更なるクオリティを目指して

前回は工場に保管しているサンプル機を使って取っ手改造のテストをしました。
今回はその成果を踏まえて、お客様へ納品する製品に新バージョンの取っ手を取り付けて外観をチェックしました。
扉の製作
うちは、ガスケットロープの溝を手作りで作っているから扉の製作にとても時間を費やしてしまいます。
KDの場合四隅がR形状なので、プレスで4方曲げ加工できず角棒を切って鋼板に溶接してます。
溶接すると熱の作用で歪んでしまうから、油圧プレスで修正が必要になり見た目はとても単純なんだけど投入した時間に対して作業の進捗を感じにくいパートです。
未塗装だけど、完成はこのような形状になります。
ガラスからの輻射熱で取っ手が熱くなると思ってステンレスのバネを巻き付けてます。
バネも熱くなるんですが、火傷するくらいまでは昇温しないので素手での操作が必要で熱くなるところは多様してます。
ロックが丁度良い具合に効いてしっかりとしたクリック感が出るように位置を決めるのがちょっと難しいですね。
あと、扉の立て付けもピンの通りが真っすぐに出ていないと扉の脱着が難しくなるので位置決めが重要なんですが、仮止め溶接をすると熱により歪んでしまうので細心の注意を払って作っています。
見栄えの向上
写真はオーブンの中を上から撮影した物です。
以前まではどんなに気を付けても「スパッタ」と言う溶接の細かい溶けカスが溶接肉の周囲に飛び散ってしまい溶接の実作業よりもクリーニングに時間を浪費していました。
何とかならない物かとパナソニック溶接システムズの営業に相談して最新式の溶接機を試して見たんですが、最新式の溶接機は僕の作るストーブ板厚には非対応だと言う事が判明しました。
どうした物かと思っていると、溶接のシールドガスを変更してみたらどうかと提案されました。
通常溶接のシールドには炭酸ガスを多用してます。
殆どの場合炭酸ガスでカバーできるので全く問題有りません。
しかし、溶接外観をキレイに作ろうと思えばシールドガスをアルゴン炭酸に変更すれば劇的に変わると教わったので、とにかく1本ガスを注文して試して見ました。
アルゴン炭酸ガスの値段は炭酸ガスの2倍、容量は1/2なので従来の4倍コストアップになる計算だけど、綺麗な外観を実現できるなら選択しない理由は有りません。
ガスだけ買えば終わりじゃなくて、結構なお値段のする圧力調整器とホースジョイントを揃えて早速試した感想は
「すごくいい!」
狭い場所でスパッタ除去に手間取っていたコーナー部分や扉周りにスパッタが付かないから外観が非常に綺麗に仕上がります。
また、溶接の肉も綺麗に乗るので、後は溶接機本体の電圧波形制御を調整して狙った外観に仕上がる様調整を繰り返しました。
以前はスパッタ付着防止剤をスプレーして、乾燥後溶接、付着防止剤の除去、クリーニングと多くの工程を必要としていましたが、今はほんの少しのクリーニングで作業が終了するので非常に楽になりました。
防錆
写真は本体底面の内側です。
ここは納品するとお客様の目には触れる事のない本体内部です。
一旦溶接で組み上げてしまえば塗装が出来ないのでさび止めを狙い塗装を施しています。
見えないところほどしっかり作り込まないと後で取り返しがつかないのでしっかりと施工します。
見えない部分だからどうでもいいじゃない!
そういう考えも有りなんですが、納品を楽しみにして下さっているお客様を思い浮かべると知っていながら放置する事なんて出来ません。
だから、本体内部にもしっかり塗装してます。
まとめ
気になるポイントを1個づつ改善してゆくと初号機に比べて製作の手間と部品点数がだんだん増えてきて製作日数も増えてきました。
外観は同じ様に見えるけど、製品のクオリティ、耐久性向上、メンテナンス性の全てをバーションアップしてます。
製品価格はデビュー当時のままを維持していますが、今後も同じ価格を維持できるかは、はっきり言って微妙です。
どこかのタイミングで周知の後、値上げをする事も考えています。
お値段については比較対象により抱く感想が真逆になるかと思っています。
個人的考えと前置きして
単に砂型に湯を流し込んだフレームにバーミキュライトを張り付けた大量生産品と、顧客の要望に合わせてオーダーで作る薪ストーブを同じ土俵で選ぶのであれば断然、大量生産品を選ばれた方が良いかと思います。
スニーカーに例えると、量販店に並ぶ商品とオーダーシューズを同一で比較するのがナンセンスな様に、自分の価値観に合致した商品を選んで頂く事が大切だと思うし僕はヒミエルストーブが欲しいとお考えのお客様へお届けできればと思っています。
その為の投資と努力は惜しまないので、今後も必要として下さる方へ自分が作る事の出来る最高をお届けします。