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蓄熱ヒーターのドア枠を修理する

 
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今回の仕事は私の作ったストーブに関する話では無く、友人の蓄熱ヒータービルダー山田さんが去年納品したストーブの不具合修理に関するトピックになります。

山田さんはwebに一切自分から情報をアップしない人なので雑誌などの記事で世間に認知される以外は全くシークレットな人です。彼との付き合いは2018年、自宅にオンドルを施工するワークショップで出会って依頼仲良くさせて貰ってます。

 

 

そして今回の課題はドアの枠がレンガの本体から外れそうになっていると言う不具合の修理。

基本的に蓄熱ヒーターは2重構造で製作を行い、高温になる部分は耐火レンガで組み付けて外に見える部分は赤レンガや石を利用して蓄熱を行います。

そして耐火レンガと赤レンガは熱による膨張率が異なるので約5㎜の隙間を開けて組み付けを行います。何で隙間を開けるのかと言えば、全て耐火レンガで作ると材料費が高額になるので、耐火性能が必要な部分だけに耐火レンガ使用して蓄熱部分は赤レンガを使用する事がスタンダードとなっており、それを踏まえたうえで製作者の個性が発揮されるジャンルでしょうか。

 

扉の固定はアングルで作ったドア枠をコンクリビスを赤レンガに打ち付けていたのだけど、鉛製の詰め物が熱で溶けてしまい枠が赤レンガから外れそうになっていました。

石と鉄の膨張率は大きく異なるので、扉の固定は鉄の伸びを逃がす機構を備えつつしっかりと固定しなきゃ駄目なんですが意外と難しいので私は韓国で見かけた方法を採用する事にしました。

 

考え方としては非常にシンプルで、ドア枠がはまり込んでいる赤レンガをアングルで挟み込み物理的に枠が倒れない様に溶接加工を行いました。

赤煉瓦の横幅が約110㎜なので、50のアングルをレンガの隙間に挟み込んでドアを開けた時に倒れない様にしました。今回アングル長を100㎜としたけど単に倒れ止め目的ならもっと狭くても良かったかも知れません。

追加したアングルとドア枠の固定は途中に耐熱ガスケットを挟み込んで熱による膨張を逃がす場所を作ったのでおそらくだけど不具合は発生しないと思っています。

 

アングルを取り付ける場所にも意味が有って、ドア枠が外れそうになる原因はドアを開けた時の自重だからドア枠の上側を支えてあげれば枠の転倒防止になると考えたのです。

製作者の山田さんはこの様な現地での溶接修理に慣れていない為、急遽私が同行して修理を行いました。

位置決めと、干渉チェックなどで時間を費やしましたがおおよそ2時間で作業が終了し理想的な隙間を作って納品する事が出来ました。

多分だけど、今後同じような不具合は発生する事は無いでしょう。

 

このヒーターは耐火レンガ300個、普通レンガ500個、そして多数の石材を利用しているので蓄熱量が半端なかったです。

工事を予定していたので前日の夕方以降追い炊きをしていないにも関わらず本体はほのかに暖かく、ヒートベンチも丁度良い温度でした。

真冬になると朝晩追い炊きをされるとの事ですが、鉄のストーブには無い蓄熱ヒーター特有の緩やかな放熱は言葉で上手く説明する事が出来ません。

 

燃焼室は真っ白にススが燃えているのでしっかりと高温状態をキープできているし、灰はロストルと通して下の灰受けに落ちる構造となっていました。

本体の天板は鉄板が乗っており、調理や薪の乾燥に利用できるのでとても便利だと思います。

 

こんな感じでレンガで作る蓄熱ヒーターは鉄のストーブと違った出力特性を持つ製品なのですが、製作もビルダーである山田さんが2か月間泊まり込んで作り込んでいるので誰でも手にいれる事が出来る物では有りません。

色々なご縁が有って入手できるものなのかも知れませんね。

 

私は鉄の薪ストーブだけじゃ無くレンガの蓄熱ヒーターにも興味のアンテナが向いているので、来年はレンガを積み上げて作る蓄熱サウナストーブプロジェクトに参画する事が決まってます。

 

知らない世界で新しい知見に出会うってとても楽しいです。

 

作業を終えて、製作者の山田さんと私の記念写真

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