ロケットストーブの熱効率
薪ストーブの熱効率とは、発生した熱をどれだけ仕事に使えたかと言う事です。
通常の薪ストーブは煙突から排出される排気温度は約260度前後で、1kgの薪を燃焼して発生した熱量の2~3割は煙突から排出されていると言われています。
煙突内部を高温に保ち、軽くなった空気の上昇する力でストーブ本体へ吸気されるので、勿体ない事ですが、せっかく作った熱を野外へ排出してしまう事は仕方のない事なのです。
ロケットストーブの温度分布
テストしているロケットストーブは燃焼室も全て断熱材で覆っているので、薪を燃やして発生した熱は全て装置内部の断熱2重煙突へ吸い込まれます。
そこはステンレスで覆われ、800度以上の高温と乱気流で煙まで燃焼し強力な上昇気流を発生します。
上昇気流が衝突する部分が本体で一番高温になる部分となり、500度を余裕で超えます。
そこを中心に天板の端っこへ進むにつれ放熱され天板の端っこでやく250度位
本体は上の方が180度位、底に進むにつれ温度が低下し、本体の下半分は160度位
煙突の出口で140度位まで温度が下がっています。
文章で書くと伝わりにくいので写真に書き込んでみました
何を訴えたいかと申しますと。ロケットストーブ機構で作った薪ストーブは
薪が燃えて発生した熱を煙突から沢山排出する事無く、多くを室内へ取り込むことが出来ると言う事です。
せっかく発生した熱をなるだけ暖房に使えるとお得な気分になるのは僕だけでしょうか?
放熱面積のバランス加減
発生した熱をしっかり放熱する面積も重要で、去年作った試作品は廃熱温度が200度近くなってしまい失敗作でした。
発生した熱を室内へ放出する面積が少ない場合どれだけ排気温度が上昇するのかデータが無かったので良い経験です。
この後、煙突の取り出し口と断熱材の配分を変える事により排気温度をどのように下げるのか実験を繰り返しました。
煙突の排気温度の実験
理科年表によると新聞紙の発火点は290度と言われています。
シングル煙突にぬらした新聞を巻き付け、数時間放置の後低温火災が発生するか実験してみました。
写真の時間経過は約2時間ですが、その後2日間継続しました。
燃焼の様子はこのような感じです
煙突から煙や灰が放出されること無く、緩やかな燃焼を継続しました。
煙突掃除も楽なはずです
煙突にススが溜まる主な原因は煙です。高温の煙が冷める事で煙突の壁面に堆積して行きます。
煙が無くて温風だけ通過するのなら、煙突内部にススが溜まる量は少ないはずです。
12年前の経験ですが、初めてホームセンターで買った時計型ストーブのシングル煙突は1月に1度煙突掃除が必要な位煙突内部にススが体積しました。
今回のロケットストーブは、ススの発生原因である煙をしっかり燃焼する事で煙突内部の堆積も少ないでしょうから、煙突掃除は楽だと予想します。
これは今シーズン実験して、来年の春に検証してみようと思います
まとめ
加熱と放熱をバランス良く作った薪ストーブは、手の込んだ設計を行わなくても性能が良いと言う感触を得ることが出来ました。
今までのストーブは薪を投入し、仕事に没頭していると20~30分すると薪が燃え尽きて寒い思いをしていましたが
このストーブに変えてからは薪の量や空気の調整で変化しますが、40~50分と以前の倍位薪が長持ちします。
おき火になってからの燃焼も簡単で、薪の投入に忙しかった去年とは全く異なる光景に驚くばかりです。
このような薪ストーブですが、部品点数が多くて製作には時間が掛かり、私一人が細々と全てハンドメイドを行っているので生産量は1月1台位です。