気速度は所与のパラメータの積であるからである。

薪ストーブの点火から巡航運転状態(本体及び煙突の温度が十分に上昇している状態)に入れば煙突の違いによる燃焼の差異は少ないと思われ、シングルでも空気を絞れば2重煙突ほどで無いにせよ、主に木材が燃焼を行いつつも、熱分解状態が起こると考える。

昨日の記事に記載したエクセル表に煙突内部温度の変化試算表を再掲載する
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しかし、シングル煙突では木材燃焼のピークを過ぎるとストーブ出口の温度が200℃であっても、煙突トップの温度は45℃近くまで降下し空気を絞って熱分解状態を作り出そうと望んでも、暖気された上昇気流による圧力差を長時間作り出す事が出来ない為、空気を多く供給し、燃焼状態を作り出して吸気力を作り出さなければならない。

もちろん、2次燃焼付きの薪ストーブではシングル煙突であっても、セルロースが燃焼する時に発生する可燃性ガスを2次空気で燃やす事が出来るので、オーロラのような燃焼状態にする事は可能で有る。 2重断熱煙突では、空気を極限まで絞り込み炭焼き状態で運転できる所を、シングル煙突では、木材を燃焼して空気の吸排気を行なわなければならない、だから、薪の消費が速い。と言う答えに帰着する。

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