排気温度を比較すると違いが良くわかる
今日は冷えたストーブを梱包して出荷の準備。
いつもの300㎏クラスは入念な現地下見と伴に搬入ルートのシュミレーションを行い適切な道具を準備するんだけど今回は2人で持ち上げることが出来るから気楽なものです。
いつもの様にラッピングで本体を保護するため煙突を取り外すと、そこにはいつもと異なる光景が広がっていました。
排気温度が高い問題
いやーよそ様の製品の事を書いちゃうと悪口になっちゃうけど、自社製品なのでなんでも思った事を遠慮なく書けるから気持ちいいね。
あくまでも私が設計製作した蓄熱式サウナストーブを見た感想と断ったうえで感想を言えば、天板の裏側で設計通り300度以上昇温を行いしっかりと木質ガスを燃焼する事に成功してます。
これは天板を取り外して裏側に付着した灰や煤の付き方、バッフルの焼け具合などの確認を行い総合的な判断を行った結論なので大きくは間違えていないでしょう。
ではいつも出荷しているヒミエルストーブを分解したときと決定的に異なる光景と言うのは「煙突が焼けている」事です。
煙突は新宮を使っているのでとてもしっかりしてます。
しかし、ジョイントコネクター部分のステンレスが高温が理由であめ色に変色していたんです。
そんな事はクリーンバーン機の常識で、たくさんの薪を投入して木質ガスを大量に発生させると本体の真上から約1Mくらいは煙突内部でもガスが燃焼するので今更のコメントなんだけど、ヒミエルストーブでは絶対に発生しない光景なので違和感を感じました
では、なぜ煙突が変色するかと言えば発生した熱をダイレクトに煙突へ排出する事が根本的な原因であり、構造から発生する制約なので対応する事が困難。
燃焼効率はtesto330などの検査機器を使用して排気ガス中の一酸化炭素濃度を測定し燃焼効率を推計するんだけど、私が作った蓄熱式サウナストーブでも高い燃焼効率を実現しています。
では何が異なるかと言えば「熱効率」→発生した熱をいかに放熱するか。
これが決定的に異なっています。
例えるのであれば、今回作ったストーブの周囲をドラム缶で覆って放熱を行い露点以上の温度で排気を行うのがヒミエルストーブです。
木質ガスを燃やして燃焼効率を上げる構造はたくさん宣伝されているけどヒートスポット直後に排気のアウトレットが備わっているので、発生した熱の多くを屋外へ排出している現象を変えることが困難です。
自動車に例えるなら、ガソリンを燃焼して多くの馬力を生み出すことはプロモーションするけど発生した動力をどれだけ推進力に変換できるかは不明な場合が多い。
ではシングル煙突を採用して煙突からの採暖をすれば良いのでは?と思い浮かぶのも納得が行くけど、多くの時間を経てそのプランに否定的な意見が多いこと自体が答えではないでしょうか。
モニターの移り方で色味が変化するので分かりにくいかも知れないけど、ダンパーの上もしっかりと焼けてました。
同じ性能なら作る意義なんてない
炭も残らずしっかりと燃焼して、ガラスも一切曇らず、構造もシンプル。
久しぶりに製作するクリーンバーン機は素敵と言うのが偽りのない素直な感想。
ではわざわざ多くの部品と時間を使用して製作するヒミエルストーブと同じ性能であれば、作るのを止めればいいじゃないの?と思ってました。
でもね、やっぱり違うんですよ。
でも、その違いやメリットは使って見ないと分からないし大多数の人はクリーンバーン機以外のストーブを使ったことが無いので分からなくて当然。
ただ私が思うのは、多くの時間を費やし身を削って作るヒミエルはご縁のある方だけにお届けできればと思ってます。
まとめ
ここまで書きながら、ポジティブな面を述べると
構造の制約が少ないので、デザインに沢山の選択肢が有る。 特に私が作るのは出力が大きなストーブなので小さな炎で蓄熱するストーブを作るにはクリーンバーン機の構造が最適。
構造がシンプルなので煙突掃除や維持管理が簡単。
重量が軽い
遮熱板の高さが低くてもよい。
など、初期投資を抑えた薪ストーブ生活を送るには丁度良い構造です。
そういった訳で、今回の経験を踏まえて、新たな自社製品の開発をスタートします。
結果は、乞うご期待。