サイクロンチューブの使用停止
ヒミエルストーブの特徴であったサイクロンチューブの実装を2023年末を持ちまして基本的には終了します。
新規顧客へのデリバリーを中止するだけなので、既存ユーザー様が交換目的でご要望頂きましたら交換部品として販売します。
出力の性格が変わるので、従来型がどうしても好きだと言うお客様以外はタイミングを見計らってご案内している方式への改造をお勧めしてます。
耐火レンガverへ改造した感想
現在合計3件のお客様より耐火レンガ仕様へ改造した感想をいたただいておりますが、皆様もれなくポジティブな印象ですので方向性としては間違いのない手法だと判断してます。
この段階でまだ何の事?と思われるお客様はこちらをクリックしてください
改造したお客様のご感想
小割の焚き付けを準備して点火してあげれば火を付けてから10分もしない間に煙が消えてしまいます。今までのほぼ半分の時間で巡行運転に入る事が出来ました。点火が早いのは朝とてもありがたいと思います。明日が楽しみです
えっ。と思うほど、着火してから巡行運転になるのがスムーズでした。昨日の感覚では1/2か2/3くらい。あと薪の追加投入を暫くわすれていたのに、良い感じで燃えている。(いつもなら消えていたな)と言うのを1日のうちで何度も有りました。
私も含めて皆様の感想をサイクロンチューブの使用と比較すると
- 立ち上がり時間の短縮化、煙が消える時間が早くなる
- 燃焼が緩やかになり、薪を追加投入するタイミングが長くなる
- 火が鎮火しても燃焼室に蓄熱しているので再点火が楽にできる
あと、メーカーの意見として数年おきに2万円する消耗品の購入が不要になると言うのはお客様にとって大きなメリットになります。
良い事ばかりの改善なのですが、今まで気づかずにサイクロンの販売を継続していてすみません。改善に気づくまでは最良だと思い込んでいたので、その先にある光景を探索する視点を持ち合わせていませんでした。
ヒートライザーに耐火レンガを追加するだけで立ち上がり時間の短縮とゆっくり燃焼と言う薪ストーブの使い勝手が良くなる要素を二つもグレードアップしてくれるなんてホントに不思議なのですが、耐火レンガの温度を測定すると800度以上まで昇温するので何故その様になるのか想像できます。
それは、レンガと炎が衝突して熱がレンガへ移動して高温になるのと、レンガ自体が蓄熱すると言う特性が上手い事バランスしているんですよね。
実験では炎が流れる隙間を何パターンか試して見て、行き着いた結論が一番シンプルな現状の形です。
抵抗が大きすぎてもスムーズな炎の流れを阻害するし、小さすぎても効果が薄い。本当に難しくも有り面白い部分です。
構造を考える面白さ
たまに、見学にお越し下さったお客様より「炎の揺らぎが良く見えない」と指摘されることがあります。
そうなんですよ、ウチのストーブは揺らめく炎の燃料となる木質ガスをしっかりと燃焼する事で熱を取り出す設計なので見えないのは当然。揺らめく炎が楽しめる薪ストーブは世の中に沢山有るので私が作る必要もなく、揺らめく炎がご希望であれば、お望みにそった市販製品をご案内します。
でも、揺らめく炎系の薪ストーブの開発は本体の開発はほとんど行きつくした感が有って、デザインの違いを訴求するくらいしか違いが分からないほど似たり寄ったりだと思っています。薪ストーブの面白いところに、本体は同一でも煙突のレイアウトで燃焼特性が変わるので一概には言い切れないけど、大体有名ところのストーブは性能がどんぐりの背比べだとすれば、あとは予算とデザインの好みで選ぶしか無いかな。
ウチの目指す方向性はとてもシンプルで
- 燃焼室の温度をしっかりと上げて煙を燃やし、
- 無煙状態を保ったまま本体で熱交換して残った熱を煙突から排出。
なぜこのような事を目指すかと言えば、薪を燃焼して熱を発生させて暖房する事に対して合理的な構造であると考えるからです。 デメリットがあるとすれば、製作する手間が異常に掛かるので量産が出来ない事でしょうか。
今は他の製品を見る事が無いので情報が古いですが、ロケットマスヒーターを利用した薪ストーブの製造販売業者って少ないですよね。
そして事業規模が小さいので、機種も少なくて一旦販売した方式を頑なに堅持する傾向が強いと思ってます。
以前の私がそうであったように、技術者と言う物は一旦製作者バイアスと言う魔法にかかってしまえば、周りが「あなたの手に持っている物は石ですよ」とアドバイスしてくれても「なにを言っているのですか、玉です」と言う反応を無意識にしてしまうので、自分の視点を切り替える事は、ストーブを作る以上に難しい。
私も周りから指摘されると自分の至らなさを認める事に抵抗を感じると思いうけど、自分で気づいてしまうのだから素直に受け入れざるを得ません。
そこから新たな開発を始める事が楽しみの一つでもあるので、結局は目の前の事象をどの様に捉えるかで結果が変わるんでしょうね。
まとめ
今月はヒミエルストーブ始まって以来の大改良を行い、ブログとメルマガを書きまくってあっという間に過ぎ去った感じです。
今月は文章を書いた量が人生で一番多いですが、ある一定量を短時間で書いた効果はしっかり有って、自分が考える事を表現する事に違和感を感じなくなりました。以前だと思い浮かぶ情景をどの様に書けばいいのか悩んでいる間にイメージが消えてしまい途方に暮れる事が普通に合ったので大きな進歩です。
文章や写真は、ある一瞬の出来事を作者の視点で切り抜く行為であり、目に入る光景は皆おなじでも解釈は異なるので表現が違ってくるところが面白いと感じるし、私も文章を書く面白さを少しだけど感じる様になりました。
そんなわけで、今年もヒミエルストーブのブログを読んで下さり有難うございます。今後も楽しみながら更新して行きますのでお時間ある時にお立ち寄りください。