屋根板金の追加工事

工事3日目の最終日は午前9時から施主様へ操作説明のアポを取っており、朝は焚き付けの準備でもしよっかなーと考えながら2日目の夜は就寝しました。
そして気持ちよく目覚めた朝。
なんとなく昨日の仕上がりが気になる自分に気付きました。

せっかく追加の工事を実施してくれたのだけど、水切りの被り寸法がどうしても少ないと感じたのです。通常は4cm煙突箱の天井より下に水切り部分が来る設計なのがこの現場は2cm。
台風などで吹上げの雨が巻き込めば浸水するかも?と考えただけで冷たい物が背中に走る感覚に襲われるので知ってて放置することは不可能。
とりあえず現場を確認してどのような作業を実施するか決める事にして、朝7時に現場へ行くと無情にも目の前にはうっすらと雪景色が広がっておりました。
雪が降ると足場板の上も滑るので作業を行うのは非常に危険。
この日は全国的に寒波が来襲し、高知道は通行止めになり須崎の平野部でも朝は雪が積もっているので、雪が溶けるまでの時間を利用して対策の方針を決めて準備を行う事にしました。
しばらく考えた結論は、追加の板金作業を行い水切りの被り寸法を延長する事に。
まず最初に施主様へ操作説明時間の変更を相談させて頂き、了承していただいた後はホームセンターへ電話して板金材料の在庫確認を実施。

こんな時に活躍するのがコーナンプロ。
ただし、現場の須崎から車で片道50分程度移動して高知市内まで買いに出なくちゃダメなので材料の購入も含め約3時間を費やし朝と同じ場所へ戻ってきた頃はもうお昼前。

板金材料はカラートタンと90度に曲げたガルバリウム鋼板の2種類を購入したのだけど、長寿命を狙いガルバリウム鋼板を加工して使用する事にしました。
カラートタンだと10年程度の寿命だけど、ガルバだと15年以上持つらしい。
ただし、ガルバは90度に折り曲げて水切り形状に加工しているのでフラットに戻す工程が必要であり、手で押しても綺麗に戻せなかったので、必要な長さにカットした後コンパネと硬木に挟んで軽トラで踏みつけてプレス加工してみるといい感じになるじゃありませんか。
この後、プライマーを塗布して乾燥した後にシリコン塗料を塗りつけて準備完了。
金属の防錆は塗料の膜厚が大切なので、ミッチャクロンで下地を仕上げるのは非常に大切。
そして塗装だけでなく、ステンレスの部品と接触する部分は電蝕対策に防水テープを貼り付けて絶縁を行い電荷の移動が起こらないように細工する事も忘れません。
最後のダメ押しに、煙突掃除も依頼されているので10年程度経過して錆びて来たらステンレス板に交換出来るように細工しておきました。

そして出来上がりの写真がこちら。
角フラッシングを固定するネジで追加の板金を挟み込むだけと言う簡単な加工だけど水の吹上げ対策は完璧。単に平たいガルバを4方に固定するのではなくて端面を90度折り曲げて鉄板が重なって防水するように加工したのがミソなのです。

箱の天井からの被り寸法も95mm有るので、安心感も十分。
ここまでする必要はないのかも知れないけど、気づいているのに自分の中で不安を抱えたまま現場を後にする事なんて出来ないので、正しい行動を行ったと思ってます。

屋根の追加工を終え、夕方から操作説明を実施しました。
翌日から足場を解体するので、ちょっと狭い炉台だけどいつもの通り2時間程度かけてしっかりポイントをお伝えさせて頂きました。
今回は煙突箱の手直しに1日余分に作業を費やしましたが、納得のゆく形に仕上げる事ができて満足です。