ヒミエルストーブ

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微差圧計の設置場所を調査する

 
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印象深かった3月の納品も遠く過ぎ去り、5月連休から先の予定に向けて元気に動き回っています。

そして7月に納品予定のお客様から微差圧計を設置したいと言うご要望が有りました。

ブログを読んで下さっている方は既知の話かと思うのですが、薪ストーブは煙突内部が暖められて負圧になる事で力強く空気を吸い込むことが可能になります。

そして、煙突内部の温度を高く維持した方がコントロールの幅が広がるので弊社といたしましては口元からオール2重煙突1択でご提案させて頂いております。

 

そして、煙突内部でどれだけ負圧が発生したのかを数値管理する計測器が微差圧計になります。

炎の見た目だけじゃなくて、実際に計測値の変化を確認出来るので非常に便利だし開発フェーズでは手放す事が出来ないアイテム何ですが完成品にビルトインする事は全くの想定外でした。

負圧の取り出し場所、それが問題だ。

工場での実験段階では煙突に穴を開けてパイプを突っ込めばいつでも負圧の測定は可能ですし、煙突の長さと燃焼室の容量でおおよそのドラフト圧は決定されるから数回測定を終えると穴を塞いで計測を終了していました。

 

しかし、今回は製品にインストールしなくてはならないので、実験みたいな簡易的な方法でなくてしっかりと安心安全な構造を作り込まなくてはならないけれど、どのような形状が最適なのか全く持って不明なので3回位実験を繰り返す事でやっと答えにたどり着きました。

煙突T管からの取り出し

まず最初に思いついたのは煙突T管の蓋部分を改造しての測定です。

灰やごみが溜まるので、圧力取り出し口を蓋より高い位置に延長して燃焼実験を行ってみた所、圧力の検出はうまく行きました。

しかし、焚き付けをもたついてしまうと発生した木酢液が垂れてしまう恐れが有るのでボツ。

コンセプトは良かったけど、運用に即していなかったと言う事でしょうか。

 

本体背面からの取り出し

煙突からの圧力測定方式は止めて、本体に穴を開けて直接圧力を測定すればいいんじゃないの?

そう思った僕は早速本体に穴を開けて圧力取り出し部分を作りました。

今回の様に、答えの分かっていない課題を検証するには、気軽に改造できる実験機を手元に持っておくのは非常に大事だと再確認です。

 

この後遮熱板を取り付け圧力を測定してみたら、一応ちゃんと反応したのでOKですと施主様にメールを送信して作業は終了。

その様な流れになるはずで、実験完了のメールを送信したのですが、作業完了の数日後にふと致命的な欠陥に気付いたのです。

それは「圧力降下を測定できない」です

実験当日は認識出来なかったのですが、ダンパーを絞った状態でも全開状態でも計器は常に一定圧力を指し示していたことに違和感を感じた僕は作業完了の前言を撤回して、更なる圧力測定ポイントを探す事を施主様へ連絡しました。

 

圧力の変化を検出したいのに、測定できないと言う事は用途を全うしていない事になるので、納品前に気付けてラッキー。

 

ドラフトは煙突で測定しましょう

背面に遮熱板が取り付くので、煙突取り付けの根元にアウトアダプタを溶接しました。

このアダプタ取り付け方向にも意味が有って、真上だと熱いし掃除が困難になります。

下向きだと煤で穴が塞がる。

横向きだと例え詰まってもブラシで掃除出来るし、真下に比べてごみの影響も受けにくいと判断してこの場所にしました。

 

そしてお待ちかねの実験タイムです。

場所による圧力検出の差異が発生するのか?

非常に興味深い実験です。

結論から言えば、この場所で測定すると圧力をリニアに計測することが出来ました。

 

まとめ

この様に、出来上がってしまえば何ともない簡単そうな事柄でも、仮説→製作→実験→考察のループを何度も回して行く作業が必要になります。

本当に、出来上がったらスゴク簡単な事なんだけど、誰も教えてくれないし、webのどこを探しても情報が載っていないので、独力で実験するしか解決方法が有りません。

 

こんな事を幾度となく積み重ねて出来上がったのがKD01とSD01なので心理的ハードルは低いけれども、最適解を探すのには沢山の時間を費やすと言う事を改めて認識した事柄でした。

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