燃焼効率の向上を目指し実験
先週長い眠りの中放置していたシェーカーズデザインのテストを行い、対策をいくつもしたのに窓ガラスのくもりを解消する事が出来ず途方に暮れてこれ以上の深掘りは止めておこうと固く決心したのです。
しかし、ふと燃焼効率向上に繋がる実験のプランを思いついたので早速実験してみました。
炎を滞留させて、燃焼ガスをかき乱す
このストーブの基本構造は、箱形の本体内部に炎が横走りする構造です。
煙突内部の浮力が高いほど、炎が横に走って行くので炎が本体内部に滞留する様に改造してもっと暖かさが向上するのか実験です。
以前はこんな感じで炎が横に流れて行きます
具体的には穴の空いた鉄板で炎をかき乱して、滞留時間と燃焼効率の向上を狙います。
バッフルの試作
時間を掛けずに、あり合わせの材料で早速実験です。
偶然にも手元にスパイラルダクトの継ぎ手とパンチングメタルの残材があったので、炎は煙突効果で流速が早まるのと同時に昇温することを期待してこんな形状のバッフルを作って見た。
この蜂の巣の隙間を炎が通ることにより乱気流が起こることを期待しています。
実際にストーブにセットしたらこの様な感じになります。
なんか飛行機のエンジンにも見えますが、早速実験です
燃焼動画
バッフルに揺れる炎が吸い込まれて行くのが動画で分かるかと思います
バッフルの裏側からも撮影してみました
最初の実験で、大まかな当たりをつけたけれど、詰めて行けるポイントを幾つか発見したので早速改善して行きます。
問題点と改善
炎がバッフルと本体の隙間を高速で駆け抜ける
暖かい炎は、バッフルと本体の僅かな隙間を伝い高速で煙突へ抜けて行くので、狙い通り炎がバッフルにじゃんじゃん吸い込まれて行かなかった。
(改善点)
隙間を鉄板で埋め、発生した炎をバッフルへ誘導。
バッフルの抵抗が大きく、炎の吸い込まれ方が遅い様に感じた。
(改善点)
パンチングメタルの穴を大きくして、筒の中央から後端へ溶接箇所を変更した。
上記2点の改造で、炎が確実にバッフルへ通過する様にしたのとバッフルの抵抗値を下げて効果を試します。
改善後の実験
バッフルへ沢山の炎が吸い込まれて行く様になったので、改善の効果はありました。
そして、バッフルの抵抗により全ての炎が後方へ流れて行くのでは無く、吸気口の方へ炎が緩やかに流れる様になって改善前と比較して炎の滞留時間が長くなったと感じました。
効果として、本体からの輻射熱が多くなったのと今まではゴーッと燃えるだけだったのが緩やかに燃焼する様になりました。
実験から得られる教訓
ロケットストーブマニュアル本に書いていたと記憶しているのですが、効率の良い燃焼には3つのT
「温度、乱流、時間」が必要で、バッフルを設置して炎の流れに抵抗を設ける事で熱の対流、昇温、燃焼時間の発生が可能になると分かった。
2次燃焼を行うのに、専用の空気を供給する事に視線を奪われやすいけれど実はバッフルの形状を工夫して昇温構造を作り出す事が出来れば自然とドラフトは強力になって行く。
なので、クリーンバーン燃焼機構のストーブと言うのはバッフルと2次燃焼空気がセットなんだと納得です。
今まではどちらかというと知識レベルの「知っている」だったけど、今回の従来型ストーブとサイクロンストーブの燃焼風景を比較する事でサイクロンストーブの構造が理にかなっているのか納得出来ました。。
そして、実験に使ったストーブは窓のくもりが解消出来ないし失敗作品だと途方に暮れていたけれど、今回の実験で炎の流れを目視できる素敵な実験器具だと気がついた。
先週までがらくたに見えていたのに、ちょっと見るポイントを変えるだけで評価が180度変わるなんて・・・びっくりです。