ヒミエルストーブ

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サウナストーブの燃焼テスト

 
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タマゴサウナの会社様より10月中の納品を希望されていたので久しぶりに急いで製作したサウナストーブは無事に完成し燃焼テストを実施しました。

以前のモデルは本体の周囲に石を搭載して蓄熱することを狙っていたのだけど、石を搭載すると温まるまでに時間が掛かるし足元の輻射熱をもう少し抑えたいとのご希望で今回は遮熱板で仕上げて欲しいと依頼されました。

なので一見すると外観は丸いだけの薪ストーブなのだけど、見えている部分は遮熱板で約100㎜の空気層を挟んでます。

今になって振り返ればICを製造するきっかけになったのがタマゴサウナストーブの製作であり、知人からの紹介で依頼を受けサウナストーブを作っていなければクリーンバーン機の製造に意識が向かず今でもずっとロケットマスヒーターばかり製造していたと思うので偶然とは言え本当に幸運。

製品として手作りのロケットマスヒーターとクリーンバーンの両方を販売している事業者を私は知らないし、知っていたとしても非常に稀有だと思いますが同じ薪を燃料とする暖房器具でも製造に関するアプローチが大きく異なる事が面白い。

クリーンバーン機は、煙突を含めた吸排気の抵抗と本体内部の蓄熱、バッフルの形状でおおよそ狙った性能を出せるし一番高温になる部分が約300度くらいなので製品寿命に関する配慮も一般的な考えでクリアランスできる。

簡単に言ってしまえば、取り掛かるハードルは目指す方向により差異はあるけど経験を積めば一定の水準まで作りこむことが出来る。

ではロケットマスヒーターの機能をストーブに盛り込もうと思えばどうかと言えば、結構ハードルが高いと思ってます。

私の技能が低レベルだったという事が前提になるので他者の参考にはならないけれど、本当に狙った性能を出すことが非常に困難。

最も高温部分が800度近くになるので、クリーンバーン機とは全く異なる材料を選定しないといけないし焚き付け時のドラフトが弱くてしっかり燃焼しないと言う課題をクリアする事も必要。

そんな事をすっ飛ばして100V電源を使用してブロアーで給気してボイラーの様に生木でも燃やしてしまうアプローチもあるのですが、そうなると私の考える方向から外れてしまうので作る事はありえない。

クリーンバーン機のメリットは沢山あって、とりわけ私が好きな部分はデザインの拡張性が高い所。

小さい物から大きなものまでどんな形でも作れるし、先人の知恵が詰まった見本が沢山あるので参考にすることも可能。

しかし、一つだけデメリットが有ってそれは発生した熱をたくさん煙突から排出してしまいます。

写真はタマゴサウナストーブのサーモグラフィ画像で、白っぽい場所がバッフルの直上でおおよそ320度。 この状態で煙突から排出される煙は無煙で綺麗な燃焼を継続してます。

触媒を搭載したストーブもサーモグラフィで表面を見ると触媒が搭載されている場所が昇温していると予想します。

だけど、ここからが核心

一番高温になった直後に煙突が有るので、どんなにクリーン燃焼を行い熱を発生したとしても煙突へ排出されるカロリーは多大。 

ざっくりとした認識ではストーブからの放熱量は高温と低温の温度差と表面積で決定されるので天板の僅かなスペースで最も沢山の放熱を担わなくてはなりません。

ではロケットマスヒーターはどうなのかと言えば、簡略に説明するとクリーンバーン機の外側へ熱を放出する外殻を設けて放熱する表面積を稼いでいるから暖房能力が高い。

しかしデメリットとして構造の複雑化、重量の増大、小さな製品が作れないなど何事もメリットとデメリットが表裏一体。

なので、ヒミエルストーブは高出力をお探しの方には高い評価を頂いているけど、現代の一般的な間取りにはオーバースペック。

そういった訳で、今までのラインナップに無かったコンパクトで普通の出力ストーブを作り始めたというのは非常に意味がある。

前置きが長くなってしまったけど、今回のタマゴサウナを上からみるとこんな感じになってます。こんなに隙間があったらどのような輻射熱を発生するのか全く未知数なので非常に興味深くテストを実施しました。

結論から言えば表面遮熱板温度は200度弱まで温まりました。本体から直接発生する強力な輻射熱を大幅に低減しているので柔らかな暖かさを感じるだけでなく本体の空気層から猛烈に暖かい空気が上昇するのでサウナルームを素早く温めると想像します。

初めて作るときは形を仕上げるだけで精一杯だったけど、2回目なのでじっくりと落ち着いて製作する事が出来たのと前回の経験を踏まえて遮熱や吸気を改良しました。

何事も経験と言いますが、未知の分野を経験するって面白い。

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