新製品の開発
今月は京都へ蓄熱式ストーブを納品に行く以外は新シリーズの薪ストーブ開発に時間を費やしてます。
今までヒミエルだけの製作にこだわった姿勢だったけど、昨今のインフレや運賃の上昇で市販の薪ストーブ価格が軒並み上昇している現状を鑑みて、シンプルだけど十分に性能を満たし、その上お求めやすいお値段のクリーンバーン機を作ってみたくなったのです。
自己評価では、ヒミエルは本当にハイエンドの先端を目指した高性能を提供していると自負してます。
そういった性能を満たすためには気流の流れや、温度分布の適正化など1つだけ機能を突出させること無く全体が組み合わさったときに機能するような仕組みを内部に組み込んでいる。
その様な基礎が備わった上で、熱による経年劣化を設計にフィードバックする事でさらなる高みを目指した製品に仕上がりました。
しかし、私の思いが詰まった製品は部品点数が多く、製造過程においては多くの時間を必要とすることは否めません。
サウナストーブで新たな方向性に目覚めた
なぜ今になってクリーンバーン機を作ろうと思うようになったかと言えば、タマゴサウナへ設置する蓄熱ストーブの製作を依頼されたことがきっかけなのです。
設置スペースに限りがある中で、見た目のデザイン、コストなどを考えながら薪ストーブを作るのは楽しい時間でした。
ずっとヒミエルばかり作っていたのでクリーンバーン機の構造には意識が向いていなかったんだけど、今まで先例のない難題を一人で解決していたので、クリーンバーン機の製造を簡単に感じちゃうんです。
吸気から煙突の出口に向かう空気の流れをイメージするところから設計をスタートして、本体内部に高温の燃焼ガス滞留ポイントを作ってクリーンな燃焼を実現する。
たったこれだけでいい感じに燃えてくれるのだから不思議。
薪の燃焼速度も、ほかの言葉で言い換えれば「炉内を流れる空気の速度≒燃焼速度」なので如何に高温を保持しつつ空気の流れを遅く出来る様に作りこむかが非常に大切。
しかし、空気の流れを遅くすれば不完全燃焼や炉内温度低下など欲しい状態と相反する環境になるので、その様な条件を認知したうえで設計する事が非常に大切。
そしてヒミエルを作っていた経験からどのように部品を配置すれば良いかおおよそのイメージが頭の中に浮かんで来るし、構造上の問題が発生しても解決のソリューションを発明できる様にいつの間にか私自身が成長していました。
丁度良い値段のストーブが存在しない問題
これは制作者である私自身の問題だけでないのだけど、昨今のインフレはすべての価格が上昇しています。
鋼材価格を例にすればコロナ前と比較して材料単価が3割以上値上がりしているのでどの事業者も値上げする事は仕方のないことは理解できます。
そして輸入品は円安と送料の高騰によりこれまた3年くらい前はエントリー機的な価格帯だった機種が軒並み50万円を超える価格になったので、煙突を含めての導入費用が2~3割上昇しました。
昔の様に本体価格30万円台で売っているちゃんとした薪ストーブって私の知る限り殆どなくなってしまったのでは無いでしょうか?
薪ストーブを導入したい、けれども初期費用を抑えてある程度の性能をマークしている製品って無いのかな~?と思った時にはたと閃きました。
そうだ、私が作ればいいんだ!
サウナストーブを作った経験をベースに私なりに幾つか課題を設けて設計。
頭の中にあるイメージを作図すると上の写真の様な外観になりました。 モニターのスクショではイメージが困難かも知れませんが、出来上がりの写真と比較して頂くと9割は正確に表現していると思ってます。
そして自分自身に課した設計のテーマは
- お求めやすいお値段で提供
- ずっと薪を焚かなくても蓄熱する機能を搭載
- しっかりとした燃焼性能
- ガラスが曇らない
とりあえず思いついた上記を満たす製品に仕上がるのか、今現在 鋼材を発注する段階まで進んでます。
1つ問題を挙げると、私の悪い癖で有った方が良いと思う機能、例えば外気導入からの吸気予熱などを搭載しようと思ってしまうんだけどすべてコストアップに繋がるので今回はシンプルに徹する事が一番難しかった。
それでも、経年劣化による部品交換を容易に出来る様にしたり遮熱機能はちゃんと搭載するなど試作とは言え検証したい内容はすべて盛り込みました。
今の予定では7月に第一号が出来上がるのでブログで報告出来るのを楽しみにしてます。