燃費の良い薪ストーブ
使いやすい薪ストーブってなんだろう。
私は屋内の暖房に使うのならば、薪の消費が少なく一旦温まると温度変化が少ない薪ストーブが使いやすいと考えます。
勿論市販されている製品もそのような性能を目指して作られているのでしょうが、自分が求める性能を備えた薪ストーブを市販品で見つけることが出来なかったので、昨年から開発に挑戦しました。
一つの薪ストーブを使い続けても、使い勝手の比較などできないので、今まで市販の薪ストーブ購入、自作のクリーンバーン燃焼そしてロケットストーブ方式等の実験などを行って来ました。
燃費の良い薪ストーブはここにあります
そして遂に世間で普通とされている燃焼時間を遙かに超える薪ストーブを製造する事が出来ました。
(世間一般の薪ストーブはおおよそ30分~50分くらいで薪が燃え尽きます)
前提条件として、近所で選定したサルスベリみたいな薪を2本燃焼室へ投入し立ち上がりの時だけダンパーを調節し後は一切手を触れること無く放置しました。
そのような状態での連続燃焼の結果は約1時間50分です。
熾火だけになり時刻が午後5時になってもオーブンの温度は100度くらいだったので余熱がしっかりと残っていました。
夜間にゆっくり燃やして、明け方に余熱が残る状況を作る事が出来るでしょうか。
動画のように薪の投入間隔を1時間以上できれば、薪ストーブの世話に忙殺されること無く自分の生活を中心に時間を過ごすことが出来るので非常に便利だと思います。
また、こんなに長時間の連続燃焼でも窓ガラスが一切曇る事が有りません。
普通だと薪の消費を遅くしようと思ってエアーを絞っちゃうんですが、そうすると窓ガラスが一気に曇ってしまうのです。
ヒミエルは世間の一般的な構造とは真逆の方式を採用しているので、煙の発生も少なく、ガラスも曇らずに省燃費を可能にします。
薪ストーブの核心
今から5年以上前に、仕事で対面した熱処理炉の設計者と薪ストーブについて雑談していたところ自然吸気装置の勘所は
「熱い部分と冷たい部分の温度差をしっかり作り出す」と簡潔に教えてもらいました。
熱力学の第二法則だったかな?
水は高低差が大きいほど力があるように温度の差が大きいほど浮力が大きい、なので
高温部分の体積と温度の積が大きくなるような設計をする。
ここは重要なので、さらに詳しく書きますが、
炎を大きくしたいと思って、扉を開放してもたくさん空気をすって勢いよく燃えるわけではありません。
暖められた空気の浮力でストーブ内部が負圧になって吸気するのです。
そして薪を投入してから熾火になるまで、如何に長時間高温を維持しながら空気の流れを遅く出来るかが長時間燃焼の核心になります。
時計型ストーブの場合
短時間に高熱を出すだけなら、ホームセンターで販売している時計型ストーブにシングル煙突でも十分高熱を作り出すことが可能です。
樹種により異なりますが、丁度紙を燃やすように薪が一気に燃えて、高温状態になります。
しかし薪から放出される木質ガスがピークを過ぎると、燃焼温度がガクンと下がり、煙突内部の平均気温を高温に維持することが出来ないので吸気する力が弱くなります。
暖かさを持続させようと思うと、全開で薪を豪快に連続燃焼する運用が多くなるので薪の消費が本当に多い。
すぐに温まりたいときや、寒い屋外で強烈な輻射熱が欲しい時は便利ですが、燃費を求めるにはちょっと厳しい構造だと考えます。
クリーンバーン燃焼ストーブ
専門メーカーも含め、多くの作家さんが作られており、デザインや大きさなどユーザーの好みで選び放題。多くの先行企業がひしめく、最も競争が激しいフィールドでは無いでしょうか。
雑誌やネットでも、多段燃焼や炎のゆらぎなど、多くの情報を得ることが出来ると思います。
燃費に関しては、2重煙突で煙突内部の平均気温を維持して吸気力を作り出す方式が多く、煙突の施工さえしっかりと行えば、中国製の薪ストーブでも十二分に楽しめるかと思います。
どんなデザインをしていても、保温された煙突内部の浮力が燃焼の核心部分なのでヒミエルのような高燃費は難しいし、燃焼の原理は全て一緒と言っても良い。
ロケットストーブ燃焼方式
2重に断熱された昇温部分を備えた薪ストーブ装置をロケットストーブと称呼します。
燃焼から発生する木質ガスを、高温に保つ事により強力な上昇気流が発生します。
ロケットストーブ燃焼方式の火力コントロールは、薪の投入量で調節するとロケットストーブ普及協会のマニュアル本には記載されていましたが、私の実験では吸排気の調整が火力調整に効果があると思っています。
単なるロケットストーブ構造では現在の性能を出すことは不可能で、いくつものノウハウをバランス良く組み付けることで高性能を発揮出来る様になりました。
あとはお客様がどのような反応をして下さるのか、とても楽しみです。