塗装の前に燃焼テストを実施
仮組を終えると、次の工程である燃焼テストを実施します。
過去実績のあるリピート品だと性能を検証する必要がないので耐熱塗装を実施してテストを行い出荷すれば良いのだけど、今回は全くの新設計。
リピート製品の様に塗装してしまえば後から不具合を改造するのは困難なので鉄の素地のままで燃焼テストを実行
焚き付けを準備して上から点火方式で着火すると呆気ないほど簡単に火が付きました。最初はガラスの上に備わる吸気口からのみエアーを入れて空気の量を確認。
試しに灰受けを少しだけ引き出してロストル側からも吸気してみると強力な上昇気流であっという間に点火が完了。
このような燃焼特性は過去にネスターのTQやエイトノットのデモで見た立ち上がりの光景とほとんど一緒に見えます。
いったん火が付いたら下側からの吸気を止めて、エアカーテン側の吸気と排気ダンパーで火力調節をしてみるといい感じでコントロール出来ました。
焚き付けからしばらくは本体の鋼板が温まり、20~30分遅れて本体の周囲に配置している石が200度まで昇温します。 周囲の石は玉砂利、リバーストーン、バラスを1袋づつ投入し熱による爆発が発生しないか検証するとリバーストーンが数個熱による影響で割れました。
石の総重量は約100㎏弱なので温まるまでに時間が掛かるけど、いったん温まればやわらかい輻射熱で周囲がほんわかと気持ちの良い暖かさに包まれました。
家庭用のストーブでは天板で調理やお湯を沸かすので鉄板が見えるように作る事が多いのだけど、サウナでの使用がメインなので本体の天板に5㎝の高さで石を敷き詰めてロウリュウを行います。
今回は本体内部のバッフルを簡単に交換出来るよう天板を脱着式に設計しました。ロウリュウによる急冷で天板にどの程度のヒズミが発生するのか全く未知数なので実際の運用を踏まえて対策を考えることにします。
本体の底がどのくらい熱くなるのか板を置いて計測したところ約100度まで昇温してました。
これは低温火災まっしぐらなので、本体が冷えたら絶大な遮熱効果を発揮するスペシャル遮熱板を取り付けることに決定。
工場でのテストで確認できる燃焼特性や、輻射熱による外部への攻撃は私が検出できる範囲と限定したうえで正常な機能が発揮できるように改善してからの出荷になるが、先に述べた天板のヒズミなど運用してみないと判明しない部分に於いては結果を見ながら対策を考えて行くことになります。
一度温まれば殆ど煙も発生せず良い感じで燃えて行くことに一安心。
新設計でここまでの性能を発揮できれば文句はない。
ロケットマスヒーターばかり作っていたのでクリーンバーン機の特性に詳しくありませんでしたが、対比する事により両者のメリットデメリットを鮮明に理解できるようになりました。
今までは私が思いつくまま、好きな様に欲しいストーブを作っていました。しかし今回は過去のストーブ製作とは流れが全く異なり、お客様のご要望で作り上げました。
そして、顧客が望む製品をゼロから作り出しある一定の水準まで性能を担保できる様になったことが嬉しいです。