買って、がっかりを無くしたい
出来上がってからのテストが重要
薪ストーブは形が出来上がっても、「よっしゃ、すぐ売りに出そうか~」なんて出来ません。
何度もテストを繰り返して、設計では気付かなかった不具合や使い勝手をよくするヒントを探し、自分の手元にある間、気になる点を1つずつ消していく作業が絶対に必要だと思っています。
設計段階で想定していた加熱性能がしっかり出ているか、炎を着火した直後の冷めた煙突の排煙、煙の漏れ、運搬方法、組み立てやすさ、炎が外に出ないかetc…注意してテストすべき項目は沢山有ります。
今テストしているカマドも、最初は出来上がった喜びで浮き足立っていましたが、色々な料理に挑戦していく中で気になる点を何個も見つけました。
お金を出して完成品を買うのでは無く、世に無いものを自分の技術で形にし、発見した不満点をこれまでの経験から改善していく。この、不具合を直しつつ完成に近づける経験こそが物作りの楽しみであり自分の財産ではないでしょうか。
問題に出くわす度、知識のある経験者に質問したり、ネットで調べると解決のヒントを簡単に手に入れる事が出来るかも知れませんが、自分で考えて行動する大事なプロセスをアウトソーシングしてしまうと、本当に困った時に何も手が出なくなると思うので、失敗しても自力で切り抜ける事が、遠回りの様で一番の近道かと思っています。
私流のノウハウで全く未経験の製品を完成に導くコツは、最初から完璧な完成品を目指して時間ばかり浪費するのでは無く、最初はザクッとアウトラインを押さえた試作品を作って、徐々に完成度を高める方が、時間の節約になります。
今日はミートスパとピザパンを作りました
今日もテストを兼ねて、料理をしました。今まで作ったご飯料理と違って、直火で野菜を炒めてミートソースを作り、麺をゆでる為にお湯を沸かし、オーブンでピザパンを焼きました。
すると、今まで気付かなかった不満点を発見できたのです。 不満点を見つけさえすれば、後は改善するだけなので、不満点の検出がとっても重要な要素です。
ストーブの改善点は見つけましたが、料理はいつも通りおいしかったです。
発見した3つの不満点
(1)焚きつけに点火した時、煙の抜けが凄く悪い。
煙突が冷えているコールドスタートは薪ストーブが一番苦手な状況です。例えるなら筒の先に濡れ雑巾を被せて蓋をしているかの様に、煙突内部の冷えた空気が焚きつけ時に発生する煙の抜けを邪魔して、気密の悪い部分から煙が吹き出して来ます。
(2)直火で料理したい
炎の直接当たる部分は取り外しできる様にしているのですが、開口部が大きすぎて使い勝手がよろしくありません。 お肉を焼いたり、大量のお湯を沸かしたい時は天板を外して強力な炎を直に当てて強火で料理したい。
(3)オーブンの温度が低い
今まではお肉にじっくり熱を加えて行く事が大事だったので気付きませんでしたが、ピザパンを焼こうと思っても時間ばかり掛かって、チーズが乗っている上面の熱量が足りませんでした。
対策を行った感想
(1)の対策を昨日行い、今日試運転しました。仮説がしっかりと不具合の原因を捉えていたのか、結果はとっても良い感じで、冷めた状態からのスタートも勢いよく炎が本体へ吸い込まれていきます。
本体のどこからも煙が漏れる事は無くなりました。
(2)(3)については今後改造していきます。
(2)は五徳の改造で完了します(3)はオーブンの加熱面積を増やす改造が必要で、アイデアは浮かんでいるので後は着手するだけなのですが、なぜか改造に踏み切れません。
まとめ
私は誰かに製品を販売するのなら、自分が納得できる物で無いと売る事なんて出来ません。
私の薪ストーブ製作友達の「マキ式薪ストーブ」岡崎さんの姿勢から学びました。岡崎さんの人柄、お客さんに対する姿勢は近くで拝見するだけで本当に勉強になり、また一部だけでも真似したいと思います。
他の人と似たようなデザインの薪ストーブを作る事が出来ても、お客様とふれあうのは人であり、私は人柄こそが他との決定的な差別化に繋がると思っています。