今年の振り返り

今年も残すところ僅か1週間。 20代の頃中年のおじさんたちが1年が過ぎるのは本当に早いと言っていたけど本当だと実感できる年齢になりました。
そんな中今年を振り返ってみると印象に残るトピックが幾つか思い浮かびますが先ずは私の失態から
不良品流出

もうこれは私の設計が熱によるヒズミを見切れていなかった事が原因ですので、不具合の連絡を頂いた後に即対応部品に交換させて頂きました。
今回不具合が発生したお客様だけでなく、対象となるロットのお客様の元へ赴きすべての確認を行わないと安心できないので煙突掃除や現地下見のタイミングなどを利用して確認したところ大丈夫だったので一安心です。
1件だけ溶接が一か所割れている物が有ったので、お客様がご都合の良いタイミングで新品部品を発送させて頂く事でご納得頂きました。
サイクロンの使用中止

最近のホットトピックなのでもうご存じの方も多いですが、サイクロンを使用するデメリットを検出したので使用を中止しました。
近寄れない程の強烈な輻射熱をご希望の方は従来のままでのご使用が良いですが、立ち上がり時間の短縮、燃費の向上、マイルドな輻射熱の発生をお好みの方は部品の交換を推奨します。
詳細は過去記事に有りますので検索して頂ければと思います。
耐火レンガの使用
まさに12月に入ってから改造を始めたので今一番のテーマなのですが、ヒートライザーを耐火レンガで構築する実験を行っています。
金属系の材料では熱による摩耗から逃れる事が出来ないと言う事実を受け入れ、今後10年の成長を目指した上での判断です。
現在は試作段階で、性能の測定及び摩耗に関する調査を行ってますが進むべき方向性は見えて来たので来年の展開が楽しみです。
今まで沢山作ってきた経験から感じるのだけど、今回の素材変更は本当に素晴らしい発見だったと考えてます。
蓄熱化への実験

KD01の周囲に耐火レンガを積み上げて蓄熱ストーブとして運用できるのか実験してみました。
結果は「十分に使用可能です」
蓄熱化での運用は従来とは全く異なるのでコツを掴むまでは違和感を感じるかも知れないけど、慣れると非常に快適に感じます。
特に火が消えてからも数時間蓄熱した熱の放出を継続するので、空気の流れをコントロールして長時間燃焼での運用を行う考えが消えて、その代わりにしっかりと薪を燃焼させてレンガに蓄熱した方が効率が良いのでは無いかと考える様になりました。
私自身も長時間燃焼に関してはかなりの時間を費やして追及して来たけど、蓄熱化の改造を行えば長時間燃焼が不要になるばかりか、火が鎮火した後も暖房が継続するので以前と比較して薪の消費量が激減したので考え方に間違いは無いと思ってます。

本体の周囲にレンガを積み上げ、燃焼によって発生した熱気が直接レンガに触れる構造のストーブと本体側面にレンガを積むだけのストーブを比較すると、昇温時間は熱気が直接接触する赤レンガストーブの方が優位だけど、気密性の確保や施工容易性、蓄熱時間など総合的に考えると現行販売しているKD01の側面にレンガを置くだけで十分蓄熱ストーブとしての運用を楽しめます。
まとめ
今までは注文をお届けする事に忙殺され、新たな設計を行う心の余裕が有りませんでしたが今年は過去10年で一番時間に余裕が有ったので新しい環境へ赴き沢山の刺激を貰いました。
忙しい事も良いのですが、近視眼的になるばかりか自分の専門分野に焦点が固定されてしまうので環境の変化に脆弱になると言う欠点を抱えてしまいます。
なので、すべてはバランスなんだけど今年得た知見を活かして来年は飛躍の年にしたいですね。